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【桜陰中学校2021年度入試算数第2問】泥臭くも効率よく数える問題

今回は数え上げの問題ですが、あまりきれいに数え上げることはできません。重複なく、数え忘れなく、いかに数えるかが問われる問題です。

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桜蔭中学校・高等学校
2007年10月22日、杉山真大撮影、Wikipediaより

問題

同じ大きさの白と黒の正方形の板がたくさんあります。図1のように白い板を9枚すくまなく並べて大きな正方形を作り,図2のように中央の板に◎をかきます。次に◎以外の8枚のうち何枚かを黒い板と取りかえます。このとき,大きな正方形の模様が何通り作れるかを考えます。

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ただし,回転させて同じになるものは同じ模様とみなします。たとえば,2枚取りかえたときは図3のように四すみの2枚を取りかえる2通り,図4のように四すみ以外の2枚を取りかえる2通り,図5のように四すみから1枚,四すみ以外から1枚取りかえる4通りの計8通りになります。

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下の(   )にあてはまる数を答えなさい。

(1) 大きな正方形の模様は,9枚のうち◎以外の8枚の白い板を1枚も取りかえないときは1通り,1枚取りかえたときは( ア )通り,3枚取りかえたときは( イ )通り,4枚取りかえたときは( ウ )通りになります。

(2) 同じように5枚,6枚,…と取りかえるときも考えます。図2の場合も含めると大きな正方形の模様は全部で( エ )通りになります。

解答解説

(1) は四すみを何枚取りかえるかで場合分けして数えるのが確実だと思います。

1枚取りかえる場合、(回転すると同じになるので)四すみを取りかえる1通りと四すみ以外を取りかえる1通りで( ア ) = 2通りとなります。

3枚取りかえる場合、
・四すみの3枚を取りかえるのは1通り
・四すみの2枚と四すみ以外の1枚を取りかえる
→ 四すみの2枚の選び方で場合分け(隣りあう四すみ、対角線上の四すみ)
 - 隣りあう四すみを取りかえる場合は四すみ以外の1枚の選び方は4通り

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 - 対角線上の四すみを取りかえる場合は四すみ以外の1枚の選び方は2通り

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・四すみの1枚と四すみ以外の2枚を取りかえるのは四すみ以外の4か所から2か所選ぶ選び方に等しいので6通り
・四すみ以外を3枚取りかえるのは1通り
となるので、これらを合計して ( イ ) = 1 + 4 + 2 + 6 + 1 = 14通りとなります。

4枚取りかえる場合、
・四すみを4枚取りかえるのは1通り
・四すみを3枚、四すみ以外を1枚取りかえるのは、四すみ以外の4か所から1か所を選ぶ選び方に等しいので4通り
・四すみを2枚、四すみ以外を2枚取りかえる場合、
→ 四すみの2枚の選び方で場合分け
 - 隣りあう四すみを取りかえる場合は四すみ以外の2枚の選び方は4か所から2か所選ぶ選び方に等しいので6通り
 - 対角線上の四すみを取りかえる場合は4通り(注意が必要)

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・四すみを1枚、四すみ以外を3枚取りかえるのは、四すみ以外の4か所から取りかえない1か所を選ぶ選び方に等しいので4通り
・四すみ以外を4枚取りかえるのは1通り
となるので、これらを合計して ( ウ ) = 1 + 4 + 6 + 4 + 4 + 1 = 20通りとなります。

(2) は、5枚取りかえる=(最初に黒い板を並べて白い板に取りかえると考えれば)3枚取りかえる、6枚取りかえる=2枚取りかえる、7枚取りかえる=1枚取りかえる、8枚取りかえる=1枚も取りかえない、であるので、( エ ) = (1 + 2 + 8 + 14) × 2 + 20 = 50 + 20 = 70通りとなります。

感想

上では文字に書いて説明しているので分量が多くて時間がかかりそうに感じるかもしれませんが、実際にはこんなにきれいに文字に残すことをしておりません。

かと言って、パターンをすべて図にかくのは、あとで見直すのにいいかもしれませんが、ちょっと手間です。(と言っても45通りですが。)

ということで、必要最低限の情報だけをとって、いかにもれなく数え上げることができるかが全てのような問題だと思います。

しかも、(1) を間違えると (2) にも影響するのでやっかいです。

(2) は真面目に5枚の場合、6枚の場合、…と数えてはいけません。それをやると時間がかかって仕方がありません。

作業と言ってしまえばそれまでですが、その中にも効率を要求する、いい表現ではないですが、ねちっこい問題だと思います。

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