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【渋谷教育学園幕張中学校2021年度入試算数第1問】あわてず騒がず

さて、東京・神奈川の中学入試は2月1日からですが、今回はそれに先立って行われた千葉県の私立、1月22日に行われました渋幕の入試を取り上げたいと思います。

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渋谷教育学園幕張中学校・高等学校
2008年6月20日、Kattin撮影、Wikipediaより

問題

a と b は 0 ではない整数とします。

a × b を a + b で割ったときの商を a △ b,余りを a ▼ b と表すことにします。例えば,a = 6, b = 4 とすると,a × b = 24, a + b = 10 で,24 を 10 で割った商は 2 で,余りは 4 だから
   6 △ 4 = 2,6 ▼ 4 = 4
となります。

このとき,次の各問いに答えなさい。

(1) 5 △ 10,5 △ 30,5 △ 60 はそれぞれいくつですか。

(2) c を 0 ではない整数とします。c をいろいろな整数にかえて 8 △ c を計算します。考えられる 8 △ c のうち,もっとも大きいものはいくつですか。

(3) d を 0 ではない整数とするとき,3 ▼ d = 3 となる d は全部で 3 つあります。それらをすべて答えなさい。

解答解説

(1) は計算問題、(3) も調べればすぐに答えが出てしまいます。

(2) が一番難しいと思いますが、(1) から答えは想像つくのではないかと思います。

(1) は 50 ÷ 15 = 3 … 5,150 ÷ 35 = 4 … 10,300 ÷ 65 = 4 … 40 なので、5 △ 10 = 3,5 △ 30 = 4,5 △ 60 = 4 となります。

(2) ですが、一方を a = 5 としたときに、b をどれだけ大きくしても 5 △ b は 5 を超えないことが (1) から理解できるかどうかがカギです。同じように今回は 8 △ c が 8 を超えません。

実際、a = 8, b = c のとき 8 × c を 8 + c で割ると、8 + c は c より大きいので、8 △ c が 8 以上になることがありません。一方、c = 56 のとき、8 × 56 = 7 × 8 × 8、8 + 56 = 64 = 8 × 8 なので、8 △ 56 = 7 となります。

以上のことから答えは 7 となります。

(3) は d = 1, 2, ... としていけば答えは出ます。

3 ▼ 1 = 3
3 ▼ 2 = 1
3 ▼ 3 = 3
3 ▼ 4 = 5
3 ▼ 5 = 7
3 ▼ 6 = 0
3 ▼ 7 = 1
3 ▼ 8 = 2
3 ▼ 9 = 3

ということで、答えは d = 1, 3, 9 となります。

感想

この問題は (2) も含めて取りたい問題です。難しくはないと思います。

(3) は d = 1 から順に調べていきましたが、初見では 3 の倍数を思い浮かべると思います。というのは、3 の倍数をある数で割って 3 余るので、割る数も 3 の倍数と考えるのが自然だからです。

しかし、そう考えると d = 1 を見落としそうなので注意してください。(この場合、商が 0 となるために例外的に d が 3 の倍数である必要がなくなります。)

ところで、(3) は最初から答えが 3つと書いてあります。これは本当でしょうか?

実際に 3つであることを確認するには、(2) を思い出すといいでしょう。

要するに、3 △ d は 0, 1, 2 のいずれかになります。

ここからは方程式になってしまいますが、今回の問題は

3 × d = (3 + d) × 商 + 3

を満たす d を求める問題となるのですが、商に数字が入ったとき、この式は d の一次方程式となるので、d の値は(整数でない場合を含めて) 1 つしか出てこないことになります。

ということで、該当する d の値は 3 個以下となり、実際に 3 個あるので、全部で 3つというのは正しいことが示されました。

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