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【渋谷教育学園幕張中学校2021年度入試算数第3問】注意を要するグラフ読み取り問題

今回は点の移動とグラフの読み取りを合わせた問題です。グラフの読み取りがちょっと難しいかもしれません。

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渋谷教育学園幕張中学校・高等学校
2008年6月20日、Kattin撮影、Wikipediaより

問題

図1のように,AB = 20cm,AD = 24cm の長方形 ABCD があります。

点 P は,Aを出発して,A → D → C → B → A の順に長方形の辺上を一定の速さで動き,Aにとう着したら停止します。点 Q は,点 P と同時に A を出発して,A → B → C → D → A の順に長方形の辺上を一定の速さで動き,Aにとう着したら停止します。ただし,P の方が Q より速く動きます。

このとき,3点 B, C, Q を頂点とする三角形の面積と,3点 C, D, P を頂点とする三角形の面積の和を S cm2 とします。ただし,3つの点が三角形をつくらない場合は,面積は 0cm2 とします。

2点 P, Q が動き始めてから停止するまでの時間と S の関係は,図2 のようになりました。

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このとき,次の各問いに答えなさい。

(1) 点 P が D にとう着するまでにかかる時間は,点 Q が B に到着するまでにかかる時間より何秒早いまたは何秒遅いですか。

(2) 図2 の( あ ),( い )に当てはまる数は,それぞれいくつですか。

(3) 点 P が辺BC 上にあるときを考えます。3点 A, B, P を頂点とする三角形の面積と,3点 A, B, Q を頂点とする三角形の面積の差が 100cm2 になるのは,2点 P, Q が動き始めてから何秒後ですか。考えられるものをすべて答えなさい。

解答解説

この問題で重要なポイントは、図2 のグラフで面積 0cm2 から増える瞬間です。ここで点 P が C を通過(つうか)したことになります。

面積が 0cm2 ということは、P は DC上、Q は BC 上にいることになります。また、P の方が Q より速く、A から C までの移動距離(いどうきょり)はどちらも 20 + 24 = 44cm で等しいので、P が先に DC 上を離れることになります。

そこからさらにグラフを読み解くと、Q が C にとう着する前に P が B にとう着することも分かります。

何故ならば、面積が 0cm2 より増えてから( い )秒までの間、面積の増え方が一定だからです。もし Q が C に到着する方が早ければ、増え方がさらに大きくなるはずです。

ということで、P が 24 + 20 + 24 = 68cm を移動する間、Q は 20 + 24 = 44cm も移動していないことになります。さらに、Q は 12.8秒後に D にとう着したことになります。

では、P が D にとう着したときに Q がどこにいるのか調べると、24 × (44/68) = 13(7/13)cm で、B より手前になります。ということで、最初に面積が 60cm2 となるのは、P が D にとう着して、Q が 辺 AB 上にいるときとなります。

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この辺りで、ほぼ問題を解く材料が出そろったと思います。

まず、Q の速さですが、Q が D にとう着するのが 12.8秒後なので、(20 + 24 + 20)/12.8 = 秒速5cm と分かります。また、P が D にとう着したとき、Q は B の手前 60 × 2 ÷ 24 = 5cm と分かります。

よって、(1) 点 Q が B にとう着する時間より 5 ÷ 5 = 1秒早いとわかります。

(2) の前に P の速さを求めておきましょう。P が D に到着したとき、Q は 20 - 5 = 15cm 動いていたので、15 ÷ 5 = 3秒後と分かります。よって、P の速さは 24 ÷ 3 = 秒速8cm となります。

さて、( い )秒後に面積が( あ )cm となるのは、P が点 B に到着するときなので、( あ ) = 20 × 24 ÷ 2 = 240cm2、( い ) = (24 + 20 + 24)/8 = 8.5秒となります。

(3) ですが、P と Q が 100 × 2 ÷ 20 = 10cm の距離(きょり)にあれば条件を満たすことに注意してください。

最初に P が C にとう着する時間を求めましょう。(24 + 20)/8 = 5.5秒です。要するに、5.5~8.5秒の間を考えることになります。

5.5秒後、Q は B から 5 × (5.5 - 4) = 7.5cm の位置にいます。ということは、P と Q の間には 24 - 7.5 = 16.5cm の距離があります。

したがって、P と Q の進む距離の合計が 6.5cm のときと 26.5cm のときに P と Q の距離が 10cm になるので、5.5 + 6.5 ÷ (5 + 8) = 6秒後 と 5.5 + 26.5 ÷ (5 + 8) = 7.5 + (0.5/13) = 7(7/13)秒後となります。

感想

この問題はグラフを読み解く能力が問われていますが、特に、正方形ではないために P と Q のどちらが最初の角に着くかが分からないところが面白くもあり、難しいところです。

しかも、そのためのヒントが地味なところに隠されているため、手こずる受験生も多かったのではないかと思います。

(1) さえできれば何とかなりますが、その (1) がもっとも難しいため、合格者でもこの問題が全然できなかったということもあるかもしれません。

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