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【桜陰中学校2020年度入試算数第2問】続・軽快にこなすべき小問集

今回は第2問ですが、小問+中問という構成になります。やはり高速な処理が求められます。

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桜蔭中学校・高等学校
2007年10月22日、杉山真大撮影、Wikipediaより

問題 

(1) 下(原文は右)の図のようなコースで輪をころがしながら進む競争をします。コースは長方形と,半円を2つあわせた形をしています。A さんがころがすのは周の長さが 150cm の輪,B さんがころがすのは周の長さが 120cm の輪です。輪はすべることなくころがるものとします。 Aさんがこのコースを1周すると輪は何回転しますか。
AさんとBさんが図のスタート地点を矢印の向きに同時に出発しました。2人とも輪を 1秒 1回転させながら進みます。途中(とちゅう),Aさんは2回,輪をコースの外にころがしてしまい,コースにもどるまでに 1回 20秒かかりました。その後AさんとBさんは同時にゴールしました。AさんとBさんは出発してからゴールするまでにコースを何周しましたか。スタート地点とゴール地点は同じとは限りません。

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(2) 底面が半径 3cm の円で高さが 1cm の円柱の形をした白い積み木がたくさんあります。
(a) ① この積み木を図1のように10個積み重ねてできた円柱の体積を求めなさい。
① でできた円柱の表面に青い色をぬりました。青い色をぬった部分の面積を求めなさい。
② の積み木を図2のように少しずつずらしてくっつけました。上から2番目と3番目の円柱は底面の円の面積の3分の1が重なっています。上から5番目と6番目,8番目と9番目も同じずらし方です。この立体の表面で白い部分の面積を求めなさい。

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(b) あらためて新しい積み木を図3のように積み重ねます。上から1段目には1個,2段目には2個,3段目には3個のように積み重ねます。図3の積み木「ア」と積み木「イ」,積み木「ア」と積み木「ウ」はそれぞれ底面の円の面積の3分の1が重なっています。他の部分の重ね方も同じです。
今,積み木が200個あります。
これらの積み木を机の上で積み重ねました。何段まで積み重ねることができますか。また,積み木は何個余りますか。
① で積み重ねた立体の上から見えるところと,机に触れているところを赤くぬりました。赤く塗った部分の面積を求めなさい。

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解答解説

まず (1) からですが、①は単にコース1周分の長さをAさんの輪の周の長さで割るだけです。コース1周は 20 × 3.14 + 40 × 2 = 142.8mなので、14280 ÷ 150 = 95.2 回転となります。

②はAさんがコースからはずれた20 × 2 = 40秒をBさんの距離に直すことです。Bさんの輪の周の長さは120cm なので、Aさんがコースをはずれている間にBさんは 120 × 40 = 4800cm だけ進んだことになります。

ということは、AさんとBさんがともに進んでいた時にはAさんが 4800cm 多く進んでいることになります。

Aさんの輪の周の長さとBさんの輪の周の長さの差は 150 - 120 = 30cm なので、AさんとBさんがともに進んでいた時間は 4800 ÷ 30 = 160秒 となります。

したがって、Bさんが進んでいた時間は 160 + 40 = 200秒で、進んだきょりは 120 × 200 = 24000cm になるので、二人は 24000 ÷ 14280 = 200/119 = 1 + 81/119周 進んだことになります。

(もっといい方法がありそう。苦笑)

[追記] やはりいい方法がありました!

B さんは1周 14280 ÷ 120 = 119回転です。回転=秒なので、A さんと B さんは1周すると 119 - 95.2 = 23.8 秒違うので、40秒差がつくには 40 ÷ 23.8 = 200/119 = 1 + 81/119周 進めばよい。

この方が断然速いですね。解くの。[追記終]

(2) (a) ①は即答で行きましょう。3 × 3 × 3.14 × 10 = 282.6cm3 です。

②も即答ですね。3 × 3 × 3.14 × 2 + 3 × 2 × 3.14 × 10 = 78 × 3.14 = 244.92cm2 です。

③も即答で。3 × 3 × 3.14 × (2/3) × 6 = 113.04cm2 です。

(b) からが本番です。

①ですが、1 + 2 + 3 + … と足していって、いくつまで足したら 200に達するのかが問題になりますが、同じ数字をかけて 200 × 2 = 400 に近い数字を見つければだいたいのところが分かります。

1 + 2 + 3 + … + いくつか = (1 + いくつか) × いくつか ÷ 2

はご存知ですよね?

ということで、20 あたりに答えがありますが、実際には19段です。19段のとき、(1 + 19) × 19 ÷ 2 = 190個の円盤を使い、残りは 200 - 190 = 10個となります。

②は上のから見えている部分は半径3cm の円の個数として 1 + (2/3) × 2 × (19 - 1) = 25個分、机に触れている円盤の個数は19個なので、合計で 25 + 19 = 44個分の円をぬることになります。

よって、3 × 3 × 3.14 × 44 = 1243.44cm2 となります。

この問題は第1問よりは重いですが、とはいえスムーズな処理が要求される問題です。解けないはありえない。

さて、残りは第3問と第4問ですが、これらは以前noteにアップしています。

そこで、次回はこれらの問題についての感想・印象、桜陰中学校の何年分か入試問題を見た印象など、問題の解説とはちょっと違ったところを書いてみたいと思います。

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