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【灘中学校2021年度入試(2日目)算数第1問】濃度問題でもあり、整数問題でもあり

灘中学校入試2日目開始です。最初の問題は文章は長いものの、さほど難しくはありません。

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灘中学校・高等学校
2011年8月28日、Saoyagi2撮影、Wikipediaより

問題

水に液体 X を溶かしてできる水溶液を A 液と呼び,A 液の重さに対する液体 X の重さの割合を百分率(%)で表したものを A 液の濃度(のうど)と呼ぶことにします。例えば,水 5g に液体 X を 45g 溶かしてできる A 液の濃度は 90% です。また,水 10g に液体 X を 20g 溶かしてできる A 液の濃度は 66(2/3)% です。

(1) 濃度が 96% の A 液をいくらか用意します。これに水を加えてかき混ぜて,重さが 120g で,濃度が 60% 以上 80% 以下の A 液をつくります。はじめに用意する,濃度が 96% の A 液の重さは(   )g 以上(   )g 以下です。

(2) 3つの容器 P, Q, R があります。P には濃度が 96% の A 液が 144g,Q には水が 150g,それぞれ入っています。R には何も入っていません。P から A 液をちょうど 8g ずつ何回か量りとり R に入れ,Q から水をちょうど 10g ずつ何回か量りとり R に入れます。

(ア) P から(   )回,Q から(   )回量りとり R に入れ,かき混ぜると,R の A 液の濃度は 72% になります。

(イ) 濃度が 60% 以上の A 液を R にできるだけ多く作るには,P, Q からそれぞれ何回ずつ量りとって混ぜればよいですか。またそのときにできる A 液の濃度を求めなさい。

解答解説

(1) は A 液の重さが 120g で濃度が 60% 以上 80% 以下なので、X 液の重さは 120 × 0.6 = 72g 以上 120 × 0.8 = 96g 以下となります。これを濃度 96% の A 液で用意するので、必要な A 液の重さは 72 ÷ 0.96 = 75g 以上 96 ÷ 0.96 = 100g 以下となります。

(2) (ア) は、濃度 96 % の A 液と 水をどのような割合で混ぜれば濃度 72% の A 液ができるかを求めます。そのために、濃度 72% の A 液を100g作るとして (1) と同じことを行います。

すると、液体 X の重さは 100 × 0.72 = 72g なので、濃度 96% の A 液の重さは 72 ÷ 0.96 = 75g、水は 100 - 75 = 25g となります。すなわち、濃度 96%の A 液 : 水 = 75 : 25 = 3 : 1 となります。

この比が 左側が 8 の倍数、右側が 10 の倍数になればよいので、比を 40 倍することで、濃度 96% の A 液が 120gと水が 40g となり、それぞれを 8 と 10 で割ることで、濃度 96% の A 液が 120 ÷ 8 = 15回、水が 40 ÷ 10 = 4回となります。

(イ) は、濃度 96% の A 液は多ければ多いほどできる A 液の濃度が高くなるので、144 ÷ 8 = 18回とすぐに求まります。

問題は水の方ですが、まず (1) で 60% の濃度の A 液を 120g 作るのに 濃度 96% の A 液 75g 必要だったので、水が 120 - 75 = 45g 必要だったことになります。

このことから、濃度 96% の A 液を 144g 使ったときに濃度 60% の A 液を作るために、水が 144 ÷ 75 × 45 = 86.4g 必要であることが分かります。

しかしながら、水は 10g 単位でしか R に入れることができないため、86.4 を超えない範囲で 10 の倍数である 80g、すなわち、80 ÷ 10 = 8回入れたことになります。

あとは濃度を求めるだけです。144 × 0.96 ÷ (144 + 80) = 61(5/7)% となります。

感想

第1問ということもあるので、一見ごつい問題ですが、灘中学校の入試としては易しい問題だと思います。

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