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【女子学院中学校2021年度入試算数第6問】グラフと速度の問題

女子学院の算数も最後の問題となりました。最後の問題としては普通です。それほど難しいとは思いません。

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女子学院中学校・高等学校、
2009年11月23日、IZUMI SAKAI撮影、Wikipediaより

問題

右端(はし)から左端までが 20m のプールを兄と妹が往復します。兄は一定の速さで泳ぎ,1往復するごとに10秒間休みますが,妹は一定の速さで泳ぎ続けます。2人は同時に泳ぎ始め,妹が 16m 泳いだときにはじめて兄とすれちがい,兄がちょうど5往復したときに妹はちょうど4往復しました。

(1) 「泳ぎ始めてからの時間(秒)」と「プールの右端との距離(きょり)(m)」の関係を,兄は―—―――で,妹は― - - ― - - ―で途中までグラフに表します。グラフ①から④のうち,正しいものはグラフ(   )で,(ア)にあてはまる数は(   )です。

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(2) 妹は 20m 泳ぐのに(   )秒かかります。

(3) 2人が2回目にすれちがうのは,泳ぎ始めてから(   )秒後です。

(4) 2人が (3) ですれちがった地点と同じ地点で次にすれちがうのは,泳ぎ始めてから(   )秒後です。

解答解説

まずは問題文から兄の方が妹より泳ぐのが速いことを確認しておいてください。(兄は休憩ありで5往復、妹は休憩なしで4往復だから当然ですよね?)

(1) はほとんど常識問題です。まず、同じ側から泳ぎ始めたか、向かい合わせで泳ぎ始めたかですが、もし向かい合わせで泳ぎ始めたならば、すれちがうまでに妹は 16m 泳いだので、兄は 20 - 16 = 4m しか泳いでいないことになります。これでは兄の方が泳ぐのが遅いのでありえません。

ということで、同じ側から泳ぎ始めているのでグラフ①か②のどちらかになりますが、グラフ②は兄が向こう端で休んでいるために該当(がいとう)しないため、グラフ①が答えとなります。(ア)はもちろん20mです。

(2) ですが、(1) より兄と妹がすれちがうまでに兄は24m、妹は16m泳いだことになるので、速さの比は 24 : 16 = 3 : 2 となります。そこで、もし兄も妹も泳ぎ続けたと仮定すると、妹が 4往復およぐ間に兄は6往復およぐことになります。

しかしながら、兄は5往復しか泳いでいないので、兄が1往復泳ぐのにかかる時間をすべて休みにあてていたことになります。5往復で休憩は4回なので、兄は1往復を10 × 4 = 40秒で泳ぐことができ、20m であれば 20秒となります。

したがって、兄と妹の20m泳ぐのにかかる時間の比は速さの逆比 2 : 3 になるので、妹は 20m 泳ぐのに 20 ÷ 2 × 3 = 30秒かかります。

(3) ですが、まず兄と妹の泳ぐ速さを求めておくと、兄は秒速1m、妹は秒速(2/3)m です。

泳ぎ始めてから50秒後、兄は右端にいます。妹は20 × (50/30) = 33(1/3) m泳いだので、右端から 40 - 33(1/3) = 6(2/3) = (20/3)m のところにいます。この状態で向かい合わせで兄と妹は泳ぐので、2回目にすれ違うのは 50 + ((20/3) ÷ (1 + 2/3)) = 54秒後となります。

(4) は、兄と妹が (3) ですれちがった場所(右端から4mの地点)を通る時刻を求めておくと、兄は出発の54 - 50 = 4秒後と到着の4秒前、妹は出発の60 - 54 = 6秒後と到着の6秒前になるので、最初の1往復では兄は 4秒後と40 - 4 = 36秒後、妹は6秒後と54秒後となります。

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あとは、兄は50秒ごとに同じ動きを、妹は60秒ごとに同じ動きをするので、兄と妹が (3) と同じ場所を通る時間を書いていくと
・兄:4, 36, 54, 86, 104, 136, 154, 186, ...
・妹:6, 54, 66, 114, 126, 174, 186, 234, ...
ということで、次に (3) と同じ場所ですれちがうのは 186秒後になります。

感想

この問題は難しいというほど難しくはないものの、(2) から (4) まで易しくはない問題が続きます。どこで手間取ったとしても不思議ではない。

時間的に余裕がないことを考えると、差がつきそうな問題です。

(4)は、グラフの形状から、兄5往復、妹4往復する240秒の54秒前である186秒後という答えが候補としてあがるかもしれません。

「時間がなければ」これだけで186秒と答えるのもありでしょう。

ですが、厳密には54~186秒の間に4m地点ですれ違うことがないことを確認するためにグラフを全部かく必要があり、解法としてはお勧めできません。手間がかかります。

(ちなみに、これは某webサイトで見かけた解法です。)

それならば上記のように通過する時間を書いていく方が実践的で速いです。

実際、(3) が終わってから (4) を解くまでに要した時間は問題文を読む時間を含めても1分もかかっていないと思います。数字を書き並べて終わりですから。

(ただし、(3) を終えた段階で状況を把握(はあく)していることが必要です。)

女子学院の算数は速さ勝負です。あまり仰々(ぎょうぎょう)しいことをせずに、柔軟(じゅうなん)に、簡単に考えた方がいいと思います。

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