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【女子学院中学校2021年度入試算数第1問】一癖ある小問集

今日から 4~5回に分けてJG(女子学院)の算数を取り上げたいと思います。最初は小問集です。

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女子学院中学校・高等学校、
2009年11月23日、IZUMI SAKAI撮影、Wikipediaより

問題

次の(   )にあてはまる数を入れなさい。

(1) 7(2/5) ÷ 2.4 × (3/4) - (4.66 - 3(3/25)) ÷ (7/6) = (   )

(2) 2 ÷ (1(2/5) + 0.3) = (あ) / ((あ) - 33)   (あ)にあてはまる数は(   )

(3) 図の四角形 ABCD は正方形で,曲線は点 C を中心とする円の一部です。

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角(ア)は(   )度、角(イ)は(   )度、角(ウ)は(   )度

(4) 原価(   )円の品物に,A 店では1割の利益を見込んで定価をつけ,特売日に低下の 20% 引きにしました。B 店では 1620円の利益を見込んで定価をつけ,特売日に低下の 30% 引きにしたところ,A 店の特売日より 180円安くなりました。

(5) 白と黒の意思を左から1列に並べていきます。
[1] 図1 のように並べて,最後に黒い石を置いたら,白い石だけが 24個余りました。
[2] 図2 のように並べて,最後に黒い石を置いたら,黒い石だけが 30個余りました。

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[1] から,白い石は黒い石より(   )個または(   )個多いことが分かり,
[2] から,白い石の数は,黒い石の数から(   )を引いた数の2倍であることが分かります。
これらのことから,白い石の数は(   )個または(   )個です。

(6) 図のように2つの長方形を重ねてできた図形があります。AB : BC = 11 : 4 で,CD : DE = 1 : 3 です。

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重なった部分の面積が 14.2cm2 であるとき,太線で囲まれた図形の面積は(   )cm2 です。

解答解説

(1) は単に計算するだけです。
・最初の項は 7(2/5) ÷ 2.4 × (3/4) = (37/5) ÷ (12/5) × (3/4) = 37/16 
・(4.66 - 3(3/25)) ÷ (7/6) = 1.54 × (6/7) = 1.32
であるので、 (37/16) - 1.32 = (21/16) - 0.32 = (525 - 128)/400 = 397/400 となります。

(2) もまずは左辺を計算します。2 ÷ (1(2/5) + 0.3) = 2 ÷ 1.7 = 20/17 となります。ということは、(あ)の17倍と(あ) - 33 の20倍が同じ大きさになります。ということは、(あ)の3倍は 33 × 20 = 660 と同じであるので、(あ) = ( 220 )となります。

(3) は以下の図の通り。
・三角形 FBC より角 FBC = 116 - 90 = 26度、角(ア) = 角 FBD = 45 - 26 = ( 19 ) 度、
・三角形 CBE は CB = CE の二等辺三角形であるので、角 CEB = 角(ア) = 26度で、角(イ) = 角 DCE = 180 - 26 × 2 - 90 =  ( 38 ) 度、
・三角形 CDE は CD = CE の二等辺三角形であるので、角(ウ) = 角 FED = (180 - 38) ÷ 2 - 26 = ( 45 ) 度となります。

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(4) は、(原価) × 1.1 × (1 - 0.2) = ((原価) + 1620) × (1 - 0.3) + 180 となります。要するに、(原価) × 0.88 = (原価) × 0.7 + 1134 + 180 となるので、(原価)の0.18倍と1134 + 180 = 1314 が等しくなります。

よって、(原価) = 1314 ÷ 0.18 = ( 7300 )円となります。

(5) は、[1] で最後の黒い石が1個か2個かで話が変わり、最後の黒い石が1個であるときは「1列に並べられた中」で黒い石は白い石より1個少ない状態に、最後の黒い石が2個であるときは「1列に並べられた中」で黒い石と白い石の個数は同じになります。なので、「全体」では白い石は黒い石より( 24 )個または( 25 )個多くなります

[2] では黒1個の白2個で置いていて、最初と最後が黒い石なので、「列の中」では白い石の数は(黒い石の数 - 1) × 2 となっています。よって、「全体」では白い石の数は、黒い石の数から( 31 )個引いた数の2倍となります。

このことから、黒い石の数は 31 × 2 + 24 = 86 もしくは 31 × 2 + 25 = 87 となるので、白い石の数は (86 - 31) × 2 = ( 110 )個または (87 - 31) × 2 = ( 112 )個となります。

(6) は、辺の比から
・三角形BCD の面積 = 長方形 ACEF × (1/4) × (4/15) × (1/2) = 1/30
・三角形DEF の面積 = 長方形 ACEF × (3/4) × 1 × (1/2) = 3/8
であるので、(1 - (1/30) - (3/8)) × 長方形 ACEF = 14.2 となります。したがって、長方形 ACEF = 14.2 ÷ (1 - (1/30) - (3/8)) = 14.2 ÷ ((120 - 4 - 45)/120) = 24cm2 となります。(ここで、点E, F, Gは下左図のようにおきます。)

問題は三角形 ABG と三角形 AFH の面積ですが、次のように考えてみます。

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三角形 BCD と DEF の比から三角形 ABG と AFH の高さを辺の比として求めることを考えます。

すると、上図の真ん中と右のような比になります。

したがって、三角形ABG の辺AB を底辺としたときの高さは○11/9となります。同じように三角形AFH の辺AF を底辺としたときの高さは□80/9となります。

よって、
・三角形ABG の面積 = 長方形 ACEF の面積 × (11/15) × (11/36) × (1/2) = (121/45)cm2
・三角形AFH の面積 = 長方形 ACEF の面積 × 1 × (16/27) × (1/2) = (64/9)cm2

であるので、二つの三角形の面積の合計は (121/45) + (64/9) = (121 + 320)/45 = 441/45 = 49/5 = 9.8cm2 であり、太線で囲まれた図形の面積は 24 + 9.8 = 33.8cm2 となります。

感想

今年の1枚目は案外時間がかかるかもしれません。特に、(6) は曲者で、場合によっては飛ばす選択もあると思います。

2ページ目の第2~4問に素直で楽な問題が集まっているので、(6) でむだに時間を費やさずに、2ページ目を解いて落ち着くのがいいでしょう。

ちなみに、(6) にはもっといい方法があり、2つの長方形はどちらも面積が三角形 ADF の2倍であるため、太線で囲まれた部分の面積は 24 × 2 - 14.2 = 33.8cm2 と求まります。(私にはこの解法は思いつきませんでした。)

このように、女子学院の算数は算数の能力が解答時間に反映される問題が出題されるのが特徴です。その意味でこの (6) は女子学院らしい1問です。

(5) も、難しいわけではないですが、[1] から「A または B」という形で2つの条件A, Bが出てくるためにどうあつかっていいか戸惑ったかもしれません。
・条件A = 白い石は黒い石より24個多い
・条件B = 白い石は黒い石より25個多い

こんなものはAが成り立つ場合とBが成り立つ場合の2つに分けて解けばいいだけで気にする必要はないのですが、あつかいに慣れていないと手を出しにくかったかもしれません。

一方、(1), (3), (4) は素直な問題なので、テキパキと解いていかないと時間的にきついと思います。(2) も、かな。

(2) は、
・左辺 = 20/17 = 1(3/17) = 1(33/187)、
・右辺 = (あ)/((あ) - 33) = 1(33/((あ) - 33))
であるので、(あ) = 187 + 33 = 220 とする方法もあると思います。

例年の感じだと 1枚目であまり時間を使いたくないにもかかわらず、(5) と (6) で時間を取られそうな小問群でした。

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