私の父

父には幼い頃からパンクロックを聞かされていた。sex pistolsやthe clashはもちろんの如く、物心が付いた頃にはanarchy in the UKを口ずさんでいた。そんな父のおかげで私は、人生を変えてもらったと言っても過言ではないマキシマム ザ ホルモンに出逢った。彼らには散々頭をおかしくさせられたが、ヘドバンをしすぎて何ヶ月も頭痛が続き7歳で「ヘドバン禁止令」を出されたこともあった。

高校生になった私はライブに行くのが趣味、いや日常になっていた。そんな私だったが大学受験を控えていたのでライブに行かなくなった。今までの生活とは一転し毎日朝から晩まで勉強、隙あれば勉強、そんな日々に見下げ果てていた。高校3年生の9月、HAZIKETEMAZAREという大型ロックフェスにマキシマム ザ ホルモンが出演する事を知った。行きたくて行きたくて私は母に「行かせて欲しい」と懇願したがもちろん答えはNO。しかし私は諦めきれず父にお願いした。すると父はこう語り出した。

「お前の年の頃は楽しくたまらなく1番遊んでた。50歳になった今でも1番記憶に残ってる。人生は一回や。だから行ってこい。その代わりしっかり目に焼き付けて音楽を勉強してこいよ。見る側の人間じゃなくていつかあのステージに立つ側の人間になるために。」と言い、私の手にチケット代を握らせた。

私は思わず泣いてしまった。なんだかんだで結局家族で行ったのだが、普段は無口で大人しい父が昔に戻ったかのようにはしゃいで音に夢中になっていた。そんな父の姿を見れたのが嬉しくてたまらなかった。いつか私がこのステージに立ちこの笑顔を見たいと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?