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negative first

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■徒然なるままに1
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「損益計算書」は英語では
PL(profit loss statement)ですが
profitは「利益」で
lossは「損失」ですので
英語の語順をそのまま反映させて日本語にするなら
「益損計算書」のはずです。

しかしPLは「損益計算書」と翻訳されました。
これはどうしてなのでしょうか。

私はこれには日本の文化が関係していると思います。

平家物語は
「平家にあらずんば人にあらず」
という平家の繁栄を描いた物語ですが
冒頭は
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす。」
となっていて
negativeな始まりになっています。

つまり日本には
「negative first」
という文化があると思うのです。

だからPLも
「益(profit)損(loss)計算書」ではなく
「損(loss)益(profit)計算書」として
lossというnegativeな単語が最初に来るように
翻訳されたのだと思います。

ところで
チャールズ・ダーウィンの「種の起源」においては
「natural selection」
という言葉が使われています。
これは直訳すれば「自然選択」です。

氷河期で寒い時期は
寒さに強い個体が「自然」によって「選択」され
自分の遺伝子を後世に残す事ができるというのが
「自然選択」の理論です。

しかし日本人は
「natural selection」を
「自然選択」ではなく
「自然淘汰」と翻訳しました。

寒さに強い個体が
「自然」によって「選択」されるという事は
寒さに弱い個体が
「自然」によって「淘汰」されるという事と
結果的には同じなのですが
日本人は滅びゆくようなnegativeな事が
どういう訳か好きなため
「natural selection」を
「自然選択」ではなく
「自然淘汰」と翻訳したのだと思います。

このように
日本人は「negative」な事が好きで
しかも平家物語の冒頭(first)のように
「negative first」でなくては気が済まず
このためPL(profit loss)も
「益損計算書」ではなく
「損益計算書」と翻訳して
「損(loss)」という「negative」な語を
最初(first)に持って来ないと
気が済まなかったのだと思います。

日本人の「negative好き」が
どうしてなのか、私にはわかりません。

しかし
「negative first」
という文化は現在も受け継がれていて
特にマスコミの報道の際には
これが顕著に現れているように思います。

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