詩「雨の日」
雨の中で溶けていく
かけがえのない欠片たち
明け方に見た夢が
まだ喉の奥につかえている
戦争で濁った空に
震える手をかざしてみる
雨粒が肉を貫いて
決して消えない傷を刻む
大丈夫だよスワイプすれば
すべて流れてしまうから
母をなくして泣く子どもも
我が子をなくして泣く母も
それでも舌が苦いなら
みんなウソだと書き込めばいい
雨は少しずつ強くなる
色が少しずつ赤くなる
残り時間を気にしながら
人々は足早に死へと急ぐ
もうすぐ傘は役立たず
心の中までずぶ濡れになる
無関心の代償として
一人残らず血まみれになる
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