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詩「Lean On」

曇りの日に海へ行った
空も海も灰色なのに
仲介者の努力も虚しく
いまだに和解は成立しない
その国境線は水平で
欠けた世界の端から端までを
頑なに切り分けようとしている
曖昧だが根深いライン
見せかけの直線への固執

アタシは砂浜に座って
ぼんやりとそれを見ている
左横にはアナタがいる
見なくてもそれが分かる
だからアタシは狡猾にも
海風に押されたふりをして
左横にいるアナタへ向かい
ゆっくりと凭れかかる
それに伴い水平のラインも
ゆっくりと傾いていく
それはアナタの肩で
固定化されるはずだった
その角度こそが
アタシにとって
かけがえのない数値

だけどアナタの肩には
いつまでたっても届かない
アタシは恐ろしくて
アナタの実存を確認できない
空と海のラインは
水平から垂直へと
急速に変化している

(それなのに、
(なぜか、
(終わりがこない

(ただ、
(ひたすらに、
(倒れていくだけ

アナタの肩を求めて
アタシは永遠に傾き続ける
それは天国なのか
あるいは地獄なのか
今のアタシには
分からないけれど
きっと生誕の眩暈も
こんな味だったのだろう
そう確信できるほど
静寂の中で
傾き続ける世界は
とても
寂しい匂いがした


今から5年ほど前にB-REVIEWへ「もとこ」名義で投稿したもの。これも即興に近い形で書いたのだが、おそらく「パーマネント野ばら」という映画のクライマックスが大きく影響していると思う。この映画は観ているうちに少しずつ「あれ? 何かおかしいぞ?」と思い始めてラストの13分くらいで真実がわかり愕然とする、まあ観客を騙すタイプの作品。「秘密〜Final〜」という美しいピアノ曲が流れるシーンは圧巻。思わず円盤とサントラを買ってしまった作品です。今ならアマプラで観られるのでぜひ。


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