「はじめて」国立近代美術館へ行ってみた。
全く詳しくないけれど、美術館へ行くことが好きだ。あの,静かで多くの人が個として一つの作品に向き合っている空間が好きだ。
たまにいいなあこの絵と思う作品に出会える。
その感覚は直感的で、根拠はないけれど。
そんなわけで国立近代美術館に行ってきた
もうあつくてあつくて耐え切れず、涼を求めて美術館へ行った。
(冷房が効きすぎて、むしろ凍えたが)
火曜日だからか、新国立美術館やらなんやらといくつかの当てが外れて
はじめて国立近代美術館へ足を運ぶことになった。
MOMAT Collection
「ゴードンマッタクラーク展」も開催中だったが、MOMATコレクションにしてみた。
平日の昼間でも結構ひとはいる。
混んでいるというほどではないけれど、ほどほどには。
その7割は外国人だった。MOMAT Collectionが国立近代美術館の所蔵品展で主に日本の作品を展示しているからかな?海外のガイドブックにこの美術館がどのように扱われて掲載されているのか気になる。ほかの観光地に比べてアジアの方が圧倒的に多いというわけでもないように感じた。
そこそこに作品数はあり、2時間ほどかけてみて回った。よかったのは、随所に座るスペースがあり、作品を眺めていられる環境がちゃんと整っていたこと。そのいすも掛け軸など日本画の多い展示室では畳だったり、とインテリアとしても気になった。ほかの展示会の時にもチェックしたい。
いくつか気になった作品とともに振り返ってみる。
古賀春江『海』
解説には、この絵は人工物と自然物の対比がテーマになっていると書かれていた。「女性」と「工場」、「潜水艦」と「魚」とかいう風に。
形状的な話のような書かれ方だったけれど、そのなかの含意が知りたくなった。
佐伯祐三《ガス灯と広告》1927年
こうした美術品の額ってどういう基準で選ばれているんだろうか。重厚な雰囲気の装飾の多い額は、そうしたモダンアートよりはルネサンスだったりの作品に合っているように感じる。
この上の作品だったら、シンプルな艶消し黒の四角い額とかに入れたほうが映えるんじゃないだろうか、なんて思ったけれど
そういうものじゃないんだろうか?
全然詳しくないからわからないけれど。
小泉癸巳男の「昭和大東京百図絵」1923年
関東大震災からの復興で変化する東京の街並みを版画で描いたシリーズ。色の出し方がどれもとてもきれい。現代でもその面影を感じられるような東京の風景が見られた。関東大震災で崩れてしまった東京が生き生きと生まれ変わるような雰囲気まで伝わってきた。
思わず、いまの東北の大震災の復興の姿と重ね合わせてしまった。
桂ゆき《作品》1978-79年
後半のほうの一室は、特に印象的だった。
「この部屋には女性しかいません。」というテーマ。
ここまでの展示の中で女性の作家はたったの一人しかいないという。この部屋の中に飾られていた作品は8人の女性作家によるもののみ。
時代的な問題もあるのかもしれないが、それらの作品が絵画というよりも、キャンバスと絵具ではなく上のコルクのように様々な素材を使って芸術を表現したものが多いように感じた。
暮らしの中のアート、そんな感じ。
本業として絵だけで生きていくことの難しさからなのか、女性の方が斬新な素材を扱えたのか(扱うしかなかったのか)、おもしろい。
などなど、結構ボリュームもある、かつお得な展覧会だった。
モダンアートは、結構なんでもありなイメージで、映像(今回クレイアートの作品が上映されていた)などもあって、かなり門戸は開かれているように思う。それでもアートというのは、一部の詳しい人しか楽しめないものというイメージを抱かれてしまっているのだろうか。
大衆的であることが美術品にとって必ずしも正義ではないことは理解している。おそらく、作品を管理維持できる程度の予算が確保されるくらいで十分なのかもしれない。大衆的になることは、美術に、その展覧会により商業的な恣意性を組み込むことにつながりかねないわけだし。
それでも、多くの人がアートを気軽にみるようになるほうがなんだか楽しい気がするのは、わたしだけなんだろうか。
国立近代美術館 MOMAT Collection
会場: 東京国立近代美術館本館所蔵品ギャラリー(4F-2F)
会期: 6月5日(火)~ 9月24日(月・祝)
開館時間: 10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)
企画展「ゴードン・マッタ=クラーク展」会期中(6月19日~9月17日)の金曜・土曜は21:00まで
※入館は閉館30分前まで
休室日: 月曜日[ただし、7月16日、9月17日、9月24日は開館]、7月17 日(火)、 9月18 日(火) →月間カレンダーもご参照ください。
観覧料: 一般 500円 (400円)
大学生 250円 (200円)
5時から割引: 一般 300円
大学生 150円
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20180605/#section1-4