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8月21日 何だかやる気がわかない日

 何も書きたいことがないのである。というよりも、書く事に集中できていない、書く事から遠ざかりすぎているのか。秋田から盛岡へ。日々を忙しく生きてはいるが、自分自身に集中できていない。自分に集中する為には安定が必要だ。僕はまだ安定していない。毎日発見の連続で、それを記録するのももったいないと感じてしまう。

 僕は一体何を書きたいんだろうな。川上未映子の『黄色い家』を何ヶ月かかけて漸く読み終わって、ああ作者はこういうことが書きたかったのかなとは思ったけれど、それは自分が求めているものとは違って、そんなに感銘は受けなかった。犯罪を犯した人の実際の姿を描く系のものなら、やっぱり吉田修一の『悪人』が好きだな。あの小説には感動があった。『黄色い家』はよく書けているとは思ったけれど、感動はしなかった。でも、それは単に僕の趣味の問題かもしれない。実際『黄色い家』はとても高い評価を受けているようだ。

 何となく思っていることを書く事は難しい。心の底から思っていることしか、結局のところ書くに値しない。特に小説というのは、とても書くのが時間がかかる。たとえ短編であっても。貴重な時間を使って書くのだから、どうしても書きたいものだけを書く以外にない。でも、そのどうしても書きたいものが見つからない。

 見つからない、というよりも深い部分に潜っている。それをたぐり寄せるのに時間がかかる。かかり過ぎる。そんな感じ。

 僕は普通の人が生きている普通の日常にしか関心のない人間だ。『黄色い家』は普通とはかなり違ってしまった人たちの日常を描いていた。だから共感もあまりできなかった。

 でも、普通の人が普通に暮らしているだけの小説なんて何も面白いはずがない。
 そこには何か特殊がないと物語にはならない。

 普通と言いながら、僕は普通の人をどこか嫌悪している。自分はそんなに普通の人ではないと思っている。

 僕には友達もいないし、恋人もいないし、もちろん子供もいないし、仕事はそれなりにハードだけれど、それ以外の時間は自由気ままにそれなりに楽しくやっている。

 僕は結局いつも一人でいる。あまりにも一人でいすぎて、二人でいるなどと言うことは、僕にはよく分からないことなのだ。

 僕はきっと孤独過ぎるのだろう。

 孤独は嫌だから、休みの日にはすぐに外に出かける。そして夜まで過ごし、酒を飲み、シャワーを浴び寝るためだけに家に帰る。翌日はまた仕事に行く。その繰り返し。

 そんな僕に書けるのは、孤独な男の話。孤独な男が幸せを求めてもがくというでもなく、日々を生きる話。結局孤独なままだけど、何か楽しいよね、というラストで終わる、そんな話。

 そんな話なら書けるのかな、何か書けそうな気がしてきた。書いてみよう。

 

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