お笑いライブを見ていると自分の過去を思い出す

 舞台の上で身一つで戦っている芸人はかっこいいなあといつも思う。お笑いライブはネタをやったりトークをしたりするけど、ネタもトークも、その人が今までの人生で経験してきたこと、積み重ねてきたこと、その人の内側にあるものを舞台の上で体現していて、その姿はかっこいいなあと思う。

 私は10代から20歳前後まで、文章を書いたり写真を撮ったりお遊びだけどモデルをやったり、演劇をやってた時は少し役者をやったり、とにかく何者かになりたくて色々と手を出していた。漫画も小説も好きで毎日何かしら読んでいた。

 学校の先生が大人になったら本を読まなくなるよ、と言っていて、毎日何かしら読んでいる自分には無縁な話だなと思っていたけど社会人になって長時間労働、休日出勤(事前に週2休みと聞いていたのに手当も無しにしょっちゅう休日出勤があった。絶対に一生許さん。)頻繁に飲み会があったり人間関係で色々あったりそれなりにパワハラに遭ったりと疲弊していって、いつしか文章を書くことも読むことも、映画を見ることも、演劇をやりたいとか写真を撮りたいとか、そういった興味がなくなっていった。こういうことって社会人なら多くの人が経験するのかもしれないけど。

 働いてお給料をもらうようになって、毎日仕事をしていて、表現に触れる機会が減り、若い時はあんなに表現者になりたい!って気持ちがあったのに、そんな気持ちは消え失せていた。

 私は転職してから、前職と比べて格段に自分の時間が作れるようになり(前職の時は自分の時間が作れなくて心がぶっ壊れていた)この数年お笑いライブに行くようになった。阿佐ヶ谷や高円寺などの小さな会場で、全くテレビに出たりしていなくてひたすら客数人のライブに出まくってるような芸人をライブで頻繁に見ている。

 私は学生時代、何かしらの表現者になりたい、と思っていたけど色々とあってそんな道は諦めて、今はただの一般人の大人になった。

 お笑いの地下ライブに行くと、バイトをしながら10年、20年、または20年以上は芸歴を重ねている芸人がたくさんいる。

 私は表現者にはなれなかったから、舞台の上で戦っている芸人は常々かっこいいなと思っている。

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