見出し画像

レコード精神療法

一般家庭で無意識的に現存していることはほぼ無いと思いますが、僕の家は例外で、数多ものレコードが長年天井裏に放置されておりました。それを去年の年末に僕の希望で引きずり出してもらったんです。僕の親がレコードDJをやろうとして機材一式揃えたけどすぐに諦めちゃったやつです。ですのでターンテーブルが2個あります。ミキサーは壊れていたので新調して頂きました。ありがたい。
まぁそれを今年始まってからちまちまといじって来たわけですが、これがかなり良い。僕は別にレコードDJに関して知識があるわけでもなく、レコードの回し方すらわからなかった人間ですからほぼ我流でやってるんですけどね。でもすごく楽しいです。主にジャズや電子音楽、四つ打ちのレコードが中心です。曲名も知らないけど好きなレコードがいくつかある。ミキサーも質素なもので、基本的にはISO?とFILTERしかついておりません。でも、音をいじるという体験もやってみれば意外と楽しく、上達するもので、曲の特徴やビートを意識しやすくなるので音楽をより吟味して楽しめます。
あとやっぱりレコード1枚通して聴くっていうことの価値っていうのは今だからこそかなりあるものなんじゃ無いかなと思います。元々僕はCD畑の人間で、CD1枚通して聴く習慣があったのですが、レコードでもこれは同様に価値があることだと思います。特に僕が持っているジャズや四つ打ち系だと、1枚のレコードに表裏ベースとなる1曲しか入っていなくて、その内訳として、通常バージョン、アレンジバージョン、ボーカルのみバージョン、など1つの曲をいろんなバージョンにしてたりするんですよね。これが良い。たとえば通常バージョンであんまり刺さらなくても、表裏通して聴いてみると何かしら刺さるバージョンがあるわけですね。これはCDにもない新たな気づきでした。現代のネットで曲を聴く形態だとどうしても難しいところがある。
さて、ここまでの話を聞いてどこが精神療法なんだよと思った方もいるかもですが、安心してください。これから話します。
レコードは基本的に長いです。普段のネットで曲を聴く形態に慣れていると体感とても長く感じる。実際は15分前後とかそんな感じなのですが。ただ、これが逆に慣れてくるとすごいリラックスできるんです。長さゆえにね。体内時計が秒針、分針ではなくその曲の曲調によって左右されるように変わる。1日みっちりスケジュール立てられてる社会で生活して来た後には、この”時計で時間を意識しない”っていうのが効くんですよ。曲に身を任せ回るように落ちていくのも心地が良くて心が落ち着きます。疲れ切った夜だしね。
あとやっぱりなんていうのかな、僕は別に耳がいい訳でもないので意識的な問題かもなんですけど、すごいジャンルごとに音が引き立って聴こえるんですよね。ジャズだったら柔らかく、暖かい感じ。電子音楽とかだと尖ってて潔白な感じに。こればっかりは僕の主観なんで多分科学的な証拠とか無いんですけど、それでも実際聴いてみるとかなりそんなふうに感じられます。曲が感情と連動する。でも寂しいことはありません。
そこはただゆったりと回っていくだけの空間だから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?