見出し画像

我が家の万年筆

先日万年筆のことを少し書いたらちょっと気になりまして、その辺の引き出しを探してどれくらいあるのか調べてみましたら、ザッとこれだけ出てきました。なかには一応はマシなものもあります。ウォーターマンなんかもありますね。池袋に三越が健在だったころに買いました。クロスもペリカンもあります。

オーロラアスティルエコスティール

オーロラの万年筆

そのなかで、どうしても欲しくて買ったたった一つ(二本ですが)万年筆があります。それがオーロラのアスティルでした。他の万年筆は店頭を眺めて購入したものです。エコスティールというのはどういう意味なのか知りませんが、確かそういう名前だったと思います。

まだ学生時代だったですが、ある雑誌(うふふ、想像してね)に万年筆の特集記事がありました。それまで見たことのない直線的で金属的なデザインで、一目で魅せられました。しかし値段は私に買えるものではありませんでした。当時オーディオにも夢中だったのでアンプなら五六万は投じられても万年筆にはちょっと無理なのでした。大体私は字が無茶苦茶です。縦書きか横書きか分からないとさえ言われたくらいでして、しかもこの歳になってさえ、年賀状の字が汚いと親戚の叔母に嫌味を言われています。歳が齢ですから、あの世が近くなってもそんな嫌味を言うものかなと思ったりします。

そんなのが何故か文具が好きで、なかでも万年筆が好きでした。ろくな字も書けないのに全くの無駄と言われればそうなのですが、安いペンばかり集める駄物趣味になっていました。けれども、それはそれで面白いのでした。そんな私が雑誌に紹介されている写真を見て、いつかどうしてもこれを手に入れたいと思ったのです。

上京してしばらくは苦しい生活を送っていまして、万年筆に現を抜かすなど無理の中の無理。しかしそれもある時期にある程度解消されまして、ついにこれを手に入れました。一本18000円。今はどうか知りませんが当時は新宿伊勢丹でしか見かけませんで、店頭でこれを見つけたときの嬉しさに、ついつい細字と中字の二本を購入しました。しかし造りはあまり頑丈ではなかったようで、書いている間にペン先がクルクル回り始めてビックリしました。直ぐに伊勢丹に持ち込んで直してもらいました。町山というのが代理店だったようですが、そこで修理してくれたのでしょうか、この辺の仕組みはよく分かりません。もちろん無料でした。

このペンは、マルコ・ザヌソとか言う人のデザインで、イタリア製なんですね。その斬新さからNYの近代美術館に永久保存されているそうです(これは記憶で語っています。確証はありません)。しかしそうであろうとなかろうと、私はこのデザインに魅せられました。美術館に入っていても居なくてもです。とくにクリップのデザインが好きでした。なんてスマートなんだろう。

しばらくはこれで、とにかくメモを書きまくりました。しかし残念なことに、インク吸入器の出来があまり良くありませんでした。固くてあまり吸わない。その後これは改良されたようですが、私としてはちょっと残念でした。

シェーファーと 二本の文具ペン

アスティルに似たペンたち

一番上のペン。パイロットの文具ペンですが、昭和56年に文具屋で買ったと記憶しています。700円でした。もしかしたらこれは文具ペンにマシなものが登場してきた最初のものではないかと思っているのですが、どうですかね。しかもアスティルに似ている。

文具ペンですからさすがにオーロラほどの雰囲気はありませんが、意外に使えるものでして、どこかで紛失してもショックの少ない金額です。そんなこともあってどこへでも持って行って実によく使いました。小さな手帳にメモるには細字のブリキペンで充分です。

このペンの良いところはキャップを止める時にパチッとしない事です。滑らかに止まる仕組みになっています。どの万年筆もパチッと音がするタイプはその瞬間にクリップ内部でインクを弾くことが多く汚れやすいものでした。キャップを外して書こうとしたらインクで汚れているのは、特に外出用としてはしんどいところです。

このペンにはボディの絞った部分に別のデザインのものがあったと記憶しています。初期デザインでしょうか。そっちはバイト先で知り合った人に選別でプレゼントしました。700円ですから大したことないですが。

真ん中ですが、後にセーラーからも似たデザインのものが出ていることを発見しました。値段も同じようなものでした。セーラーの方がやや長く、その点では保持しやすい物でしたが、私にはパイロットに馴染を感じました。やっぱりクリップがパチッとする仕組みでして内部がインクで汚れました。外出で使うにはインク汚れは厳禁です。従ってこのペンは、自宅で気まぐれ程度に使うに終わっています。

下はシェーファーの物で、安価な品ですが文具ペンではありません。これもアスティルに似ています。これはどう考えれば良いでしょうか。やはり当時の万年筆デザインに影響を与えたと考えるべきでしょうか。それともこのスタイルは元からあったのでしょうか。興味深いところです。ペンの感触は悪くはないのですが、書いていると軸ネジが直ぐに緩んでしまう不具合がありまして、乗用はできませんでした。テープでも巻き付けないと家で絵も描けません。シェーファーはパーカーより上なのだと言う人も居て期待していたのですが、ちょっと残念でした。バーゲンで3000円だったと記憶しています。いくら安価な製品でもメーカーにはステータスがあるはずです。

後にダックスの20000円の万年筆を買ったことがあるのですが、これも同じ不具合がありました。これは本当に首を傾げます。数千円なら諦めますが 20000円となると大ごとです。それを購入した東武デパートで事情を話して別を購入しました。セーラーのプロフィット。そっちは一万円。その話はまたいつか。

アスティルが二本あり、一本は中字なので、そのうちこれを使って何か絵を描いてみたいと思います。下手な字はお見せできませんからね。

ではごきげんよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?