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ワンオクロックで陣痛を乗り切った「ちょっとマニアック」なはなし。

来月、下のむすめが2歳を迎える。
女の子ふたり姉妹で、さほど手がかからず
ほんとうに可愛い。

こどもの誕生日が近くなるたび、自らの出産を
じっくり振り返りたくなる。
あの時間におしるしがきて、病院にいって、
破水して…と時系列にひとり回顧していると
あっいう間に時間が過ぎてしまう。

それだけ、出産という大仕事は自分の人生に
強烈な爪痕をのこしている。
(痛かったことも、苦しかったことも…)

さて、タイトルのワンオクロックと
君の出産のどんな関係があんねん!という話だが、
ワンオクロックを皆さんはご存知だろうか。

日本ではめずらしく世界を跨いで活躍している
ボーカルのTakaはじめ4人組のロックバンドだ。
4人は英語もペラペラだし、二の腕や身体の
あちこちにかっこいいタトゥーを入れている。
時に激しく、時に優しく、ヒット曲を連発し
若者から絶大な支持を得ている。

私は、ロックバンドの「シャウト」が好きだ。
ビジュアル系バンドによくあるエモさのある
シャウトとはまた少し違う
ただ踊るように、魂を揺さぶられるシャウト。
聞いているだけで力がみなぎって、胸が熱くなる。

陣痛真っ最中の私は、だんだんと強くなる
痛みに耐えながら、前日にみたワンオクロックの
ライブDVDの残像をぼんやり思い出していた。


ちなみに出産を経験されてない方や男性は
なかなか想像がむずかしいと思うが、
陣痛時の痛みはただ我慢すればいいわけではない。

ある程度お産が進んでくると胎児が下がって
くるので、「いきみたくなる」のだが
まだ十分に子宮口が開いていない場合
いきむのはかなり我慢しなければならない。

この「いきみ逃し」と、陣痛の痛み(圧力鍋に
下半身を入れられて骨ごと圧迫されたかんじ)
のコンビネーションが大波小波といった感じで
定期的にやってくる。

そして猛烈な痛みの切れ間に、こう思った。
そうだ!「ぎゃぁー痛いィィィィ!!!」と
叫びたくなる気持ちをTakaのシャウトに
置き換えて乗り切ろう!そうすればきっと
自分の弱さに負けず最後まで頑張れる。


そう思いついた私は、陣痛の波がくるたび
Takaの「ィヤーーーーーーーー!!!」
というシャウトを心の中で思いきり叫んだ。
ワンオクロックというバンドのかっこよさ、
Takaの迫力満点の超ロングシャウト。
これらがじわじわと頭の中で思い出され
やっぱ最高のバンドだな!!と感動した。
陣痛中だけど。


…もう、何回叫んだだろうか(心の中で)
知らぬ間に私の子宮口は全開になっており
看護師さんが「あら、大変!全開よ!」と
慌てて分娩台まで運んでくれた。


分娩台に上がった私は、さぁ本番はここからだ!
と気合いを入れ直し、集中した。
そして1、2回ほどいきんだ。
ロックいきみもかなり慣れてきた。


「もう…いきまなくていいわよ!」
と先生の叫ぶ声がした。
そして、なにか股にはさまっている感覚。


「もう頭でてきてるから、ひっぱるわね〜」
えっっ、、もう出てきたの??
あまりの速さにびっくりして下の方を見た。

生まれたての、しわくちゃな赤ちゃんの顔が
そこにはあった。

それから少し処置をされて、「お母さんはしばらく
休んでください」と個室に連れて行かれた。
お産に立ち会ってくれた看護師さんに
「ごめんなさいね、まさかもう子宮口が全開に
なってるなんて誰も気づかなくて!ひとりで
よくがんばりましたねー」

そうだ…よくがんばったね、私。
1人目の出産の時は陣痛が痛すぎて
何度もナースコールを鳴らしお騒がせしたものだが、
今回は一人で乗り越えた。

出産前日に、ワンオクロックのライブDVDを
見ておいてよかった!最高にロックな陣痛だったよ!
そんなことを考えながら、私は深い眠りについた。

後日、彼らのInstagramに
陣痛でお世話になりました!!なんて
コメントしようか迷ったが、恥ずかしいのでやめた。
なので、ふと思い出された出産の備忘録として
このnoteに記しておきたいと思う。









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