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YUMEMI初開催のエンジニアサマーインターンを徹底的に公開します

はじめまして。株式会社ゆめみ新卒で取締役の中川孟と申します。

ゆめみでは2023年の8月28日〜9月8日の2週間、学生エンジニアに向けたサマーインターンを開催しました。

YUMEMI初となる重要なサマーインターンの設計を、新卒1年目の私がチャレンジ取締役のミッションとして担当しました。

このnoteでは、弊社の徹底的な透明性というポリシーに則り、このサマーインターンの内容を徹底的に公開します。具体的には、開催コンテンツに加えて、裏側の設計意図や今後の展望などを詳細に述べています。

このnoteは主にエンジニアインターンを企画・運営する企業の採用担当者の方々の参考になるよう意識して作成しています。今回の取り組みが、エンジニア採用のインターン体験向上に貢献できれば嬉しいです。

もちろん、ゆめみのインターンに興味を持ってくださっている学生の皆さんにも、このnoteを通じて楽しんで情報を得ていただければと思います。

また、サマーインターン参加者からも体験記を寄せていただきました。そちらに興味のある方は、目次から「Good:今回の良かったところ」をご参照ください。


YUMEMI エンジニアインターンシップ2023の内容

それでは早速、開催コンテンツについて紹介していきます。学生さんとの初めての接点である参加者募集から順に説明していきます。

募集開始

2月から企画準備を始め、4月末に会社HPで告知ページを公開しました。

【25・26卒】あなたに合わせたバディをみつけます!圧倒的なレビュー環境を体験する、ゆめみの2weeksサマーインターンの開催決定 | ゆめみ

エンジニアサマーインターンは各社が優秀な学生エンジニアを獲得するための激しい競争の場です。そんな中、弊社が1番の訴求ポイントに選んだのは「あなたに合わせたバディをみつけます!」でした。

面接の際にあなたの志向性を詳しくお伺いし、あなたと近しい志向性を持ったエンジニアをバディとしてご用意します。バディはインターン中のあなたの活動全般をサポートします。

志向性の近いバディは、ゆめみでのあなたのキャリアのヒントになるはずです。自分と志向性の近い人がどういうふうに活躍しているのか?「数歩先の経験を積んだ自分」から見て、今の自分はどう見えるのか?そんな疑問を全力でバディにぶつけて、自分らしいキャリアにつなげてください!

告知ページより

成長志向な学生さんに対し、「ゆめみのインターンに参加すれば思いもよらない成長ができる」というイメージを喚起するのが狙いでした。具体的なイメージを持っていただくために「志向性」というキーワードを使いました。

ここで「志向性」とは、以下のような「エンジニアとしてのタイプ」のことを指しています。

プロジェクトリード志向:マネジメントへ関心を持ち、アジャイル開発やスクラムのエッセンスを駆使しながら円滑なプロジェクト進行を実現することに興味がある方
デザインエンジニア志向:ユーザー体験の起点となるサービスデザイン・UIデザインから関心を持ち、効果的な開発の実現に興味がある方
テックリード志向:高い専門性や設計力・実装力を活かし、開発全体をリードしていくことに興味がある方 

告知ページより

そしてその根底には、「圧倒的フィードバック」というコンセプトがありました。

バディを始めとするゆめみのメンバーからは、期間中に何度もフィードバックを受け取ることになります。コードの書き方からSlackでの何気ないつぶやき、あるいはChatGPTのプロンプトまで!?360°からフィードバックが届くゆめみの環境をお楽しみください。

告知ページより

基本的には「飛び交うフィードバックの量を最大化しよう!」という方針を取った上で、「志向性」という軸でセグメントすることでフィードバックの質を上げるような仕掛けをしていった、というのが今回の戦略になります。

「圧倒的フィードバック」というコンセプトは今回の企画全体を通底するもので、そこには次のような想いがありました。

  • 就活イベントとして、参加者の自己理解を促進するような内容を提供したい

  • 「ゆめみらしさ」として、「いつでもどこからでもフィードバックが届く環境」を体感してもらいたい

  • 参加者にフィードバックを届ける・参加者からフィードバックをいただく経験を通して、ゆめみ側の成長にも繋げたい

また、コンセプト選定の際には、サポーターズさんの参加してよかったエンジニアサマーインターンランキング」を参考にしました。「メンタリング FB体制」が評価項目として挙げられています。

画像引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000045025.html

サマーインターンのメインコンテンツには「実際の社内プロダクトの追加開発」を選びました。ゆめみはクライアントワークの会社ですので、契約関係の都合上、インターン生に実際の業務を経験してもらうことは難しいです。しかし、少しでも実践的な開発経験を提供したいということで、このような選定になりました。

今回題材に用いた社内プロダクトには、Next.js App RouterやRustなどモダンな技術が使用されています。「モダンな技術を社員のメンタリング付きで学習できる」というのも訴求ポイントのひとつでした。

今回のインターンのターゲットは「ある程度実践的な開発力を持った学生エンジニア」であり、募集に際しても基本的な開発力を前提としました。

また、今回のインターン参加にあたって共通して求められる「開発力」として、以下を想定しています。
- Git/GitHubの基本的な操作ができる
- 基本的なアプリケーションの開発経験がある
- 新しい技術に対して素直にキャッチアップし、必要に応じて自学ができる
- わからないことに対して臆すること無く、積極的に質問することができる
- 円滑なテキストコミュニケーションができる 

告知ページより

成長を追い求める優秀層にとっては、「参加者のレベルが高い」ことも訴求ポイントになり得ます。実際に先述の「参加してよかったエンジニアサマーインターンランキング」では、評価項目として「周りのレベルの高さ」が挙げられています。

コーディングテスト(選考過程1/3)

6月からコーディングテストの受付を開始しました。
テストの内容はベーシックなAPI操作を要件としたもので、制限時間120分、提出締切は「応募から1週間」でした。Trackというプラットフォームを利用して実施しました。

最終的なエントリー数は85、その中でコーディングテストを提出してくださった方は50人程度いらっしゃいました。提出人数が予想よりも多く競争が激しくなったため、Track上で予め用意されたチェック項目以外にもコードの読みやすさなどを細かく確認しました。最終的に、コーディングテスト通過者は20人程度でした。

選考ファネル分析

コーディングテストを提出していただいた方には、合否関係なく全員にGood/Next形式のフィードバックをお届けしました。

# Good
- 短い時間で全てのケースを通過するコードがかけています。
- arrow functionでAPIを叩く関数をメインから独立させられています。
- パラメータをURLSearchParamsを用いて定義できています。

# Next
- 叩くAPIはfetchに直接ではなく、const URIなどで独立させると良いです。
- エラーハンドリングはmain関数ではない箇所ですると良いです。
- resultだけだと何の結果かわかりにくいので、hotelReservationResultなどにすると良いです。
- camelCaseとsnake_caseが混在しているので、統一すべきです。

参加者体験記より

面接(選考過程2/3)

コーディングテスト通過者に対して面接をお願いしました。候補者はフロントエンド・サーバーサイドいずれかの職種を選択し、同職種のゆめみエンジニア2名が面接を行いました。ゆめみは採用業務の標準化をしているので、特定少数の採用担当に限らないたくさんのメンバーに協力してもらいました。

面接の特徴

今回、面接の位置づけを「見極めよりはアトラクト」として、インターン生が自分らしさを引き出すことができるように努めました。具体的には、事前にNotionやGoogle Slideなどで自由に自己PRを作成していただき、「その自己PRの深掘り」を中心に面接を設計することで、候補者が自身の一番の魅力をアピールできる構造にしました。候補者の方が自己PRの作成に迷わないように簡単な例を事前に共有しています。

実際、この形式は好評だったようで、面接後のアンケートでは下記のような回答をいただいています。

自己アピールの資料を好きな形式でリンクで送れるのがとてもよかったです。
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アンケートで答える必要があった「PRを載せた資料」と言うのが、型にはまらない自由なPRができてとても良かった(ありがたかった)です!

面接後アンケートより

自己PRのリンクはGoogle Formで送っていただいたのですが、他にもGitHubアカウントや自身の志向性についてなど様々な情報を入力していただきました。

候補者の特徴

面接でお会いすることができた候補者の方々はどなたも優秀で個性的な方ばかりでしたが、「志向性」という点においては「テックリード志向が多い」という明確な傾向が見られました。具体的には、フロントエンドは約70%が、サーバーサイドは約90%が「テックリード志向」での応募でした。

これは、もしかしたら業界全体の特徴かもしれないし、「ゆめみに応募してくれる人」の特徴かも知れないし、RustやApp Routerなどの技術に惹かれる人の特徴かも知れません。あるいは、学生目線で「テックリード志向」以外での活躍のイメージが付いていないということかもしれません。

フィードバック

ゆめみでは基本の採用態度としてフィードバックを大切にしています。

採用面接の場は、求職者だけでなく、採用を行う採用担当にとっても大切な時間です。フィードバックは求職者の成長の機会につなげるためだけでなく、採用者のフィードバック力の向上の為にも重視します 

YUMEMI Corporate BASICsより

「圧倒的なフィードバック」がコンセプトの今回ももちろん、面接を通じてたくさんのフィードバックをお届けするよう努めました。大変ありがたいことに、アンケートでも下記のようなコメントをいただきました。

面接中にリアルタイムで貰ったアドバイスやフィードバックがとても参考になると感じた。
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自己PRについて深掘りして頂き、自分の不備などを知れて参考になりました
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面接中にリアルタイムで貰ったアドバイスやフィードバックがとても参考になると感じた。

面接後アンケートより

コーディングテストと同様、合否に関わらず面接にご参加いただいた全ての候補者に対し、面接に関するGood/Next形式のフィードバックを合否連絡と共にお届けしました。

面接結果は2週間後くらいに来ました。またしても、圧倒的なフィードバックをいただきました・・。この内容も貼り付けたいですが、原稿用紙3枚分くらいの文字数があるので割愛します。 

参加者体験記より

実際に計測してみると、平均して1100字程度のフィードバックをお届けしていたようです。ただ、面接でのフィードバックはどうしても面接官の属人的なものになり、600字程度〜2500字程度と文字数にばらつきがありました。

余談:面接のアイスブレイク

面接時のアイスブレイクについてもアンケートで高評価をいただきました。やはりインターンの面接となると学生目線ではどうしても緊張の場になるようです。

面接の最初に雑談の時間があって、緊張をほぐすことができ、ありのまま話すことができて良かったです。
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最初にアイスブレイクをして頂いたのですが、そのおかげでリラックスしてその後の質問に答えることが出来ました。

面接後アンケートより

実はアイスブレイクについては、サマーインターンの面接のために用意していたマニュアルにも例を明記していました。これをそのまま話した面接官は少ないと思いますが、面接の雰囲気としては概ねこのような感じだったのではないでしょうか。公正さ・誠実さをゆめみらしさとして意識しています。

面接官:やっぱり緊張されてますか?笑。ご心配いただくのもわかります。面接は緊張しますよね。
応募者:はい、緊張していますが、頑張ります。
面接官:ありがとうございます。 今回の面接は「サマーインターンの選考」ということで、見極めの要素が入ってしまいますね。

ただ、インターンでのチーム開発を考えると、「優秀な人を上から取る」というよりは、 「この人とこの人を組み合わせたらうまくいきそうだな、面白そうだな」 という感じで選考を行っていきたいと思っています。

また、大前提として、コーディングチェックを通過していただいている時点で、 〇〇さんは十分優秀な方であると認識しています。 ですので、この面接では、〇〇さんの自分らしさを中心にお伺いして、 我々からも〇〇さんの志向性に合わせたフィードバックを行っていけたらと思っています。 ぜひ、肩の力を抜いて、1時間お付き合いください。

【面接官向け】サマーインターン面接 完全マニュアル(内部資料)より

参加者決定(選考過程3/3)

約20名の候補者と面接を実施し、最終的に8名の方にご招待を出しました。「面接で候補者の特徴や能力を完全に把握することは難しい」という前提のもと、単純な能力の成熟度ではなく志向性、「この人とこの人がチームになったら面白いだろうな」という考えを軸に招待者を決めていきました。幸い、招待を出した8名全員に快諾のお返事をいただくことができました。

総面接期間は約1.5ヶ月で、期間中の毎週の定期MTGで招待者を順次確定しました。

サマーインターン参加者以外にも数名、「ぜひご招待したい」という候補者がいましたが、ゆめみ側のキャパシティの限界からサマーインターンへの招待は難しい状況でした。そこで、これらの候補者に対しては、時期をずらした通年インターンへの参加を提案しました。

事前準備・ノベルティお届け

8名の参加者を順次ゆめみSlackにご招待し、やり取りを進めていきました。
事前準備に関しては「インターン初日に使う自己紹介シートの作成」など一部Mustでお願いしたものもありましたが、基本的には任意項目としてご紹介するに留めました。事前に開発リポジトリへの招待なども行っていました。

参加者の皆様は非常に意欲的で、多くの方が自発的に環境構築や事前学習を行っていました。事前準備に対する報酬はお支払いできませんでしたが(報酬が提供されないことは事前に説明しています)、事前の準備がインターン期間中の活動をスムーズに進める助けとなりました。

余談ですが、弊社SlackチャンネルはそのほとんどがPublicになっており、インターン参加者も社員と同等の権限でアクセス可能です。インターン開始前からゆめみSlackを探検して情報を得ていた方もいました。

開始1週間前にはバディとの顔合わせを実施、直前にはノベルティをお届けしてボルテージの高まりを演出しました。

ノベルティの内容😍

こちらのノベルティは、デザイナーインターンで配布したものと同じです。

Slack joinに際した諸々の契約は総務の方に、ノベルティ周りの手配はデザインギルドの方にご尽力いただきました🙇

キックオフ!!(本番コンテンツ1/10)

いよいよサマーインターン本番です!今回のサマーインターンは基本的に10:00~19:00スケジュールで動いており、初日10:00からはインターンの全体像を説明するキックオフMTGを開催しました。

インターン中は各種イベントごとにSlack内に実況スレッドを作成し、参加者のコメントを促していました。コメントがなだれ込み、リモートでも活気に満ちた雰囲気が伝わってきました。

さらに、ゆめみのデザイナーが特別にサマーインターン用のZoom背景を用意してくれました。社員含めて統一したビジュアルを背負うことで一体感を出し、団結した雰囲気を作り出すことができました。インターン生用と社員用で背景色を分けることで、リモートで初対面の人が顔を合わせる場でもインターン生と社員の区別がつくように配慮されています。

インターン生用
社員用

チームビルディング(本番コンテンツ2/10)

キックオフMTGのあとは、4人1組のチームに分かれてランチ会 兼 チームビルディングを行いました。社内制度のミニレクを利用してご飯を食べつつ、事前に用意した自己紹介シートをもとに雑談するかたちです。

自己紹介シートには基本的な情報の他に「志向性チェックシート」「自分はここでチームメンバーを助けます」「自分はここをチームメンバーに助けて欲しいです」「今回のインターンの目標」などを記入してもらいました。

自己紹介シートの例(抜粋)

また、ノベルティの中に「自己紹介に役立つカードゲーム」が仕込んであったので、そちらを使ってちょっとしたゲームも行いました。ノベルティからチームビルディングに接続するという体験はなかなか面白く、また初日から和気あいあいとした雰囲気になることもでき、とても良かったです。

カードゲーム「あたしのことなんにもしらないくせに」(略称:あたしら)

れいっち研修(本番コンテンツ3/10)

チームビルディングをしてお昼休憩を挟んだあとは早速開発!…ではなく、今回のコンセプトである「圧倒的フィードバック」に沿った研修を弊社代表れいっちから実施してもらいました。

この研修は「最高のフィードバック研修」と題され、インターン生とバディが共に参加しました。「フィードバックは思ったことをそのまま伝えるだけでいい」「脳内を垂れ流せ」という、「フィードバックの仕方」についてのアドバイスに加え、「相手がフィードバックしやすいようにあえてツッコミポイントをつくって自己紹介をする」「弟子力を鍛えろ」といったような「フィードバックのされ方」についてのお話もありました。

実際の研修の様子

新卒研修も担当しているれいっちは、研修設計能力がゆめみ随一です。今回も学びとユーモアたっぷりの研修で、インターン終了後のアンケートでも高い評価を受けました。

課題説明会(本番コンテンツ4/10)

初日の最後には、開発で取り組んでもらう課題についての説明会を行いました。

今回のインターンの題材はJobboardという社内プロダクトの追加開発でした。既存機能の改修もあれば、新機能を設計からすべてを考えるタスクもありました。

いくつかのタスクをまとめてコースをつくり、各チームに「えいや」でコース選択をしてもらいました(触るプロダクト自体は同じです)。インターンは2週間あったので、Week1の課題がWeek2の課題よりも簡単にこなせるように、またWeek1とWeek2で開発内容に結びつきが見られるようにコース設計をしました。

開発(本番コンテンツ5/10)

Day2からは早速開発に取り組んでもらいました。

「10:00にSlackハドルでチーム朝会をする」以外についての開発の進め方は、完全にお任せしていました。インターン生はタスクを分担して並行開発を行ったり、チームや職種ごとにモブプロを実施したりと、開発スタイルを柔軟に選択していました。

開発中は基本的にはSlackハドルを開いてもらい、バディ社員はなるべくそのハドルに滞在するようにしていました。ただ、社員側から指示をすることはあまりせず、明確な質問が来たとき・余計な迷いが生じていたときのみサポートに入るようにしていました。

バディ担当の他にも「対象プロダクトの仕様に詳しい人」「技術メンター」「インターン運営」「ただのおせっかい」など、たくさんの社員がインターン生をサポートする体制を構築していました。期間中のサポートの基本体制は以下のようなものでした。

  1. ハドルにいる社員が質問に答えられる場合は直接回答

  2. そうでない場合は質問用のチャンネルに適切なメンション付きで投稿してもらい回答

「自律で開発を進めながら、困ったときにはすぐに頼れる」という開発者体験をお届けするように意識しました。

参加者の方々はとても優秀で、両チームともに開発スタート初日からPull Requestを出していました。中には「チーム開発がほぼ初めて」という方もいらっしゃいましたが、「志向性に基づいたチームアップ」が機能してか、お互いに補い合いながらそれぞれが長所を発揮していた印象です。

開発に苦戦する声ももちろんありました。期間中はインターン生ひとりひとりにOJTチャンネルを用意していたのですが、サーバーサイドではRust言語やDDDの難しさに関して、フロントエンドでは状態管理や型周りの複雑さに関してのつぶやきが多く見られました。ただ、あわせて「勉強になった」というポジティブな発言も多く見られ、開発の難しさもまとめて楽しんでいたようです。

アンケートでは課題の難易度を1~10で評価してもらいました。平均スコア6でしたので、難しすぎず簡単すぎない、ちょうどよいお題を提供できたのだと思います。

開発期間は実質7, 8日程度でタスク量からしてもかなり緊迫したスケジュール感でしたが、優秀な参加者の皆さんはこちらで明示的に用意したタスク以外にもプロジェクトのIssueをいくつも解決してくださいました。中には生産性で社員に引けを取らない方もいて、新卒エンジニアの私としては身が引き締まる思いでした。学生エンジニアのレベルはやはり年々上昇しているように思います。

2週間を通して、僕はテックリード志向で参加させていただいたこともあり(他にデザイナー志向、マネジメント志向があった気がします)、技術力的な面でかなり貢献できたと思います。期間中にマージされたPR数は計13個でした。均すと1日1つ以上のペースですね(もちろん小さいPRもいくつかありました)。自分のPR以外にも、チームメンバーのPRを手伝ったり、サーバーとの連携を普段からよく行っている経験を活かしてサーバーとのつなぎ込み部分の修正をしたりといった貢献ができたと思います。バディやメンターの方からも色々と褒めていただき、フロントエンドエンジニアとしての自信が付きました。

参加者体験記より

期間中は優秀なインターン生との技術談義がたくさん生まれ、技術の話が大好きなゆめみ社員も大変楽しむことができました。

GitHub上のコードレビューの途中で、設計についての議論が生まれている様子

Daily 振り返り会 with バディ(本番コンテンツ6/10)

1日の終わりに当たる18:00-19:00には、インターン生がバディと1対1で振り返りをする時間を設けました。インターン生にKFCCというフレームワークで日報を書いてもらい、振り返り会でバディが深掘りを行なう形式です。

運営全体としてコーチングを意識していましたが、実際にどのような対話設計をしたかはペアごとにばらつきがありました。純粋にその日の振り返りと次の日の目標設計に終始するところもあれば、振り返り自体はサクッと切り上げて技術談義をするところもあったみたいです。

バディは振り返り会後、1日のまとめとしてのフィードバックを贈るよう努めました。これは、フィードバックや感謝を贈るためのSlackワークフローから行われました。

フォームに入力された内容は以下のような形式で特定のチャンネルに投稿されます。社内の優秀なコーポレートエンジニアが開発してくれている、Feeditというピアボーナスシステムを模した仕組みです。このワークフローは振り返り会後に限らず、期間中は常時活用されました。

振り返り会やフィードバックシステムの導入により、社員とインターン生間で多くのフィードバックや感謝の言葉が交わされました。期間内に投稿されたFeedbackとThanksの合計はなんと200件以上です。

振り返り会やバディ制度はうまく機能していて、インターン生からも高評価をもらいました。

全社会視聴・取締役会参加など(本番コンテンツ7/10)

忙しい開発の合間に、インターン生がゆめみの文化や組織を理解するためのイベントも実施しました。

ゆめみでは毎月初めにオンライン全社会を開催しています。9月全社会がちょうどインターン期間内に開催されたので、インターン生の皆さんにも視聴していただきました。全社会は常勤取締役からの共有を中心に全社的な話題が展開される場で、ゆめみ特有の「まじめだけどもユーモラス」な雰囲気を味わっていただけたと思います。

また、インターン企画に若手のチャレンジ取締役が多く参加していたことから、「新卒1~3年目までのチャレンジ取締役チーム」の定例会も参加していただきました。実際の定例というよりはインターン用アレンジということで少し「おあつらえ向き」になってしまいましたが、組織的な課題にも新卒からまっすぐ取り組めることをご理解いただけたのではと思います。

他にもインターン生が自発的に開いたランチ交流会や、全社会の類似イベントである「ゆめみレター」がありました。

成果発表会(本番コンテンツ8/10)

それぞれの週の金曜日に、その週の成果をチームごとに発表してもらいました。

社内勉強会として広く視聴者を募ったので、たくさんの社員が集まって大盛況となりました。インターン生がすごい成果を出していたので社員はみんな驚いていました。

40分程度で270もコメントが付きました!

発表者であるインターン生も楽しむことができたみたいです。

Weekly振り返り会(本番コンテンツ9/10)

成果発表会のあとはチームでの振り返り会も実施してもらいました。Dailyの1 on 1振り返り会と同様、こちらもKFCCのフレームワークを活用しています。

画像は実際のWeek2の振り返りですが、素敵な振り返りだと思いませんか?「Week1よりもWeek2のほうが振り返りの成熟度も高かった」というインターン生の感想もありました。

総括(本番コンテンツ10/10)

サマーインターンの総括として、ひとりひとりにバディからのメッセージが書かれたWeb修了証をプレゼントしました。23卒の茶目っ気たっぷりなデザイナー&エンジニアが10%ルールを駆使して開発してくれたものです。リッチなアニメーションが付いている上に、期間中に受け取ったFeedback & Thanksがいつでも見られるようにもなっています。

デモ

SNSでシェアもしていただきました。

Good:今回の良かったところ

さて、ここからはGood/Next形式で今回のサマーインターンを振り返っていこうと思います。まずはGoodからです。ポイントを3つ、総合的な勝因を1つ挙げます。

1. 素晴らしい体験記を書いていただいた

実は最終日のチーム振り返り会のあと、体験記を書く時間を明示的に設けました。その結果、多くの参加者から素晴らしい体験記を頂戴しました。

(他にも執筆いただいた方がいらっしゃいましたら、お知らせいただけると幸いです🙇🏻)

インターン体験記はサマーインターンに対する貴重なフィードバックとなりますし、来年以降の応募者への広報としても大変有用です。執筆いただいた体験記は、「インターンの内容」だけでなく、「インターンを通じて感じたゆめみのあれこれ」についても詳述されており、非常に読み応えがあります。

またサマーインターン自体が23卒の方がチャレンジ取締役となって、進めた企画という風に聞いて驚きました。
23卒で取締役というのはなかなかのパワーワードですし、企画してから半年経たずして実際に開催というスピード感はなかなか真似できる会社さんは多くないと思います。

参加者体験記より

- ゆめみが抱えている課題とか正直に全部見せてもらえたので良かった。
- ギャグが滑って(?)も、どことなく温かみがあったんで、愛されてるんだなぁと思った

参加者体験記より

このnoteでもいくつか引用させてもらいましたが、多くのフィードバックがポジティブで、初開催としては大変ありがたいと感じています。

加えて、参加者の方々が言語化の重要性を理解し、自身の言葉でインターン体験を表現してくださったことは、私たちにとっても大変喜ばしいことでした。

2. 各種アンケートで高評価

参加者には最終日に各種アンケートを記入してもらいました。

「楽しかった」の項目は平均9.5overのスコアを獲得しました。まずは楽しんでもらえてたようで何よりです。

フィードバックをコンセプトにする上で、「参加者の自己理解が促進されること」が目標のひとつにありましたが、こちらも概ね狙い通りでした。

同時に、エンジニアインターンを開催するからには個人開発以上の成長機会を提供することも狙いとしてありました。こちらも大方成功しているようです。参加者のレベルも総じて高く、「コードレビューがためになる!」という声を聞くこともできました。

ゆめみではチームワークが基本であり、今回は志向性に着目してチームを決めていました。参加者にも是非チームに意識を向けてもらいたいと考えていましたが、2チームとも総じて良い雰囲気でしたし、アンケート結果にもそれが反映されています。

「圧倒的フィードバック」が誇大広告にならないようにと努めていましたが、実際多くの人に高評価をいただくことができました。

一方で一部の参加者からは「もっとフィードバックが欲しかった」「圧倒的と言うほどではなかった」という声もいただいているので、来年以降もよりインテンシブにチャレンジしていきたいです。

総じてサマーインターンの体験は良かったようですし、参加後のゆめみ志望度も上がる傾向にあったので、直接的な採用効果としては及第点を取れたと考えています。インターン終了後すぐに本選考に申し込んでくれた方もいらっしゃいました。

3. ゆめみ側の成長

今回のインターンでは、バディとして参加した社員も学びと成長の機会を得ました。実施したアンケートによると、多くの社員が「自分自身の勉強になった」と感じたと共有しています。特筆すべきは、今回バディを務めた全員が23卒であり、このインターンシップを通じて「後輩を持った際の振る舞い方」を一足先に学ぶことができたところです。これは今後のキャリアにおいて非常に価値ある経験となったでしょう。

サマーインターンの企画・運営もまた、多岐にわたるスキルが求められる「総合格闘技」でした。企画設計、広報戦略の立案、資料作成、コミュニティ作り、多方面への調整、選考プロセスの運営、そして参加者とのコミュニケーションなど、多様な作業を経験することができました。

サマーインターンの運営コアチームは、私を含む23卒、22卒、21卒の若手で構成されていました。各メンバーはこれらの作業を通じて、プロジェクト管理やチームビルディング、コミュニケーションスキルの向上など、多くの実践的な学びを得ることができました。

バディ担当以外にも多くの23卒が企画に協力してくれており、各々がそれぞれの責任領域を持ちながらも、一致団結してインターンプログラムを成功に導いてくれました。結果として、深い仲間意識やチームワークの重要性を実感しています。

勝因:圧倒的FBという核を定めたこと

総じて、初開催にしては上手くいったのではないかと考えています。そしてその一番の理由として、「圧倒的フィードバック」というコアコンセプトを定めたことが良かったと分析しています。

サマーインターンのコンセプトとして「App RouterとRustでハイレベルな開発!」や「仮想クライアントを建ててクライアントワーク模擬体験!」といったものを打ち出すこともできました。しかし「圧倒的なフィードバック」というコンセプトは、下記の点でその他のアイデアよりも優れていたと感じます。

  • わかりやすい

  • コンセプトが体験の質の向上へ直結している、参加者である学生の「ためになる」ことが明確である

  • 他社サマーインターンと差別化できる、ゆめみらしい

運営するゆめみ社員としても目指すべき場所が明確だったので、一致団結した雰囲気がありました。0から企画を考える上でも「どうすれば圧倒的なフィードバックにつながるか?」という判断軸は大変役立ちました。

Next:次回に向けての機会点

ポイントを7つ挙げます。

1. 選考期間を少し早める

今回の選考スケジュールは下記のようなものでした。

  • 4月末に告知

  • 6月半ばからコーディングテスト受付開始

  • 7月頭から面接開始

結果的には本番に準備が間に合ったので良かったのですが、「競合他社と比較して告知時期が遅れたこと」「コーディングテストの準備に手間取って告知から期間が空いてしまったこと」を機会点として認識しています。もし、次回のサマーインターンも今年と同様の時期に開催するのであれば、「4月頭に告知」「5月末からコーディングテスト受付開始」といったスケジュールにしたいです。

また、「エントリーが遅いほどコーディングテスト通過率が下がる」という傾向が見られました。次回以降はコーディングテスト受付期間をもっと短くしてもいいかもしれません。

コーディングテスト合格率の推移(合格数/エントリー数)、カラムはエントリー期間

2. コスト削減

サマーインターンの費用要因には下記のようなものが挙げられます。

  • 企画人件費:コンテンツ企画にかかる人件費

  • 選考人件費:コーディングテストや面接にかかる人件費

  • 本番運営人件費:本番開催にかかる人件費

  • その他:ノベルティやインターン生給与など

このうち「本番運営人件費」や「その他」については、インターン生の体験損失に直結するので削減が難しいです。

一方で「企画人件費」に関しては、来年以降も企画を再利用することで大きく節約できます。今年は合計で5人月ほど企画人件費がかかってしまいましたが、次回以降は1人月程度に圧縮することを目指します。このnoteも含め引き継ぎ資料を充実させることで、再利用可能な部分を最大化しています。

余談:サマーインターンの費用対効果

サマーインターンの採用効果について、ざっくりと下記の2つに分解できると考えています。

  • 直接採用効果:サマーインターンに参加した人への採用効果

  • 間接採用効果:サマーインターンに参加しなかった人への採用効果

このうち、直接採用効果に関しては数年後に内定承諾率などを計算することで明確な数字を出すことができます。サマーインターンは優秀な学生エンジニアと深い接点を持つことが重要な機会ですので、重要な指標です。

一方で、今回の募集人数である8人は、ゆめみの新卒採用規模からするとそこまで大きな数字ではありません。また内定承諾に関しても、たとえサマーインターンで手厚い体験を提供できたとしても、決してこちらが強制できるものではありません。ですので、直接採用効果だけを見ると費用対効果としてはそこまで高くないかもしれません。

そこで間接採用効果について考えることになります。こちらは主に「サマーインターンの開催を通じてゆめみの認知が増え、応募者が増える」「サマーインターンの開催を通じてゆめみの認識が深まり、応募者のゆめみマッチ度が高まる」といったブランディング効果を想定しています。しかしこちらは、直接の推定が難しいです(良い推定方法があればご教示いただけると助かります🙇)。

以上から、サマーインターンの費用対効果については「参加者に最高の体験を提供して直接採用効果を高めるのは当たり前として、ブランディング効果を発揮できないとおそらく赤字になるので、ブランディング施策も組み込んでいこう」という解釈をしています。具体的に「ブランディング施策」とは、参加者体験記や本noteのことです。

加えて、「ブランディング効果は採用費用全体をn%改善する」といった解釈をすると、サマーインターンは採用規模がある程度大きくなってからの施策であると考えられます。

3. 毎年、一定の関係者人口を生み出すための仕組み化

サマーインターン運営のコアコミッターは数名で、開催には多くの協力者が必要です。今回はたまたまたくさんの23卒の方にご協力いただきましたが、継続開催していくためには一定の仕組み化をしなくてはなりません。

例えば、今回のサマーインターン運営は他のインターンWG(ワーキンググループ)と独立して活動していたので、ゆめみ内の各職種ギルドのインターンWGと連携していくことが展望として挙げられます。こちらはすでに動き始めています。

4. 全社的なインターンデザイン

上記の組織化とあわせて、全社的なインターンデザインにも取り組んでいきたいです。具体的にはデザイナーインターンやモバイルインターン、その他のインターンを含めた統一的なインターンブランディングを進めていきたいです。

特に「圧倒的フィードバック」のコンセプトは、フロントエンド・バックエンドに限らずゆめみならどの職種でも使えると思うので、その軸で採用ブランディングしていくことを想像しています。3, 4年後には「圧倒的フィードバックを受けたいからゆめみのインターンに応募する」という状況を作りたいです。

5. バディの学習機会の強化

毎日の振り返り会を中心としたバディとの時間は、インターン生の体験に大きな影響を与えることが明らかになりました。バディ側からも「勉強になった」「楽しかった」というポジティブなフィードバックを多く受け取っています。

しかし一方で、「振り返り会のネタが切れた」や「話題が技術に偏りすぎて迷いがあった」というバディ業務の難しさを指摘する意見も共有されました。今年は社内のコーチングチームの協力を得て、インターン期間中に「公開コーチングセッション」という社内勉強会を開催していましたが、来年以降はインターン期間前にも学習機会を提供したいと考えています。

また、バディによってフィードバックの得意不得意があり、インターン生のフィードバック体験に個人差が生まれることも観察されました。全体の体験の質を底上げするためにも、フィードバックに関する学習コンテンツの拡充を進めていきたいです。

6. 本選考優待を含めた選考設計

サマーインターンのコーディングチェックは本選考のものよりも簡単であったため、当初はサマーインターン参加者に対して本選考優待を設定していませんでした。選考時の案内では「本選考とは一切関係ありません」と明記していました。

しかし実際にインターンを経験してみると、サマーインターンで技術的な実力が十分に伝わり、優秀な参加者には本選考優待を提供しても良い、または提供すべきだとの認識に至りました。インターン生からも「特別選考フローが欲しい」という声をいただき、これに対するニーズを感じています。そこで、来年以降は本選考フローを踏まえた総合的な選考体験デザインを考慮し、実施していく計画を立てています。

7. 数年スパンで追跡して各種メトリクス計測

参加者が25年、26卒の学生であったため、「サマーインターンからの内定承諾率」などの各種メトリクスの本格的な計測は数年後から可能になると見られます。実際、企画段階ではメトリクス設計に十分な配慮がなされていなかったため、現時点では「何を重視し、どのように追求していくべきか」が明確でない状態が続いています。

これに対し、社内のデータ分析チームの支援を受けながら、数値を意識した企画設計を進めていきたいです。プロジェクトの目的と成果を明確にし、効果的な評価と改善を行える体制を構築していきます。

おわりに

振り返ってみると、運営メンバーやインターン生を始めとして、バディの方々、選考に携わってくださった方々、デザイナーの方々、広報、総務、システクの方々など、本当にたくさんの方々の協力を得て開催できたサマーインターンでした。改めて感謝申し上げます、ありがとうございました🙇

初開催のサマーインターンでしたが、たしかな手応えを感じているため、来年以降も継続して開催していきたいと考えています。ゆめみに興味を持ってくださっている学生の皆さまはぜひご応募くださいませ。

株式会社ゆめみはITサービスの内製化支援の会社です。採用支援ももちろん実施しております。

代表や各メンバーのDMも開放しておりますので、採用周りのご相談などお気軽にお尋ねください。

参考資料

今回のサマーインターン開催のために、たくさんの資料を参考にしました。執筆してくださった方々、ありがとうございました。

↓全体的に、サポーターズさんのサマーインターンの分析が参考になりました。

↓インターン生に自社テックブログで体験記を執筆してもらう施策が参考になりました

↓TA・チムサポ・フリサポ・シニアサポ・人事サポ・講師・アドバイザーというふうに、何層にもサポート体制を構える工夫が参考になりました。

↓私自身が学生時代にサイボウズさんのサマーインターンに参加しており、今回のインターン設計でも強い影響を受けています。


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