相撲・クラッシュド

(前回のあらすじ:大海原の恩人である小田原親方に持ちかけられたのは、八百長であった。大海原は失意と諦念、そして自らの膝のケガから八百長を受け入れたが…)

「本気でやってもよォ。負けるぜ。なぁ。」

「何いってんですか大関。」

赤鯱は知っているだろう。相撲は二流だが情報は一流だ。俺みたいな馬鹿よりこういうやつに名跡をくれてやるべきだ。

「7で大関ですよ。」

「おべんちゃら言うな。俺が3だよ。」

俺は赤鯱に笑った。

「なぁ。俺みたいな力士になるなよ。」

「なれませんよ、とても。」

(分かるか赤鯱。今なら10だ。10勝てんだ。)

今場所優勝し、来場所も持てる手全てを使って優勝する。横綱になって引退する。そのための大事な金星は、あのヘボ横綱が握って渡したいくらかの金と一緒に頂く。

(泥だらけだなァ、でも最初っからそうだったんだ、土俵は土でできてんだから。)

花道を抜けると大好きな大好きな、土俵だ。

【Tomorrow's torikumi...】


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