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【ライブレポ】『早見沙織 Concert Tour 2019 “JUNCTION”』、幾度でも期待を上回る圧巻の歌唱力

※2019年5月1日のブログ記事より。

早見沙織のコンサートツアー『早見沙織 Concert Tour 2019 “JUNCTION”』。
そのツアーファイナルが、4月29日(月・祝)に東京国際フォーラムにて開催された。
前回の東京でのライブは、2018年12月。昨年はツアータイトルにもなっているアルバム『JUNCTION』を発売したりと、音楽活動を積極的に行っている声優・早見沙織だが、その圧倒的な歌唱力もあってファンにとっては待ちきれないライブ開催であった。

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半透明のスクリーンに水玉模様が映し出されて、『Let me hear』の前奏が流れ始める。
「東京楽しんでるー!?」の声とともに、早見が小さな階段の上から登場。鮮やかなショッキングピンクのドレスが、柔らかな笑顔とよく似合う。
ギター、ピアノ、ベース、ドラムの恒例の“ブラックコーナー”メンバーに加えて、弦2人、コーラス2人が加わった豪華な編成。「恋なのか夢なのか教えてよ!」と歌いながらマイクを客席側に向けると、会場からは「Wow oh oh」と息ぴったりの大合唱が起こる。

間髪入れずに続くのは『Secret』。おしゃれで大人っぽい曲調だが、ライブの温度感と合わさるとまた違った表情を見せる楽曲だ。自然と沸き起こる手拍子が、高揚したファンの気持ちを代弁している。

ここからは、息をつく間もなくアニメのタイアップ曲が続く。
まずは『赤髪の白雪姫』オープニングテーマの『やさしい希望』。次に『劇場版 はいからさんが通る 前編 〜紅緒、花の17歳〜』主題歌の『夢の果てまで』。そして「最後ですから、思い残すことなく堪能して帰っていただければと思います!」との言葉とともに、『カードキャプターさくら クリアカード編』エンディングテーマ『Jewelry』が送られる。
出し惜しみをしない選曲に、何度も早見沙織のライブに通っているファンも、この日初めて早見沙織のライブに来たファンも、会場中が一体となる。

とはいえやはり、その歌唱力でノンタイアップ曲でもしっかりとファンの心を鷲掴みにするのが“早見沙織”だ。
『SUNNY SIDE TERRACE』、『メトロナイト』、『白い部屋』、『祝福』と、アルバム『JUNCTION』に収録されているノンタイアップ曲が続く。
『メトロナイト』では、いつもより少し大胆にしゃくり上げたり、最後の「もっと」の歌詞に合わせて顔を横に向けたりと、ファンにはたまらないセクシーさ。生演奏内で随所に散りばめる遊び心からは、もはや1人のアーティストとしての品格が漂う。

『interlude: forgiveness』を挟んで、白いドレスに身を包んだ早見がグランドピアノの前に静かに座る。ピンク色の靴と、ドレスの内側からはエメラルドグリーンのスカートがチラつく。
ここからは弾き語りコーナーだ。もったいないことにファン以外の間ではあまり知られていないが、実は声優とは思えないほどにピアノの腕がある早見。矢吹香那さんによる難易度の高いアレンジにもかかわらず、この日も目立ったミスなどは無く、『星になって』、『琥珀糖』の2曲を完璧に弾きこなす。歌とピアノの二重の音で、豊かな感情表現がさらに倍になって伝わってくる。

「レコーディングのときは歌とピアノで別録りだったので、弾き語りとなると緊張しますね」と語る早見。「今日が平成最後のライブになるという人ー?あれ、平成って明日で終わるんだっけ?」などと、ファンを和ませるMCはいつも通りだ。
広島、大阪、北海道とツアーを回っていく中で、曲やパフォーマンスのマイナーチェンジを繰り返していたという。前の3公演では「ラララ」で歌ってきた未発表の新曲は、東京公演で初めて、歌詞の付いた『カーテン』として弾き語りで披露。新しい時代が始まる今に、ぴったりな楽曲だ。

ここでバンドメンバーが戻ってきて、『ESCORT』、『little forest』、そしてカバー曲の『FLY ME TO THE MOON』をJuzzyに歌いこなす。水色やピンク、赤、緑とカラフルなドレスだ。
『FLY ME TO THE MOON』は、歌い終えると満面の笑顔。小さい頃からお母さんと一緒に歌ってきて、さらに某25歳児のキャラクターとしてもカバーをしたことがあり、「Pの方々の目線が感じられますが」との前置きの上で、二重に思い出深い曲だと話す。

そしてJuzzyなムードから一転、「東京!かかってこいやー!」との煽りで『僕らのアンサー』が始まる。
「僕らのアンサー」との歌詞の部分で、マイクを客席へ向ける早見。待ってましたと言わんばかりに大合唱が起こる。

アップテンポな曲が続き、会場はさらにヒートアップ。
『夏目と寂寥』は、サビでの「あ・な・た!」やブリッジでの「見切り発車!」などのコールもばっちり決まり、客席とは阿吽の呼吸だ。
そして、まだライブ音源しか発売されておらず、演奏するごとに異なる色合いを見せる『where we are』。最後のサビの歌詞は「ときめきを君と見つけたよ」のバージョンだ。
『Blue Noir』では、各バンドメンバーのソロ演奏に引けを取らないスキャットを披露する。

本編最後の曲は、『温かな赦し』だ。
「今は充電したいです、休みたいです、そんな前も後ろも止まってる状況でも、自分自身らしくていいんじゃないかって思えたら」との想いで、本楽曲を作ったという早見。
1人1人のことを肯定してくれるような温かな歌声が、東京国際フォーラムを包み込む。

鳴りやまない拍手は、自然とアンコールの手拍子へ。
「アンコールありがとうございます~!」との声とともに、ツアーTシャツ、ピンク色のスカートに緑色のヘアアクセサリーをまとった早見がステージに再登場する。

ニコ生特番、ライブBlu-ray&DVDの発売、秋のライブ開催と盛りだくさんの情報解禁の後、『eve』を弦・コーラス・ボーカルの変則編成で披露。途中でボーカルのみのアカペラになるシーンもあり、早見の音感とリズム感に圧倒される。
そして再びバンドメンバーが加わり、竹内まりや作詞・作曲の『新しい朝』、そして他公演を締めくくってきた『Bye Bye』が続く。

「最終公演ですので、もう1曲歌います」とのサプライズに、会場からは「おぉ~!」との声が上がる。
東京公演を締めくくるのは、『To years letter』。最後の「ラララ」を大合唱で終え、『早見沙織 Concert Tour 2019 “JUNCTION”』は幕を閉じた。

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“声優”という枠をも飛び越えた歌唱力は、重々承知しているつもりだ。
それでも、ピアノ弾き語りや弦・コーラス・ボーカルの変則編成での歌唱など、「ちょっと歌が巧い」程度では手を出せない領域を完璧にこなす姿には、驚愕せざるを得ない。
さらに今回、同期して流しているサウンドは一切無し。最近ではアニソン以外のアーティストを含めても極稀にしか見ない、すべてが生演奏のライブだ。早見のアーティストとしての、さらにはクリエイターとしてのプライドを感じ、またそのマルチな才能がもっと世に広まってほしいと強く思う。

次回のライブは、2019年秋に東京・大阪にて開催予定。
どんな姿を、どんな音楽を見せてくれるのか、今から楽しみで仕方がない。



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