令和になってやっと、メロキュアという奇跡に気付く

家で過ごす時間が増えて、今まで以上に動画や音楽に触れるようになった。
ただし新作は制作スケジュールの兼ね合いから延期となっているものが多く、必然的に不朽の名作や名盤に触れている。

やはり名作や名盤は、そう言われるだけのものが多分にある。
家で1人きり、刺激のない毎日を送っているはずなのに、ただ名作や名盤に触れるだけで心がギュッと豊かになる。
スティーヴィー・ワンダー、言の葉の庭、SUITS、竹内まりや……ここに並べるのは若干躊躇するけれど、全裸監督もなかなか深い。
「時間あるときにチェックしよう」と思っていた作品群。こんなにも溜まっていたのかと我ながら呆れてしまう。

なかでもハッとしたのは、メロキュアのアルバム『メロディック・スーパー・ハード・キュア』を聴いたときだった。言わずと知れた、名盤。
しかし今までサラッとしか聴いたことがなかったので、これを機にきちんと高音質で向き合ってみようとハイレゾを再生してみた。

すると、なんとまぁ仕事が進まないこと!

古い音源にもかかわらず、ハイレゾのクオリティーが高い

まず、ハイレゾのクオリティーが高い。

メロキュアの音源のほとんどは、2000年代前半に録音されたものだ。
やや古めの音源にも関わらず、まるで音符1つ1つが生きているかのような生っぽさだ。

理由はおそらく2つ。
1つ目は、元々の録音が高水準だったこと。
e-onkyoに掲載されている日向めぐみさんとディレクターの菅原拓さんのインタビューでは、Pro Toolsを使って48kHz/24bitのマルチトラックで録音を行っていたこと、デジタルデータや状態の良いアナログデータが残っていたことが語られている。

“どこにいたって聞こえる”-- メロキュア、10年振りのNEWアルバム『メロディック・スーパー・ハード・キュア』がハイレゾで登場!

とはいえ、48kHz/24bitだ。
ここで2つ目の理由として、マスタリングが高水準だったことが予想できる。
アイマスなどの音源を聴いていても思うが、コロムビアのハイレゾは結構びっくりするほどクオリティーが高い。独自技術の「ORT」は2015年12月より開始したため、残念ながら『メロディック・スーパー・ハード・キュア』には使用されていないが、それでもコロムビアの方々のインタビューを見ると「96kHz/24bitくらいにならないとハイレゾじゃない」などと語っており、音質にこだわりを持っていることが伺える。
(その代わりコロムビアは、ハイレゾのマスタリングになかなかの時間を要しがちなのが玉に瑕だが…。)

リミックス版を聴いて実感する、原曲の凄さ

『メロディック・スーパー・ハード・キュア』は、17曲目以降(CDのDISC2)に多数のリアレンジやリミックスを収録している。
しかし何というか、「これじゃない」感がすごい。

クラムボンのミトさん他錚々たるメンツが手掛けているし、けしてリミックス自体が悪いわけではない。
ただ単純に、原曲の時点で曲が完成しきっているのだ。

メロキュアの楽曲は、『Agapē』を初めとしてリズムやピッチに揺れがある。
崩れ落ちそうで崩れ落ちない、ギリギリのところで、アンバランスなバランスを保っている

だから綺麗に整えられたリミックス版を聴けば聴くほど、原曲の完璧なまでのアンバランスさに気づかされる。
それは他の誰によっても再現できないのだ。

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ロングヒットが続いている『メロディック・スーパー・ハード・キュア』。
ハイレゾを聴いて、メロキュアが愛され続ける理由が分かりすぎるほどに分かった。

メロキュアは、奇跡だ。

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