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結局アニソンを聴きまくるのに最も適しているストリーミングサービスはどれなのか(※ステマ無し)

※2019年12月13日のブログ記事より。
※2021年9月19日に最新記事をアップしました!合わせてご覧ください。

Mr.Childrenや椎名林檎、松任谷由実らがストリーミングを解禁し、“ストリーミング元年”“サブスク元年”などとメディアで騒がれていた2018年。
それから1年が経過して、BUMP OF CHICKEN、星野源、LiSAとストリーミング解禁の波は止まらない。ランティス、フライングドッグといったアニソンレーベルもあとに続き、遂にアニソン界にもストリーミングの波が訪れている。

私はとある音楽配信サービスで中の人をやりながら、個人的な興味としても、いろいろな音楽ストリーミングサービスを使ってみている。そのうえで強く実感するのは、ここ1~2年でのアニソンのストリーミングサービスの大きな変化だ。
日々情勢が変わってきている昨今、改めて“アニソンに適しているストリーミングサービス”を本気で考えたい。もちろん、ステマは無しで。

前段:オタクはストリーミングサービスにどのように向き合えばよいのか

■そもそも、CDと配信をどう使い分けるか
まず初めに。
この記事で想定しているのは、「大好きな作品についてはCDを買い、ちょっと気になる作品についてはストリーミングで聴く」という聴き方だ。

やはりオタクにとっては、イベント抽選券や豪華特典がついてくるCDは欠かせない。ただ、ちょっと気になっているアーティスト・コンテンツや、あるいはアニサマなどのライブの予習として、ストリーミングサービスは非常に有用だ。

■音楽配信を聴くことで、“推し”にまでお金は届くのか
ちなみにオタクが気になるのは、「ストリーミングを聴いても、“推し”にまでお金が届かないのでは?」「やっぱりCDを買ってあげないといけないのでは?」という点だ。
個人的な答えは、「ストリーミングでもたくさん聴いてあげて」だ。

2014年頃、テイラー・スウィフトがApple MusicやSpotifyでの配信を拒否したり、スガシカオが「DLでも嬉しいけどCD買ってほしい」とツイートしたことが話題になった。
実際当時は音楽配信市場がまだまだ小さかったため、ストリーミングやDLでは本当に微細な利益しか出ていなかったのだと思う。逆にフェスなどのライブやグッズ販売が興隆していたため、「音楽配信はライブで稼ぐための宣伝ツール」という認識すらあった。

しかしストリーミングの会員数も再生回数も増えてきた現在は、ストリーミングでもそれなりに稼げるようになってきた……との噂を聞く。
文句を垂れ流していたテイラー・スウィフトも、2017年にストリーミング解禁。スガシカオもがっつり全曲配信しているので、ここ数年間の間に随分と状況は良くなってきているのではないだろうか。

もちろん現在でも、最も収益率が良いのはCDだ。ただ多くのストリーミングサービスが、再生回数を基準にしてアーティストサイドに利益を還元しているので、CDやDL音源を買いつつ、ストリーミングで楽曲を聴きまくれば“推し”にもお金が届くはず。
とはいえ、1人で1曲を何百回も聴けば良いというものではない。配信サービスによっては、同一人物による複数回の再生はカウントしていない(じゃないとランキング等が不正になってしまうので)。だから1人でストリーミングを聴くのではなく、たくさんの同担さんを巻き込んでストリーミングサービスに登録する……というのも、推しにお金を届けるためには大切なのかもしれない。

■アニソン界のストリーミングに対する認識
「オタクは結局CDを買う」――。
J-POPのストリーミング解禁が続く中、アニソンについてはそんな声が聞こえていた。1番利益率が高いCDがまだ売れるのだから、CDビジネスに特化していればいいじゃないか……という、何ともオタクの足下を見られている戦略だ。まぁ確かに、CD買うけどさ。

そんななか、アニソン界に大きな影響を与えたのはやはり『ヒプノシスマイク』だろう。YouTubeにMVをフル尺で上げながら、CDに収録されているドラマパートも含めて、全曲をフル尺でストリーミング配信している。とにかく間口が広い。
まだ『ヒプノシスマイク』を聴いたことがない人も、まず自分が登録をしている配信サービスで楽曲を聴いてみて、だんだんとハマってCDを買い始める。爆発的なブームを遂げた理由の1つだ。

最近ソシャゲが続々とサービスを終了しているなか、「スマホゲーム」に代わる「音楽ストリーミングサービス」という新しい媒体が現れたことは、作り手側にとっても嬉しいことだろう。
J-POPであいみょんがストリーミングからブレイクしたように、アニメ・ゲーム系コンテンツでも、今後ストリーミングを契機にブレイクする作品が多数生み出されるかもしれない。

本題:アニソンを聴きまくるのに最も適しているストリーミングサービスは?

それでは本題に入ろう。
結局アニソンを聴きまくるのに最も適しているストリーミングサービスはどれなのだろうか?

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■楽曲数
まず現在の各アニソンレーベルの配信状況は、次のような状態だ。

①SACRA MUSIC(ソニーミュージック)、キングレコード
Apple Music、Spotifyといった大手ストリーミングサービスに提供

②ランティス(バンダイナムコアーツ)、フライングドッグ(ビクター)
ANiUTaにのみ提供していたが、最近は他サービスでも徐々にストリーミング解禁

③その他レーベル
全サービス共通で配信

ちょっと前までは、各音楽配信サービスで配信されている楽曲数にかなりのばらつきがあったが、ランティス、フライングドッグが徐々にストリーミング解禁を始めたことで、最近は随分と差が埋められてきた。

これまでランティスとフライングドッグを独占配信し、一歩抜きん出ていたANiUTa。月額600円という破格の価格帯でも、ユーザーを魅了してきた。
しかしランティスとフライングドッグが他サービスでもストリーミング解禁をし始めた現在、むしろANiUTaはSACRA MUSICとキングレコードが未配信である点が痛手となっている。

なおアニソンの楽曲数については、くまかずさんという方のブログが緻密かつ最新なので、気になる方は是非見てみてほしい。

【2019年】Apple Music と各サブスクのアニソン 聴き放題事情

■使いやすさ
楽曲数に大きな差がなくなってくると、重要になってくるのは使い勝手だ。特にアニソンは作品名とアーティスト名が異なる場合も多く、例えば「ラブライブ」と検索をかけたときに「μ’s」「Aqours」の楽曲が引っかかるか、という点が使い勝手を大きく左右する。
オフィシャルプレイリストが豊富か、新作が見つけやすいかという点なども、考慮する必要がある。ただしオフィシャルプレイリストは若干のタイムロスがありがちなため、ライブのセトリを予習復習のためには、リスナー側の作成するプレイリストが豊富がどうかも重要だ。

そこで今回、楽曲の探しやすさという点で特に差が出てきそうなラブライブを中心に、各ストリーミングサービス間で仕様を比較してみた。

プレイリスト数で言うならば、SpotifyとApple Musicが圧倒的だ。
SpotifyはSNSへの共有機能の精度が良く、Twitterはもちろん、Instagramなどとも連携している。そのため、リスナー作成のプレイリスト数が豊富だ。
検索機能も有能で、「ラブライブ」と検索をかけるだけで「μ’s」「Aqours」がきちんと表示。
強いて言うならば、プレイリストの全件検索がちょっと手間で、「すべてのプレイリストを表示」というタブをタップして、1つ奥の階層まで進まないとすべては表示されない。もし完璧に使いこなせるようになれば、Spotifyが現状最もバランスの良いサービスだろう。

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Spotifyと同様に、リスナー作成のプレイリスト数が豊富なのがApple Musicだ。会員数が圧倒的に多いゆえ、プレイリストの充実具合はさすがとしか言いようがない。
iTunesユーザーは、ダウンロード音源がサービス内で同期できる点も素晴らしく便利だ。
(※iTunesのサービス終了が報道されているが、ダウンロード済みの音源はApple Musicに引き継がれるだけなのでご安心を。 )
しかし検索機能は斜め上をいっていて、「ラブライブ」で検索をかけると、アーティストとしてprintempsのみ表示された。

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Amazon Music unlimitedは、アニソンが非常に探しやすい。ニューリリースで「アニメ・ゲーム」ジャンルを絞れるため、新譜やプレイリストへ最短距離でアクセス可能だ。
ただしプレイリストについては、検索で引っかかるのがANIMA、GAMERZといったオフィシャルプレイリストのみ。ライブのセトリは存在せず。 もしリスナー作成のプレイリストも検索できるようになったら、間違いなく1番おすすめしたいストリーミングサービスなのだけれど……。

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YouTube Musicは検索精度があまり高くなく、「ヒプノシスマイク」で検索をかけると、公式の音源よりも先にカバー音源が表示されてしまった。プレイリストの数も非常に少ない。またAppleユーザーは料金が高いため、注意が必要だ。
(※Appleユーザーでも安く使える裏技はあるらしいので、気になる方は調べてみよう!)
とはいえ、PVをまとめた動画のプレイリストも作成・検索できるのは、他サービスにはない魅力。そしてYouTubeを広告無し・オフラインで楽しめるYouTube Premiumは正直魅力的だ。詳細は後述したい。

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忘れてはいけないのがAWA
一時期と比較するとあまり広告を見なくなったが、しばらく見ないうちにアニソンプレイリストが非常に充実していた。しかも中の人(20代女性のようだ)が、火傷をしそうなほどアツい。正直盲点だった。「アワアニメ」としてTwitterもやっているので、アツさが気になる人は要チェック。
ただしアニソンユーザーが少ないせいか、ライブのセトリに合わせたプレイリストがほぼ存在しないのが玉に瑕。あと公式が元気すぎるので、元気があるときにだけ使いたい。

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次に、低価格帯サービスに目を向けよう。
何はともあれ、ANiUTa。ご想像の通り、プレイリスト数の豊富さで言ったら圧倒的だ。
特にランティス・フライングドッグのファン層は厚く、ラブライブのライブセトリだけでも、何種類も出てくる。
しかし「楽曲数」でも述べた通り、SACRA MUSICやキングレコードは未配信。例えばヒプノシスマイクは、検索をかけても何も表示されなかった。

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学生にオススメしたいのがLINE MUSIC。学生プランだったら月額480円だ。
LINE MUSICはユーザー層が若く、流行りのJ-POP・K-POPがランキングの大半を占めているが、一応アニソンも揃っている。特に 「ラブライブ」のような若いファンの多い作品は、プレイリストの数も豊富だ。
ただし公式側については、アニソンの知識が薄い感は否めない。例えば「アイドルアニメソング集」という、 曲数や曲順次第で大戦争が起こりかねないプレイリストを発見。本当にアニソンが好きな人にとっては、フラストレーションが溜まるかもしれない。

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同じくdヒッツも、月額500円とワンコインだ。
洋楽の楽曲数の少なさがよく指摘されているが、アニソンに関してはランティス、フライングドック、SACRA MUSIC、キングレコードも含めて一通り揃っていて、けして悪くない。
強いて言えば、プレイリスト数が全体的に少ないか。もっとユーザーが増えれば魅力が増しそうだ。

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■音質
視点を変えて、音質についてもチラッと触れておこう。

音質に力を入れているのは、Amazon Musicだ。2019年9月より「Amazon Music HD」を開始させて、遂にハイレゾをストリーミングで聴ける時代に突入。なおハイレゾ、CD音質、圧縮音質、ダウンロード音源などをすべて同じプラットフォームで提供しているので、検索をかければ何かしらの音源は表示されるようになっている(良くも悪くも)。

ただし現状Amazon Music HDのハイレゾは、目を見張るほどには(耳を聴き張るほどには?)高音質というわけではない。音質オタクの間では、「これって本当にハイレゾ?」との話もチラホラ。
さらに冒頭で述べたような「大好きな作品についてはCDを買い、ちょっと気になる作品についてはストリーミングで聴く」という聴き方をするならば、1,000円を追加(計1,980円)してまでAmazon Music HDにこだわる必要はないように思う。

なお2019年10月より、mora qualitasというソニーミュージック系の高音質サービスも開始。音質はAmazon Music HDより良いとの噂。ただし曲数が圧倒的に少ないうえ現状PCアプリのみの対応のため、今後に期待だ。

ということで現状、もし高音質を楽しみたいのであれば、気になる作品について個別でハイレゾを購入するのがベストではないだろうか。

■同期(2019/12/13追記)
最初に記事をあげてから何人かから同じ質問が来た。
「同期ができるのはどのサービスですか?」

Apple ユーザーはピンとこないかもしれない。
Apple Musicであれば、iTunesで購入した音源やCDからインストールした音源を簡単に同期可能なので、必要性に駆られたことがないだろう。

しかしAndroidユーザーにとっては死活問題だ。
個人的にあまりにも長い間Android ユーザーだったため、2つ以上のアプリを使い分けることが当たり前と化してしまい同期という概念を忘れかけていたが、購入音源とストリーミング音源をまとめられるに越したことはない。

友人からの情報も得て、Apple Music以外で同期が可能なサービスとしてGoogle Play Musicを発見した。今Googleさんが一生懸命サービス終了の方向へと舵を切っている、YouTube Musicの前身である。
※なお以前はAmazon Musicも同期対応していたが、2019年1月に廃止してしまったようだ。

ちょうどPCのローカルで眠っている音源が大量にあったので、これを機にGoogle Play Musicにアップロードしてみた。

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Google Play MusicにPCからアクセスして、音源をアップロードするだけだ。

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花江夏樹さん関連の楽曲をめちゃくちゃ綺麗にまとめてくれた。
画期的だ。Appleユーザーには「今更!?」と馬鹿にされるかもしれないけれど。
これで、いつでもどこでもスマホで音源を聴くことができる。私のようにローカルに大量に音源データを保管している人は、このように“音楽だけに絞ったクラウドストレージ”として使用しても良いかもしれない。
もちろん、ただのクラウドストレージとして使う分には無料だ。

加えて月額料金を支払うと、Google Play Musicでストリーミングも聴けるようになる。
たださすが近々畳まれようとしているサービス。無料体験期間が一切ない。ちょっと考えものだ。

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初月から課金だと、ちょっと考えてしまう。
さて当然、Google Play Musicでアップロードした音源は、後継サービスのYouTube Musicにも同期されるのだろう。
ということで、早速YouTube Musicにログインしてみた。

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同期されないんかーい!!!

ただITmediaさんの記事などを見ていても、いつかはGoogle Play Musicにアップロードした音源がYouTube Musicにも反映されるようになりそうだ。
つまり同期について、今Androidユーザーに対して言えることは、「PCローカルに眠っている音源はとりあえずGoogle Play Musicにアップロードしておいて、それらがYouTube Musicにも同期される時代を待とう」という何ともモヤッとした感じになりそうだ。

未来の話:音楽・動画の垣根を超えたストリーミングサービス

個人的にもう1つ、未来に期待したいことがある。
アニソン(音楽配信)とアニメ(動画配信)を両方楽しめるサブスクリプションサービスが立ち上がってほしい、ということだ。

この点で最も期待したいのは、YouTube Musicだ。
初めての動画配信サービス発の音楽配信サービスだからだ。

音楽配信サービスとしては、検索機能もプレイリストもいまいちのYouTube Music。ただ+200円のYouTube Premiumに入ってしまえば、広告無し&オフラインでYouTubeが見れるという最高のオマケが付いてくる。
当たり前のことだが、動画の豊富さはピカイチ。「アイドリッシュセブン」などはYouTube Premium会員限定の動画も上げている。例えば動画を見終わった後、「僕らの最新シングルが配信リリースされたんだ!」などといって、YouTube Musicへと画面が切り替わり、新曲の再生が始まったら……などと夢は広がるばかり。
今後の展開によっては、一気にオタク心がくすぐられるサービスになりうると思う。

逆に、アニソンに関しては魅力的でも、アニメの動画配信については今一歩なのがAmazon だ。
オフィシャルプレイリストなど、アニソンに力を入れ始めたAmazon。Amazon Prime Videoでもいくつかアニメは配信はされてはいるものの、最新のテレビアニメが極端に少ない。
もしAmazon Prime Video独占配信のアニメ作品がもっと増えたら、 年会費 12,700円(Amazon Prime会員費4,900円+Amazon Music unlimited会員費7,800円)という格安値で、アニソンもアニメも楽しめることになる。しかもAmazonの配送料も無料に。
ただ価格体系を見ても、音楽と動画の間にイマイチ壁があるのが現状のAmazon。YouTubeほどには夢は広がらない。

もちろん新作アニメを多く配信しているdアニメがdヒッツと連携を深めたり 、Netflixが音楽配信サービスを開始したりしたら最強だ。
現状dアニメにもNetflixにもそのような動きは見られないが、今後の動向には着目していきたい。

まとめ

昨年、今年とストリーミング解禁が続いているアニソン。まだまだ個別作品単位では未配信のものも多く見受けられるが、主要なアニソンが大まか揃う時代もそう遠くないだろう。
曲数の差がなくなってくると、やはり使いやすさが重要になってくる。重視するポイントによっても変わってはくるが、

リスナープレイリストを重視するなら:Spotify、Apple Music
オフィシャルプレイリストを重視するなら:Amazon Music、AWA
価格を重視するなら:ANiUTa、LINE MUSIC、dヒッツ
といったところだろう。
うーん、難しい!未だに私も、どれを使うか定まっていない。

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ここ1~2年で、驚くほどの成長を見せたアニソンのストリーミングサービス。これからの1~2年で、 さらにサービス形態は変化してくると思う。
そこで個人的に期待をしているのは、 アニソン(音楽配信)とアニメ(動画配信)を両方楽しめるサブスクリプションサービスだ。音楽・動画間の壁を打ち破ることで、アニソンとアニメの未来がグッと広がるのではないだろうか。


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