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2023 旅日記 島修行編 6

夜はあまり眠れなかった。
だいたい二時間おきに汗だくになって目が覚める。
この日記も、なんだか旅日記から療養記みたいになってきた。

下の階からは、お宿の息子さんとその彼女さんの、楽しげな話し声が聞こえる。
嬉しそうな笑い声に耳を傾けながら目を瞑った。

今朝も、目覚めるのは早かった。朝方5時の起床。
保冷剤は1つしかないので、ぬるくなってしまったら1階にある冷蔵庫に入れに行く。
保冷剤が使えない間は、代わりにタオルを濡らして冷蔵庫に入れて置いたものを使う。
ちなみにトイレも1階。
階段を降りると、なんだか体がすごくフラフラしていることに気づく。
階段の3段目に、びっくりするほど大きな蜘蛛がうずくまっていて、怖い。

階段を登りきったあと、部屋に戻って鍵を閉めようとするが、立っていることができず、鍵をかけられない。小さいツマミをくるっと回すだけなのに、それが出来なかった。
耐えられず、手に持っていたタオルを落として部屋の中に倒れた。
体の調子はすこぶる悪いが、倒れたことがあまりないのでちょっと新鮮な気持ち。

倒れ込んだ布団の上、一人呆然とする。
起き上がる気力がない。
こんなちょっとの移動で息切れしてる。
状況があまりにも酷すぎて笑ってしまった。
そしてその時、声が出ないことにも気づいた。

風邪ってこんな酷くなるものなんだな。
鼻水とか、咳くらいで治まってくれればよかったのに。
こんな私に今日できることと言えば、黙って天井の蜘蛛を眺めていることくらい。
ちょっと退屈。
時間が過ぎるのがとても遅く感じる。
結局怖くて仕留められず、押し入れに閉じ込めた昨日のカナブンが、たまに扉にぶつかる音が聞こえる。

しばらくすると、私の風邪を知って、心配し励まし続けてくれた友人が電話をかけてくれた。声が出ないので全然喋れないけど、知っている誰かの声が聞けて安心した気持ちになった。
本当にありがたい。

おとうさんも、「しりとりでもするか」と言って、暇つぶしに付き合ってくれた。
家族としりとりをしたあとは、また少し眠った。

目を覚ますと、先生から連絡が来ていた。
私の体調を心配してくれているようで、よく眠れましたか?と言うメッセージと共に、早く治すコツがスマホの画面に映る。
早く治して、山でも行きましょうと、励ましてくれた。念の為ドライヤーも持ってきてくれるみたい。

先生はお盆あたりでこの島に来るはずなのだが、台風の影響で予定通り来ることができるかは怪しい。
私はちょっとだけ心細いので、先生に会いたい。

夜は、女将さんがおじやを持ってきてくれた。
温かい卵のおじやが体に染みる。
女将さんは昨日、お宿の方が一人熱を出していると話していたが、今日さらに話を聞くと女将さんのお子さんも熱を出してしまったらしい。
そしてなんと、驚くことにナンパ船で出会った彼も帰って熱を出した。

私の周りで発熱する人がどんどん増えている。
やはり夏風邪、かなり流行っているようだ。

ちなみに明日も船が来ないのでお仕事はおやすみ。
女将さんは、数日はお客さんが来ないから仕事がないので、ゆっくり休んでねと言ってくれた。

そういうわけで明日も続いちゃう、療養記。
皆さん体にはお気をつけて。おやすみなさい。

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