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なぜミホという女は上京したのか。

約20年前に私は東海地方のとある田舎町から上京した(神奈川ですけど上京と言わせてほしい)
本当に若さという資本とエンジンのみで上京した。
その時の恋人と友人のカップルと4人で集団上京をしたわけだが、その友人カップルの男があれだ。なんて表現すればいいのか....。
カテゴリーとしてはヒモだった。

そのヒモ男を飼う女ミホちゃん(仮)は田舎では街を歩けば周囲が色めき立つような、学校のカーストの中でもイケてるグループの最上位。その小さい三角の中に鎮座する程の美人扱いだったが、上京した途端そこそこ綺麗な子という位置付けになる。
都会は天下一武道会だと知った。
※ちなみにこのミホちゃんはこちらの不思議な話にミナミという仮名でも登場しています(時系列的に同じ時期)


この時のミホちゃんは焦っていた。
女盛りは今しかないと焦っていた。
彼女は20歳という若さで悟っていた。

銀座の高級クラブで働いて、いつかミスチルの桜井さんに出会う事だけがモチベーションだった為、とっとと桜井さんもしくは桜井さんの知り合いに出逢うようなお店に出世して行かなくてはならない。
最初に入店した神奈川のキャバクラでNo.1は通過点でしかない。
タイトルの答えはこれだけだ。

美人で明るく関西訛りのミホちゃんはキャバクラでウケた。


ある晩
「俺は行きつけは銀座だが今日は仕方なく横浜で飲む事にした」という聞いてもない情報提供過多のおじさまに彼女は場内指名を受け席に着いた。

おじさんは
「君のその訛りは銀座ではしょんべん臭くて誰にもウケないよ」と彼女に言った。

私ならすかさず、そんなスラング混じりにお下品で時代錯誤な表現をするような奴の言うことは気にも留めないし、なんなら確実に急所を狙う。
しかし、元来ピュアが故に沢山の人を踏み台にしてきた田舎混じりっけなしのミホちゃんは違った。

「銀座に行くには標準語っきゃない」

彼女はすぐさま、そのおじさんとの会話でかましてやろうと試みた。

逆にすごいなミホちゃん。
今唾かけられた相手に立ち向かうその姿勢!

さては馬鹿だな!!!!

基、
おじさんの【100万回読んだ4コマ漫画】より面白味のない「ちょっと昔やんちゃしてやったんだぜ」話の最中、愛想と愛嬌の良いミホちゃんは間の手を入れようとした。

「そんな事したらあかんやーん!」と、
普段の彼女なら可愛くオジ様にもたれこみ高得点間違いないポイントなのだが、
先程の件で

かましてやろう!!

という、おのぼりさんモード全開のミホちゃんは脳内で大慌てで標準語への変換を行い、大声で言い放ってやった。

「そんなことしちゃダメじゃーん!!」
への変換時間がかかり、絶妙なリズムで、

「ッツォンッナコットシッチャダァ⤴︎メジャンッ」

「........。」

その後の記憶はあんまりないらしいが、おじさんの放った「君、海外の人?」に乗らない手はなかったらしい。

ミホちゃんが結局ミスチル桜井さんに会えたかというと......ご想像にお任せします。笑



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