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チューは無理~千葉のタツヤ②

それから、江ノ電で移動し、大仏見て、その後、海岸に行った。
砂浜に降りて少し歩いた。タツヤは、日傘の持つ手を変えて、空いた私側の手を私の腰に回してきた。
私「え?ちょっと嫌だな」
タツヤ「もっと、仲良くなれるよ」
私「人もいるし、あんまりこういうの好きじゃない」
タツヤ「気にしない、気にしない」

私は、本意ではなかったが、しばらく、砂浜歩く時だけ、そのような形となった。

ランチは、通りすがりのお蕎麦屋に入って、お互い時間はあったので、それから、横浜駅に行き、ベイクォーターのカフェでお茶をしようとしたが、ちょっと、混んでいて店外のイスに座って待つことになった。その間、タツヤは私の手をマッサージし始めた。指の間などを攻められ、軽い痛みを感じて「あ!!」とか思わず声が出た。
タツヤ「マッサージは得意なんだよ。いつも、マッサージに行って、いろいろ聞いてるから、ツボとかさ~」と言いながら、私の手を揉みしだいた。
店内に通されて席に着いてからも、長々とマッサージは続いた。
オーダーしたレモネードがテーブルに運ばれてきた時、
私「手軽くなったかも。ありがとう」
と言って、タツヤの手から私の手を離した。

横浜の大さん橋に、大型クルーズ船が寄港する話から、船旅もいいね~という話になり、スマホで地中海クルーズや世界一周クルーズの情報見ながら、部屋のランクで値段変わるし、窓あり窓なしでも値段変わる。など、話した。
私「世界一周するなら、最低でも100万くらいはいるのか~」
タツヤ「もっといい部屋にしよう。蒼子さんの分は俺が出すから」
と言われ、その時、初めてリアルにタツヤとの船旅を想像した。
船…、毎日同じ部屋で寝る…。
逃げれないな…。
昼間楽しくても、夜は地獄かもしれない…
世界一周は魅力的だが、旅行は気が合う人じゃないと楽しくないな、と改めて思った。
そして、この人とは、絶対、同室船旅はできないと思った。
私「いやいや、お金出してもらうなんて、とんでもない」
と言いながら、船旅の話は終わらせた。

このまま、夕飯も一緒に~的な感じになりそうだったけど、
私「そろそろ帰るね、デパ地下で、息子にお弁当買って帰るよ」
タツヤ「そう?俺も一緒に行くよ」
ということで、デパ地下に行って、タツヤは某高級洋菓子店のケーキを私の分と息子の分と2個買ってくれた。
デパ地下で買い物を済ませ、横浜駅の改札でお別れの時となった。
大変多い人込みであるJR改札付近から、少し端寄りに連れていかれた。
そうは言っても1日の乗降客数が約200万人の大きな駅だから、絶えず人はどこそこいる。
そんな中で、タツヤは立ち止まりおもむろに顔を近づけキスをしてきた。
私「え?無理」
と言って、半歩下がった。
タツヤは唇尖らせたチュー顔して目をつぶっていた。

『都会の人は、50歳になっても雑踏の中でチューするとですか?
ごはん御馳走になって、高いケーキお土産にもらったら、チューせなんとですか??』
同郷のお笑い芸人のヒロシが熊本弁でぼやくように、私も心の中で熊本弁でぼやいた。

キスしようとして、直前、目をつぶるって、最終的には受け身なんだね…
ま、そのおかげで危険は回避できたのだが…。

私にキスを拒まれ、
タツヤ「あ、無理?ここではね?」
私「あ、今日はありがとう!ケーキもありがとう!じゃあ、ここで」
タツヤ「気を付けてね」
ということで、そそくさと別れた。

キスされようとしたことは少しひっかかったが、旅行の話をするline友達としてはいいかな~と思っていたので、それから、数日はlineで話していた。
その会話の中には毎日「忙しい、疲れた」メッセージもあった。
タツヤ『疲れた。今日も忙しかった』
私『お仕事お疲れ様』
タツヤ『それだけ?』
って返されて、それから、返信しなかった。

では、ヒロシ風で
『私はあなたの母親じゃなかとです。妻でもない、彼女でもないとです。なんで、あなたのご機嫌ばとらなんとですか?いや、そうだったとしても、自分の機嫌は自分でとってください。蒼子です。蒼子です…。』

相手が応えられない、黙らせる言葉を自分が発しているんですよ。
相手に応えて欲しいなら、それを導く言葉を自分が言うんですよ。

短い「疲れた」だけで、察しろよ。は、無理なんだよ。
言葉で癒してほしければ、具体的にどんなに忙しかったとか、ちょっと加えたら、いいんじゃないかな。
「今日は、一日中外回りでお昼ご飯も食べてないよ」とかあれば、ご飯食べてないことへの心配もするし、私の返事も長文になると思う。

相手にロクに状況説明もないのに察しろ!は、わがままだと思う。
㊛㊛㊚型末っ子男子は、やっぱり、あれこれ気が利く母や姉たちが、何も言わなくても汲み取ってくれるから、子ども時代、話す必要がなかったのだろう。だから、タツヤと元奥さんとの行き違い問題も会話があったら、違った結果になったんじゃないの?と思った。

今回の蒼子の反省点は、嫌なことはNO!を断固伝える。です。
手を繋ぐの「いや」と言いながら、完全な拒否が出来なかったから、最後キスされようとしたんだと思います。
「いやよいやよも好きのうち」と言いますが、私の「いや」は正真正銘の「いや」です。

その辺の感覚も合わなかったということだろう。

タツヤとは音信不通になった。


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