夢路 | yumeji

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Writer/TOKYO・・世界が広すぎて楽しみきれないので、小さく切り取って生きています。時間も季節も関係ないエッセイが多めです。

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たった一夜を越える勇気を

「文章を書くことが得意なんだ」と、小学校低学年の頃には気がついていた。 中学生になったとき、詩を書くようになった。 高校生になったとき、小説を書くようになった。 大学生になったとき、Webで公開するようになった。 社会人になったとき、ライターという肩書がついた。 ◇ 「なんとかありつけた職に就く」という仕事の選び方しかできないような、不真面目な学生生活だった。 大学は5年通った。そもそも高校卒業から大学入学までの間も数年空いている。 おまけに就職先を決めぬまま大学を卒業し

    • 生まれ直しにあたって

      母が自分の父を亡くしたのは、母が58歳のときだった。 父が自分の父を亡くしたのは、父が64歳のときだった。 ◇ 先日、父が逝った。 65歳になったばかり。初めての年金も、貰ったのだか貰えなかったのだかわからない。 20歳から45年間せっせと払い続けてきたのに。くちばしの短い人だなあ、と思う。 関係の良くない父娘だった。 私が20歳を越える頃にはまともな会話はほとんどなくなっていた。 意識して顔を見ないようにもしていたので、社会人となって家を出てから約10年、ほとんど目

      • ナポリタンにも星は降るなり

        どこから食べても同じ味。だから、ナポリタンが好きだ。 子どもの頃、我が家では「スパゲティと言えばミートソーススパゲティ」だった。茹でたスパゲティに缶詰のミートソースをかけるだけ。その手軽さが、パートと家事に追われる母にはありがたかったのだろう。 一方、フォークに麺を“くるくる”することもまだ覚束ない年齢だった私には、ミートソーススパゲティは嬉しくないメニューの一つだった。 ソースと麺の配分を考えて食べるような頭も器用さもなかったので、毎回多めに余ってしまった味気ない麺だけ

        • ドーナツの穴を“残さず”食べる方法

          『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』という本がある。 工学・数学・医学・心理学――など、さまざまなアプローチからとにかく「ドーナツの穴」を残すための方法を模索する内容である。 時と場合・気分によって多少変動するが、ドーナツは私の好きな食べ物ランキングTOP3のいずれかの位置に入る。 さくさくの食感・割れたお腹の形がかわいいオールドファッションや、ふわふわ・ふかふか・食べると粉糖がいつまでも唇に残るシュガードーナツ。 なぜか気取ったプードルを連想させるフレンチ・クルーラー。

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