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ゆめいろさがし松本夏生が語る藝大での出会いと活動(松本夏生インタビュー①)

【プロフィール】
松本夏生(まつもとなつき)
1999年生まれ。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科4年。身近に感じた社会問題を、映像、パフォーマンス、インスタレーションを通して、ユーモアの要素を含めつつ表現。最近はスケートボードについて考えている。ゆめいろさがし、weeb tokyo、チームおばけ、などに所属し活動も行っている。

1. 大学での制作について

——まず初めに藝大に入ろうと思った理由を聞かせてください。
昔からずっと美術をやっていて、通ってた高校もみんなが美大に進むようなところでした。高校生の時はずっと油画をやってたんだけど、段々現代美術の方に興味が出て来て、それが学べる場所って言ったら藝大の先端かなと思って志望しました。

 ——大学に入ってからはどのような制作をしていますか?また作品を作る上で、何か大切にしているテーマはありますか?
パフォーマンス映像など、自分自身が何かアクションを起こして、それを記録するような作品が多いです。テーマとしては、今自分が生きていて目にするニュースとか実際感じてる事とかをベースに社会問題などをリサーチして、それをユーモラスに表現して窓口を広くする事でみんなに伝える、というのを意識してるかな。なので、インスタレーションや映像などの作品形態が多い気がします。

——大学で賞をもらったという話を聞いたのですが、詳しく聞かせてもらえますか?
それは毎年成績優秀者が学年ごとに選ばれる藝大の奨学金制度なんだけど、3年生の時に宮田亮平賞を受賞して、今年は平山郁夫賞を受賞しました。

 ——おめでとうございます!受賞時の作品もインスタレーションだったんですか?
ありがとうございます(笑)。宮田良平賞をもらった時は映像作品でした。毎年秋に、学内賞を受賞した人たちの「先端PRIZE展」っていう展覧会を藝大でやってるんだけど、今年は取手駅の上のvivaっていうアートギャラリースペースで開催します。そこでは写真作品を出そうかなと思ってます。

 ——作品は基本1人で制作してるんですか?
いや!めっちゃ手伝ってもらってる(笑)。私の作品はやっぱり1人じゃ絶対に作れないんだよね。映像を撮るってなった時に、自分がパフォーマーだとそれを記録してくれる人が絶対必要になってくるから、常に友達にカメラマンを頼んだりしてます。結構映像を作る事が多いので、いろんな人に助けてもらいながら作ってます。

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2. グループ活動のこと

——最近、他の藝大生と一緒にスタジオをオープンさせたそうですが、それについて教えてもらえますか?
weeb tokyo」っていうんですけど、メンバーは自分を含めた藝大生4人と、国際ファッション大学の子と5人でやってます。女子は私と先端の同期の2人で、残りの男子3人は私の高校時代の同期なんです。男子たちは高校の時から既にweebとして学祭でTシャツ売ったりしてて、私は大学に入ってから加入しました。最初はポップアップとかメインでやってたんだけど、各々が作品を作れる人たちだし「何か面白い事したい!」ってなって、服を作って販売するだけじゃなくてイベントを開催したりするようになりました。
スタジオを作ったのは、コロナ禍で大学が使えなくなったり、みんなが集まれる場所とか制作する場所がどんどんなくなっていったりした事がきっかけかな。前からみんなでアトリエとかシェアハウスを作りたいよねって話をしてた事もあって、去年の11月に「KENMA studio」っていう、アトリエ兼ギャラリーをオープンさせました。

——weeb tokyoでの活動において、担当や役割は決まってるんですか?
彫刻の子がリーダーとなってやっていて、油画の同期はペインターなのでグラフィックを担当してます。ファッション大学の子もグラフィックを担当してて、その2人でTシャツのデザインとかをしてるかな。私と先端の同期はフライヤーのデザインとか、SNSの運営とか、商品の在庫の確認とか、いろいろ細かな作業をやってます。
ファッションとかグラフィックの制作と、それぞれが作品を作るっていう事を同時並行でやっていけるアーティストグループになっていければいいなあと思ってて。あんまりそういう事をやってる人っていないから、頑張ろうと思ってます。

——大学卒業後も続けていくという事ですか?
うん、絶対続けたい。卒業後は町屋にあるちっちゃい工場への就職が決まってて、そことアトリエが結構近いから、制作しつつ働きつつみたいな感じで頑張ってみようかなって。

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3. スケボーとの出会い

——卒業まではまだ少しありますが、大学の4年間を振り返って凄く影響を受けた作品や人との出会いなどはありましたか?
影響を受けてばかりです。先端に入って1番良かったと思えるのは、同期の存在。やっぱりみんな面白い事を考えてるし、面白い作品を作ってるし、入って良かったなって思う。あとは、weebのみんながヒップホップとかストリートカルチャーとかを好きですごく詳しいから、その人たちと一緒にいる時間が増えた分そこからたくさん影響を受けていて、実は今も絶賛のめり込み中で…(笑)。

——そうなんですね。確かに、スケートボードにハマってると聞きました。
そうそう!スケボーに人生狂わされたと言っても過言ではない(笑)。コロナ禍で誰とも会えないってなった時に、暇だから1人でスケボーの練習を本気で始めたの。それで毎日滑りに行くようになったら毎日顔合わせるスケーターたちと知り合いになって、そこからどんどん友達も増えて、更にスケボーの楽しさに目覚めて。それまでは、スケボーなんて休日やるものだと思ってたんだけど、そうじゃなくてスケーターにとってはそれが生活の中心なの、マジで毎日滑ってて(笑)。それで私もどこへ行くにもスケボー抱えていくようになったし、常に滑ってたいし、もうこれは中毒だなって(笑)。なのでめちゃくちゃ影響を受けてますね。それからスケーターってみんなクリエイティブだから、そういう周りの人たちからもめちゃめちゃ影響受けてる。

 ——元々ストリートカルチャーに興味はあったんですか?
そうだなぁ…。でもこんなにハマるとは思ってなかったな。世の中のブームっていうのもあると思うんだけど。やっぱり今はヒップホップが流行ってるし、私はそういうのを結構敏感に感じとって生きているタイプだから、単純に流行物を気にしてチェックしてるっていうのはあると思う。

——ストリートカルチャーはグラフィティなども含めアートとすごく関係ありますが、スケボーを始めてから自分の制作の色が変わったりしましたか?
それは残念ながらなくて。それが自分でも意外なんですけど。すごいひねくれてるからかもしれないけど、ストリートカルチャーのイメージっていうのが自分の中ですごくあって、それに則って何かやってもあんまり面白くないなって思ってて。だから卒業制作のテーマもスケートボードで、セクション(スケートボードで使用される道具の総称)とかを作ってインスタレーションにしようと思ってるんだけど、それもグラフィティみたいな感じにするのは避けようと意識してる。そういうのは見るし好きだけど、自分から出てくる表現ってやっぱり絶対あると思ってて、その自分のオリジナルの表現がグラフィティになるんじゃないかなって考えてます。

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ゆめいろさがしとは

朗読音楽絵本を制作し、上演する団体です。東京藝術大学の学生が集まり、現代の諸問題を暗示させる動物世界の物語を描いています。

▼ゆめいろさがし公式サイト
https://yumeirosagashi.studio.site
▼ゆめいろさがし公式ショップ
https://yumeirosagashi.booth.pm

インタビュアー・椿巳莉乃
運営・ゆめいろさがし

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