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少しだけ聞いてくれません?政治家の家族のきもち。

「政治と金」問題が世間を定期的に
騒がせている。
「政治家は不透明だ!信用できない!!」
と、いう人が多い。

今日はそんな政治家の「家族」の話を
少しだけ聞いて欲しいと思う。

もちろん、
総理大臣や、歴代名だたる政治家一族の
家族ではなく、
「普通の政治家」の家族の話だ。

これはノンフィクションである。

なぜなら、私自身が、政治家の娘だからである。




産まれたときから、
父は政治家だった。
それが普通だった。
ただ、父はよく落選をする政治家だった。

なので、実際に父が当選して
政治家をしていたのは私が産まれて、
数年間だけだった。

何度も何度も落選した。



私は投票ができる年齢になり、
よく思う事がある。

投票権がないとき、私は
必死で願っていた。

「みんな、お父さんに投票して!!!」

と。

そして、低い投票率をみるたび
選挙に行っていない人、
どうせ行かないのなら
「お父さんにいれて!!」

と。

自分の父親が公約に何を掲げているか
幼くて分からなかったが、
自分の父親は
真っ当にに
真面目に政治をやる人だと
聞いていたため、
きっと悪いことはしていない!と
自信があった。

そして何より、
父が落選すると翌日から
父は無職になる。

つまり、私達家族の生活が危ない。

父はもちろんそのことを
分かっている。



落選の日は
大人になった今でも
よく覚えている。

開票率が100%に
いく前に父親は見切りをつけ、
事務所で、挨拶を始める。
周りの人は泣く。

でも、父は泣かない。

大人になると
どれほど辛かったのだろう?
と思う。

小学生だった私も
もちろん号泣した。

父は笑って私を抱きしめた事を
今でも覚えている。

そして
「ごめんね。」
と謝っていた。

一番辛いのは父なのに。

みんなが泣き、父が笑う。

そんな落選の経験は何回かあった。

投票日が近付くにつれて、
私も子どもながらによく緊張していた。

道を歩いている人をみんな
投票所に連れていきたかった。

そして父が落選した次の日から
家族の生活も苦しくなった。

幼い私は、
無知で、お金を稼ぐことができないため
はがゆかった。

家族ももちろん私を頼らない。

「あんたはいいから。」

とよく本当のことを教えてもらえなかった。


大人になった今、
投票日に選挙特番を見るようになると、
私はテレビに映る政治家の家族を想像してしまう。

特に落選した政治家。

悲しんでいる家族がいる。
もしかしたら幼い子どももいるかもしれない。

その子の気持ちを考えると胸がぎゅっとなる。

世間から嫌われている政治家でも、
子どもからしたら唯一の親であり、
親は良い事をしている。
ヒーローだときっと思っている。

小さい子どもなら翌日学校でも
友人からからかわれたりする。

私もそうだった。

辛かった。


選挙期間中は家族も精神を削って過ごすことが多い。
ネットが今より普及していなかった
昔でも、選挙中の誹謗中傷はすごかった。

小学生だった私でもそれは感じていた。

留守番電話のメッセージに暴言がはいっていたこともある。

○○が裏切った。

という話もよくきいた。

そんな精神を削った戦いを家族もしている。
だから、落選議員をみると辛い。
家族を思うと辛い。

生まれながらに定期的に
選挙に出る側の家族
を経験しており、
この経験はそう多くの人はしていない。

でもずっと忘れられない経験なので
書いてみた。

何かのためにはならないかもしれないけど、
少しだけ、政治家の家族の胸の痛みについて
知って欲しいと思った。

落選議員の翌日と家族について。



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