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『OVER THE SUN』イベント観劇。「はしゃぐ」の大事さ

昨晩「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』

」2024年1月公演『幸せの黄色い私たち』を観劇させていただきました。

いつもスーさんにはガンプロを応援していただいていますが、ガンプロがいつも興行を行っている会場キャパシティのおよそ20倍の会場を埋めている動員力にまず圧倒されてしまいました。

チケットの申し込みの総数からしてもさいたまスーパーアリーナがおよそ埋まるレベルだと聞き恐れ入りました。
スーパーアリーナはガンプロ運営会社の関連団体が束になっても動員に苦戦していましたので。
そうした普段からプロレス興行に携わる身として、いつも応援していただき、恐れ多い気持ちにもなりますが、今回は逆の立場で楽しもうと観劇させていただきました。

二日間の公演で、DAY-2のテーマは「はしゃぐ」だそうです。
よりやりたいことをやる、思いついたことをやってみるといったニュアンスが込められているようで、開演するとお二人によるお芝居が始まりびっくりしました。

舞台にはポッドキャストを収録しているという体裁のセットが組まれており、プロレスで言えばリングに相当するこの装置があることで、番組の公開イベントとして様々な展開が出来ると思うのですが、ここで一転、芝居を始めるといった展開になっていったので、驚きました。

「はしゃぐ」というテーマで自分のことを思い出します。
昨年7月に対戦したエル・リンダマン選手には「プロレスにはしゃいでいる人」と評してもらったと記憶しています。
確かに僕は限りなくプロレスにはしゃいでいます。真剣に取り組んでいる上で、取り組み方を推進する原動力は「はしゃぐ」で間違いはないかなと思っています。
とは言え試合直前では「はしゃぐ」という気持ちを全開には出来ず、緊張や自分の役割のようなものもありプレッシャーを感じてしまい、はしゃぐエネルギーが萎んでいくのが分かります。
極端に分かりやすくはしゃいでいる時は、試合が終了した安堵感や自分の与えられた仕事が終了して、あとは自分も観て楽しむぞというモードになった時にようやく真にはしゃげたりします。
ガンプロで言えば、全試合終了して全選手がリングに上がっている時。私は分かりやすくはしゃいでいる状態かと思います。レスラー仲間でもそうしたはしゃいでいる状態と、そうでない状態の僕の躁鬱に対してイジってもらえたりしています。イジってもらえる仲間がいるのはありがたい限りです。

「はしゃぐ」がテーマなのに、目の前に突然芝居が繰り広げれたので、自分の身に置き換えると「これははしゃぐの大変だろうな」と思いました。
しっかり脚本があって何度も稽古して、その台詞を覚えてきたであろう状態。その本の流れを追っていくとなると「台詞覚えるので大変だろうな」とか「忙しいだろうに、稽古大変だろうな」とかが頭に浮かんでしまうのですが、それ以上に主役のお二人はこれを「やりたかったんだろうな」ということが伝わってきて、そのエネルギーがあまりに微笑ましいもので凄かったです。それをお客さん皆さんが理解し、察知して楽しんでいる空間。

堀井さんは突然悪魔が憑依してしまったかのような芝居を見せたり、アナウンサーというよりも、憑依系の役者でした。かっこよかったし、自分もそういう突然思いついたことをやりたい!と思うタイプなので躍動する堀井さんを見ていて、めちゃくちゃ気持ちが良かった。

スーさんも自分で「ダンスのセンスがない」と言いながら、楽しそうにダンスを踊っていました。やりたいことをやるという気持ちが自分の身体を躍動させていて、微笑ましかった。

どんな演目をやるのか分からない公演に展開されているお芝居はご本人たちの「やりたかった」という衝動を何より感じますし、普段からお客さんを入れて収録しているわけではないイベントが集客をしてイベントを開催しているのですから普段聞いているリスナーの人たちに「楽しんでもらいたい」というエネルギーを感じました。受け手のお客さんたちの「楽しんでやる」という心構えも凄く、その相互のエネルギーを共犯的に作り上げておりました。

僕も40代が目前になりながら「やりたいことをやる」がなかなか難しいことなんだということを日々痛切に感じます。
プロレスもやり映像もやり、比較的「やりたいことをやっている」側の人間だと思うのですが次第にそんな「やりたいことをやる」という気持ちが麻痺していきます。
時間が経つと「やりたいことをやる」の初期衝動が削がれ、様々な事情に振り回され、むしろ様々な事情が優先されるべきことが増えていきます。
世にある多くの仕事にそういう側面はあると思いますし、それらの出来事にどれだけ「仕方ない」という落としどころを探って着地点を見つけていくことに「プロフェッショナル」である技能や経験を発揮していったりする一面はあるのではないでしょうか。

僕は約12年間プロレス興行会社の映像部門で働いていましたので、そうした事情をいつの間にか反映させ、継ぎ目を作っていくことに次第に長けていくようになっていました。
一方でそうした仕事に従事する反動からガンバレ☆プロレスでのレスラー活動では「はしゃぐ」を原動力にしていた一面があったように思えます。
そんなガンプロでの活動をスーさんに応援していただいているのは大変ありがたい気持ちで、私や団体は何を与えれているのだろうと思ったりもしますが、SNSなどで拝見するご感想には自分の気付かない視点が沢山あり「自分のはしゃぎにも意味があったのだな」と思わせてくれるものでした。

またありがたいことに今回の公演の映像の中で、随所にガンバレ☆プロレスのグッズを身に付けているお二人がサブリミナル的に登場しており、嬉しかったです。
ガンプロトートバッググッズを作ってる人間もここまで日常で使われているって思えていないのではないかと思います。ガンプロは改善点だらけです。これに甘えずもっと頑張らないといけません。

今回「はしゃぐ」がテーマになったことで、同時に自分を合わせ鏡的に見直す作業が勝手ながら出来ました。
日々はしゃげない世の中になりつつある一面もある中で、はしゃげる空間作りに頑張る自分よりも年上の大人たちを観て、私ももっとはしゃいでみたいと思いましたし、やっぱり「やりたいことをやろう」と思いました。躍動するお二人を見て、それに尽きる感覚があります。

素晴らしい公演を見せていただき、ありがとうございました。
ひとまず、お疲れ様でした。
パルコの展示も観に行きたい!

ゲストで出演していた秋川雅史さんと、Mr.マリックさんの存在とそのパフォーマンスがプロレスで言うところのどの会場でも、どの相手でも盛り上げる鈴木みのるさんのようでした。


ガンプロ通例興行の20倍の動員

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