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韓国で気付かされた日本人的な性分は?

地図で見ても分かるように、兵庫県に住む私は東北や北海道よりも韓国の方が断然近い。
そんなに近い国でももちろん文化はまったく違う。
共通点も少なくはないが、あらゆる面で日本人にはない面を見ることができる。


日本と近い韓国の文化

私が韓国によく行っていたのはもう四半世紀も前のことだ。
日本の田舎に住んでいる私が韓国で不思議に思ったことは少なくない。
日本と韓国は近いのにこんなにも違うんだと思ったものだ。

日本にはない韓国文化

韓国に行くようになってから一番不思議だったのは食堂の数だ。
東京ほどではないにしてもソウルの人口は一千万人もいるのだから食堂が多いのは分からなくもないが、それにしても多すぎるだろうというのが私の感想だった。

これだけ多くの食堂がありながらよく潰れないで営業できるものだと思った。
食堂だけではなく屋台の数も日本とは比較にならないほど多い。
もちろん食を扱う市場の大きさや数も半端ではない。

韓国人の友人に聞くと、日本人のサラリーマンは弁当を持って会社に行く人が多いが、韓国には元々弁当という文化がなかったからサラリーマンは会社の近くの食堂で昼食を食べるということだった。

韓国に日本のような弁当文化がなかった理由は、汁物料理が多かったからという説が有力のようだ。
それに加え人間関係を構築する手立てとして、韓国では昼から会食をすることも多い。

日本人なら上司と一緒に話をしながら昼食をするというようなことは敬遠しがちだ。
できれば一人で静かに弁当を食べたいという人の方が多いだろう。

しかし韓国では昼間からそんな会食が頻繁に行われている。

それに伴い日本にはない韓国文化が割り勘文化だ。
部下と会食をしたなら年上の上司が支払いをするのが当然のしきたりになっている。

以前家族5人で韓国人の友人を頼って韓国旅行に行った時、その友人が私たち5人の食事代を全て払おうとして妻と言い合いになったほどだ。
当然その旅行でお世話になっている友人の分は我が家で支払おうと思っていたが、友人は自分を頼って来てくれたお客さんに支払わすことはできないと思っていたのだ。

弁当と割り勘文化は日本特有のものなのかと思った。

八方美人と言われて

昔ツアーでソウルに行った時の話だ。
勤めていた会社の部署で韓国旅行をすることになった。
幹事を任された私は格安ツアーを予約した。

空港からホテルまでは韓国の旅行会社がマイクロバスで送迎してくれる条件付きだ。
私はマイクロバスの中でも皆さんに楽しんでもらおうといろいろ気づかいをしていた。

その様子を見ていた韓国人のガイドさんから「あなたは八方美人ですね」と日本語で言われたのだ。

冗談にしても言っていいことと悪いことがあるだろうと思ったが、そのガイドさんは誉め言葉だと思って口にしたようだった。
日本語ではけなし言葉の八方美人も、韓国では誉め言葉で使うのだそうだ。

ただそのガイドさんが日本ではけなし言葉だということを知らなかったというだけのことだ。
現に韓国語でパルバンミイン(팔방미인)という言葉は非の打ちどころもない完璧な人といった意味で使われているようだ。

営業職で生きてきた私は確かに八方美人だと思われても仕方ないと自覚はしていたが、日本でなら他人から言われると穏やかではいられない。
しかし韓国人からそう聞くと八方美人も悪くないなと思えるようになった。

そのことがあってから八方美人は私にとって営業での武器だと思うことにした。
但し優柔不断は韓国でも日本語と同じ意味で使われている。

ストレートな言い回しは日本より厳しい

夜に韓国の屋台などで焼酎を飲んでいると、同じ会社の同僚だろうと思われる人同士が口喧嘩をしているようなシーンに出くわすことがある。

ある日、女性の友人同士だろうと思われる二人連れが喧嘩になったシーンにも遭遇した。
片方の女性が「オンニ」(언니)と読んでいたところを見るとおそらく相手は年上の友人だと思われた。

寒い冬のソウルでの出来事だ。

私は一人であまり広くはないテントで囲われた屋台に入った。
小さなテーブルと赤いプラスチック椅子が4セット程度置いてあったが、小さなストーブを囲んで前後の椅子がくっつくほど狭い屋台だ。

私は焼酎(チャミスル)1本とサンナクチ(タコのぶつ切り)を注文した。
ソウルに来たときは屋台でサンナクチを肴に焼酎を飲むのが私のソウル旅スタイルだ。

私がその屋台に入った時は男性客が一組いたが直ぐに出て行った。
その客と入れ違いに入って来たのが女性二人組だった。
私の正面の席に向かい合って座ったが、一人は既にかなり酔っているように見えた。

言葉はよく分からなかったが、どうも年上女性に対して愚痴を言っているようだった。
私から見て背中を向けている年上の女性が焼酎とパジョン(ネギのチジミ)を注文した。
年上の女性の方は酒に強いのか穏やかな口調だったが、私と向かい合うように座っている女性は段々とエスカレートしていった。

どう見てもあまりいい酒ではない。
そう思っているとあろうことかスチール箸でパジョンをオンニ目掛けて投げてきたのだ。
そのパジョンがオンニに当たっていたなら他人事で済んだが、パジョンをまともに食らったのは私だった。

ごま油付きのパジョンがそのまま私の膝の上に落ちた。

それに気づいたオンニがハンカチを取り出して誤りながら拭こうとしてくれたが、思わず「ケンチャナヨー」(大丈夫です)といって何でもないような仕草をしてしまった。

そんな状態でも当の本人は涙を流しながら怒っていた。

もちろん韓国人の誰もがそのような性格ではないが、人前でも悪びれることなく本音で言い合う姿は韓国人特有だと感じた。

何がいいとか悪いではなく一番近い国で見たのは、私たち日本人が心の奥に仕舞い込んだ本音文化だった。

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