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嘘にまみれる毎日

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毎日一つ嘘をつきます。誰も傷つけない嘘を。
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2018年2月の記事一覧

【嘘】賽

サイコロをふったら8が出た。
驚いて確認すると、1から6には、なくなっている数字は無い。
そして紛れもなく正六面体だ。
もう一度ふったら12が出た。

【嘘】あの日の水

変な自動販売機を見つけた。全てただの水らしいが、ラベルには色んな日付が書いてある。
去年のとある日の物を選んで購入してみた。
飲んでみてもそれはただの水だったのだが、不思議な事に、ラベルの日付が今日だった。
購入前からラベルはずっと変わってないのに・・。

【嘘】穴を空ける

夜空って、真っ黒の紙に穴を空けて、そこから光が入ってきているように見えるよね。
見える、じゃないよ。本当にそうなんだ。
「存在」とは「無」に空いた穴なんだ。
つまりね、星という名の穴の空いた、どこまで続く無が宇宙なんだ。

【嘘】逆さ長靴

何かに躓いたと思ったら、大きな長靴が逆さまに埋まっていた。奇妙だな、くらいにしか思わなかったけど、よく考えたら、あれ、足が入ってたよな。

【嘘】梟時計

小学生の頃、図工の時間に作った手作り時計が夢に出てきた。フクロウを模したそれは、夢の中では逆回りに時間を刻み、それにあわせて俺もゆっくりと小学生の頃まで戻っていった。
目が覚めると、いつも通りに回り時計の針に違和感を感じ、時間の流れがとても不快になってしまった。

【嘘】命の循環

雨は命の循環。海流と共に地球全体の命を回している。

水溜まりを眺めると、反射する自分の顔は世界中の命の顔で笑っていた。

【嘘】枯山水

指紋は毎日変わる。渦巻きの巻き方や数、偏りなどはその日特有のものだ。
それは、宇宙の渦巻きに影響を受けるので、つまり、指紋は擬似的な宇宙の形だと言っても過言ではない。

【嘘】砂嵐

目を瞑ると、真っ暗なようでそうでない、チカチカと光るような、何色とも言い難い光景が広がる。
これはチャンネルが間違ってるからだな。砂嵐になってる。
耳を捻るとちゃんと映った。懐かしい映画をやってる。

【嘘】紅茶と音楽

音楽を掌に乗せゆっくりくるくる回すと、鮮やかな赤茶に色付く。それを舌にのせる。じんわり紅茶の味がする。飲み込んでしまうとお腹を下し、愉快な腹音に悩まされるので、頃合いを見て口から出す。唾液で光る音楽は変わらず愉快なリズムを刻んでいる。

【嘘】天の川

夜空に見えるあの雲は、沢山の星々なんだ。正確にいうと銀河の集まり。

こう言うと「昼間の雲とは違うのか」と質問されるけど、昼間の雲だって星の集まりだよ。
小さな小さな、それでも立派な星だ。

【嘘】宅配便

今日、宅配便が届いて、そんで、その段ボールを開けたら、明日の俺が入ってたの。
お届け時間を指定して来たんだってさ。なかなか賢いじゃんね。

【嘘】隠された物語

あまり知られていないが、結構な数の小説に「ページごとの同箇所の文字を続けて読むと一本の短編小説になっている」という仕掛けが施されている。
推理小説の中には隠された真犯人がその短編小説で明かされることもある。

【嘘】目

目の前を歩くサラリーマンの耳たぶを引っ張ったら、目が落ちた。拾い上げよく見ると、ビー玉だった。
こうやって集めたビー玉は、家に置いてる金魚の水槽の底でキラキラと光っている。

【嘘】鳥

鳥が羽ばたき、空へと飛ぶ力。その反作用が風を作り大気を循環させている。