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海外でインターンをする学生へ。後悔しない挑戦にするために知っておいて欲しいこと。

このnoteのタイトルに、どのくらいの人が興味を持ってくれるかわかりませんが、最初に断っておきたいことは、特定の人や団体を批判したり否定するためにこれを書きたいのではないということです。
自分が好きなアフリカという場所が、人の可能性の芽を摘む場所になって欲しくない。自分の進路を切り開いてくれたインターンという働き方が、誰かを疲弊させ、今後推奨されなくなっていく働き方になって欲しくない。という思いでこれを書いています。
特に、就職を前にインターンに挑む学生の皆さんへ。アフリカの日系NGOや日系企業で計2年のインターンを経験した先輩からの、小さなお節介です。

そもそもインターンとは
学生向けのインターンシップ募集を色々と見てみると、大きく分けて3つのカテゴリに分類できると思います。
1つ目は、企業側にとっての採用活動の一部としての要素の強い、短期間のインターンシップ。最短だと、半日くらいのものまで発見できましたが、学生にとってまずは志望企業を「知る」ことが目的になるでしょうか。
2つ目は、特定の技術やスキルを持ち合わせている学生と企業の間で需要と供給が成り立ち、卒業前から本格的に働き始めているケース。期間は人によってかなり差があります。多くの学生が社会保険において保護者の扶養に入っているという理由から調整が必要な場合がありますが、仕事の内容や勤務時間に合わせて合理的な額の給与が支払われることが通常です。エンジニアや、最近だと動画編集等ができる人がこのカテゴリなことが多いと思います。インターンシップというよりもアルバイト色が強いかもしれません。これは本当に「仕事する」という感じ。
3つ目が、長期にわたり、休学を伴うようなインターンシップ。海外渡航を要するインターンシップは、大学や担当教員の理解と手厚いサポートがない限り単位取得と両立することが難しく、休学することになる場合がほとんどですね。業務内容は多種多様、他の2つと比較すると「学ぶ」「挑戦する」という印象のインターンシップになると思います。
長くなってしまいましたが、このnoteで書くのは、3つ目のカテゴリについて。
まずは自分自身の体験から書こうと思います。


失敗のインターンシップと、成功のインターンシップ
冒頭にも書いたように、私は東アフリカ2ヶ国で計2年のインターンシップを経験しています。
一度目は、2019年ウガンダ、日系NGOのインターンシップでした。もともと日本で所属していた学生団体を経由したもので、とくに「インターンシップってこういうもの」というのをよく調べずに行ってしまいました。今更反省です。お察しのとおり、こちらが失敗のインターンシップ。勤務時間過多とパワハラから躁鬱になって、1年の予定を7ヶ月で切り上げてきました。
二度目は、2020年日本からリモートインターンとして参加し、後に現地渡航、そして卒業後の就職先になった、ケニアの日系スタートアップのインターンシップ。こちらが成功のインターンシップ

二度目のインターンシップの面接を受けた時が、失敗のインターンシップがなぜ失敗だったかに気づいた瞬間でした。自己紹介と志望動機に続いて、最初に聞かれたのが「うちのインターンで何をしたいですか」でした。え、インターン先ややって欲しいタスクを振られるものなのでは?と思いました。
「習得したいこと、勉強したいこと、チャレンジしたいこと、うちでできそうですか。それに合わせてどんなタスクを振るか考えます」思えば、最初のインターンシップのときは、行く前に考えていた理想は1週間で崩れ落ちて、降ってくる山ほどのタスク(本来免許の必要なエリア)を前提知識のないまま、睡眠時間を削ってこなしていく毎日でした。
「学校やバイトのスケジュールはどのくらいですか、無理のない勤務時間はどのくらいですか」これも、聞かれたことありませんでした。むしろ土日も含めてかなりの残業時間になっていました。
「長くインターンするつもりなら、今後の給与について相談しましょう」このときまで、インターンシップって全部無償だと思っていました。調べれば、有償のインターンシップもすぐ出てくるんですけどね。

面接を経て、今の会社でインターンシップを始めてから、一度目のインターンシップがかなり歪んだ構造だったことに気づいてきました。
これを呼んでいる人の中には、この「一度目のインターンシップ先」がどこか分かってしまう人もたくさんいるかと思いますが、これはその団体や、当時働いていた方に対する批判ではなく、仕組みに対する建設的で生産的な意見として受け取ってもらえることを祈って、忖度なしに書くことをお赦しください。

そしてケニアで働き始めてから会った日本人の学生(インターン生)から聞いた話もかなり衝撃的だったので、自分だけではない=他にも失敗のインターンシップを経験する学生がいるかもしれないという危機感も乗せて。

インターンは無料(タダ)の労働力じゃない
これからインターンに行く学生の皆さん、以下に羅列する質問の全てに答えを持っていますか。
今の貯金はいくらですか。休学費はいくらですか。インターン先は渡航費用・予防注射代・コロナ検査代を出してくれますか。毎月の生活費はいくらくらいかかりそうですか。インターンシップをするに適正なビザを用意してもらえますか。インターン先は外国人として暮らすのに安全な住居を用意してくれますか、またはその費用を負担してくれますか。週の勤務は何時間で、その最低賃金をカバーする程度の給与もしくは家賃補助や生活費の補助は出ますか。誰に話しても適正だと言われる程度の休みは用意されていますか。物価が日本より安いのに日本で通常に生活するよりも速く貯金が減ってしまいませんか。
インターンシップを通して、あなたは何を習得できますか。それは一年卒業を遅らせるに値する成果と思えますか。慣れない異国の地での生活や勤務で疲弊してしまった場合や、万が一あらゆるハラスメントに遭った場合に相談できる場所・人は確保されていますか。

これらの質問のうち、学生本人が責任を取るべきものと、インターンシップ先が責任を取るものがありますが、概ねインターンシップ先が解決して然るべきと、個人的には思っています。
ハタチを超えた学生でも、働いた経験がない人(アルバイトを除く)は、このような場面においては決定的な知識不足です。先の質問の一部は労働基準法に引っかかりますし、適切な種類のビザが取れていない場合には渡航先の国の出入国に関する法律に抵触する可能性があります。ここは会社や団体のコンプライアンスの一部としてチェックされるべきだと思います。

充実したインターンシップのために
長くなってしまいましたが、もう少しで終わりです。
一度目のインターンシップ中、私には相談する先がありませんでした。というよりも、精神的にかなり追い込まれて視野が狭くなっていて解決してくれそうな大人にたどり着けなかっただけかもしれませんが、とにかく帰国直前までほとんど誰にも相談しませんでした。
今の就職先である二度目のインターンシップ先に出会えなかったら、働くこと自体がトラウマになっていたかもしれません。ちなみに二度目のインターンシップは先ほど挙げた質問の全てをクリアしていますし、人間関係に悩んだことは一度もありません。

長期で、しかも海外でのインターンシップとなると、なにが起こるか予想できません。でも、せっかく得たチャンスなのに、完遂しないのはもったいないし、いずれ好転するような気がしますよね。これこそが、躁鬱になりながら、私が半年超パワハラに耐えてしまった理由です。途中で切り上げる勇気も必要かもしれません。
でも、そもそもそんな事態に陥らないために、出発前に信用できる・相談できる大人(社会人)を見つけておくことをお勧めします。例えば、大学のキャリアセンター、日本が拠点の法人や団体ならその中の人、同じインターン先での経験がある先輩、渡航先の国で相談できそうな日本人(大使館に駆け込んでもホントはいいんですよ)。
ナイロビで働く日本人の中で、インターンの学生どうしを除いて一番年齢が近いのは私だと思うので、このnoteを読んで「あれ、もしかして私のインターン先やばい?」って思ったアフリカインターン生がいたらTwitterのDMかなんかで相談してきてくださいね。

ウガンダでひたすらしんどい思いをしましたが、関わった現地の人の中で会いたい人はたくさんいますし、自然も素晴らしかったので、もう一度行きたいとずっと思っています。ケニアも、コロナの影響でなかなかナイロビから出られていませんが、快適で、だいすきな場所です。
これからアフリカで何か挑戦する学生の皆さんがつらい思いをしませんように。インターンシップでの経験が、その後の人生の選択の糧になるような貴重なものでありますように。本当に尊敬する大人に出会えるチャンスでありますように。

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