見出し画像

なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか? 第2章 その2

26÷4=6あまり2の法則 

この細い階段をなぜ最後まで下を向かないで下りていけるのでしょうか?
ここで少しだけ算数を使います。

26段を4で割ると、6あまり2です。

この4とは、4分の4拍子のとき1小節は4拍ということです。
つまり音楽に合わせて階段を下りると、1小節につき4段下りることができるという計算になります。
ということは、26段下りるためには6小節と2拍使うことになりますね。この2拍が最後になると、美しくないのでまず先に使います。

例えば曲の二小節目の最後の二拍を使って二段下ります。そのまま三小節目から音楽に合わせて一小節に四段ずつ下りていくと……、
必ず8小節目の最後の4拍目で本舞台に到着するというわけです。
ですから例えば前の列から8段の間隔をあけて下りるように振りつけられているときは、2小節ずれで下りはじめると8段ずれで下りていけるわけです。
6小節と2拍使うと、自然と最後の拍数の足は本舞台につくのです。

有終のフィナーレ。下りはじめる曲のカウントを間違わなければ自信を持って、満面の笑顔でお客様に「最後までご覧いただいてありがとうございます!」という気持ちをもって下りることができるのです。
しかし、計算でわかっているとはいえ、初舞台から間もないころは不安と恐怖で顔が引きつってしまいます。とにかく練習あるのみ。何度も何度も練習をして、あの美しいフィナーレができあがるのです。

上がる下がる踊る反る。恐怖の振付

さらに怖いのは、娘役の大きなスカートで大階段を下りるときです。
自分の足を見ようとしても、大きなスカートが裾まであるので足元がまったく見えないからです。
不安で不安でたまりません。これは男役から娘役に転向したときに最初に直面した怖い体験でした。
下りるために階段のぎりぎりの位置にスタンバイするのですが、その場所さえ見えないのです。
満面の笑顔の一方、スカートの中では踏み出す場所を探して足をしきりに動かしているんです。
それも少々がに股で。
夢をこわしてしまいそうですね。
何日かすると慣れるのですが、それでも「下を向いて確認したい」という気持ちは残っているので、その気持ちに打ち勝たなくてはならないのです。
カウントさえ間違わなければ踏みはずすことはない! と。

しかしあの大階段です。いくら慣れたといっても、ジェンヌの胸はドキドキしているのですよ。
下りるだけでも緊張しますが、「大階段で踊る」場面も少なくありません。つまり、上がるもあるし、斜めに駆け上がったり駆け下りたりもあるのです。
また、反る振付もあるのです。
本当に怖い振付です。

「なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?」桐生のぼる著書より 
                      つづく・・・・

幼稚園・保育園・こども園の先生向けホームページはこちらです。
      ⬇︎
https://petipa-hoikukensyuu.com/

生活発表会やお遊戯会の劇のことはPETIPAの脚本家であり、ダンス講師のまみっちのページをご覧くださいね。
       ⬇︎
https://note.com/petipa_mamicchi