なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その5
男はズドンと立っていろ!!
これは今でも鮮明に覚えているエピソードです。
当時トップスターだった鳳蘭さんを筆頭に、男役ばかりのダンスの場面の稽古をしていました。
格好良い見せ場です。
私はまだまだ下級生で男役ばかりのこんなステキな場面に早く出たい! と思っていましたので、目を皿のようにしてどんな場面も見逃すまいと見ていました。
すると途中で突然、男性の振付の先生が大声で注意をしたのです。
「そんなにゴソゴソ動くな! 男はズドンと立っているだけでいい! こちょこちょ動くから男に見えないんだ!」
衝撃的でした。少しでも格好良く見せるための工夫、つまり目線をどう移すか、振り向くときに手をどこにおけばいいか、などの細かい動きの工夫はしていても「何にもしない」ということ、そぎ落とすことこそが男性に見えるのです。
考え方が一八〇度変わった出来事でした。
なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?」桐生のぼる著書より
つづく・・・・