まとうゆう

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アニメの聖地巡礼記や読書記録(社会学中心)、最近考えていることなどをざっくばらんに投稿します。

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    社会学を中心に、読んだ本の書評や感想をまとめます。

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    さまざまなアニメ作品の聖地巡礼記を、ルートマップなどと共に公開します。これから巡礼したい人の参考になれば!

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存在様態論はマジで謎だが、入門には最適 『ブルーノ・ラトゥールの取説』の取説

前々から読みたいと思っていたラトゥール理論の入門書『ブルーノ・ラトゥールの取説 アクターネットワーク論から存在様態探求へ』を読んだ。 科学社会学を志す者として、避けては通れないラトゥール。自分の事前知識はと言えば、彼がモノもアクターに含めているらしい「アクターネットワーク理論」なるものを提唱しているらしいことと、あのウールガーとの共著で研究室の参与観察をやっていたらしい(?)ということだけだった。とても原著に最初から突撃して理解できるイメージがなかったので、入門書として最良

    • 「走る現在」から「立ち止まる現在へ」

      現代社会は基本的に生きづらいものである。なぜなら基本的に未来に向けて自らを投射すること、すなわち自己投資の意義が強調され、自らを商品化することに多くの価値が付与される世の中だからだ。絶えざる自己変革を求められる社会では、自己とは常に否定されるべきものであり、現状に甘んじずより高みを目指す向上心こそが是とされる。 さらに悪いことに、過去の実績ではなく現在進行形で「優秀さ」を示すことこそが賭け金になっているため、常に継続してパフォーマンスを出すことが人物評価につながるようになっ

      • 今の僕には、この本が必要だった——『孤独と居場所の社会学』感想

        阿比留久美『孤独と居場所の社会学』を読んだ。「居場所」をキーワードに、現代社会論の観点からアイデンティティの不安定化を説き、教育、家族、ジェンダーの視点から生きづらさにアプローチした作品。今の僕には、必要な本だったと思う。 学術書というよりは、あとがきで著者も触れている通り、学術書と一般書の間を目指したような本だった。理論的、実証的な議論だけでなく、ところどころに挟まる筆者の思いや個人的経験の話が、思ったより効果的に説得力を増している。筆者自身、早くに父親を亡くして貧しいな

        • 社会学史の入門に最適 奥村隆『社会学の歴史Ⅰ』を読んだ

          社会学史の入門書としては良書と方々で評判の奥村隆『社会学の歴史Ⅰ』を読んだ。入門書にしてはレベルが高い感は否めないが、評判通りの良書である。 以下、各章の感想を備忘録として残しておきたい。 第1章 「社会学」のはじまり フランス革命以降、社会は誰かの意図の結果としては説明できない混乱に見舞われ、「社会という謎」に見舞われた。その「意図せざる結果」のメカニズムを解明する「社会の科学」こそが社会学であり、そのために社会学者たちはdetached observerとして社会を

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          100年越しに響く警告 マックス・ウェーバー『職業としての学問』感想

          とても100年前のドイツの話とは思えない講演である。 1919年1月、ミュンヘンで行った公開講演の一つが、この『職業としての学問』であるらしい。ウェーバーが説いたのは、一方にマルクス主義、他方に新文化建設運動が起こり、社会が揺らぐ中で、安易に理想に走ろうとするのではなく、日々の仕事に帰り、現代を肯定することであった。学問を職業とする者の本分は、煽動者となることではなく、あくまで明確さと責任感をものごとの説明として与えることに専念すべきだとしたこの講演は、現在のあらゆる職人的

          100年越しに響く警告 マックス・ウェーバー『職業としての学問』感想

          今からでも遅くない! 『宇宙よりも遠い場所』半日聖地巡礼ルート

          2018年の放送から早6年、もはや古典になった感もあるアニメ『宇宙よりも遠い場所』(通称よりもい)。 作品自体は1話からリアタイしていた古参ファンだったのですが、いまだに聖地に足を運んだことがなかったので、一念発起して主人公キマリたちの地元である群馬県館林市に行ってきました。 今更行っても流石に熱は冷めてるだろう…と思っていたら、まだまだ現役でコラボしてる! ファンの人も来てる! 館林の皆さんのホスピタリティが想像以上で、思わず館林に住みたくなってしまうくらいだったので、

          今からでも遅くない! 『宇宙よりも遠い場所』半日聖地巡礼ルート