なに基準?
「自閉」って言葉に、昔から違和感がある。少なくとも私がこれまで学校現場で関わった、自閉症スペクトラムに分類される子はみな、表現は得意といえない反面、世界観をしっかり持っていた。
たまーーにポツリと打ち明けてくれた発想がおもしろく、「この素材をこう組み合わせるか!」「なるほど!」と頭が下がった。了解を得てみんなに紹介させてもらうと、自然と拍手が起こったこともしばしば。
表現しないからって、心を閉ざしているわけではない。見えないからって、「ない」とは限らない。
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「話を聞かないからムダよ」と言われた子。確かに最初は、話しかけても無反応だった。そのうち、目を瞑りシャットアウト。「話しかけすぎちゃったね、ごめん」と思って黙ると、そーっとそーっと目が開いてくる。
その瞬間、ちょっと分かった。彼は話を聞いていないのではなく、話が終わるのを待っていたんだ。興味のない話なんて、雑音と同じよね。笑
私も子どものころ、母のとめどない説教が始まると「耳、休み」と小さく唱え、心を無にして終わるのを待っていたっけ。
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もちろん十人十色だけれど、根っこの部分は何も変わらない。表現が少し苦手なだけ。心を閉ざしているわけでは、ないんじゃないかなぁ。
心の中ではどんなことを考えているんやろう。技術がもっともっと進歩して、あの子たちの発想が表現できるようになったら、どれだけ社会は、世界はよくなるんやろう。そんな未来を想像すると、ワクワクしてうれしくなる。
決めつけに負けないでと、心から思う。
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