見出し画像

#58「"やり手"管理職の決断」

さとゆみさんの連載「今日もコレカラ」を読み、感じたことを書く。引用リプじゃおさまりきらない、グルグル余韻の言語化トレーニング。

エビちゃん、素敵な仕事をしてるんだなあって思って帰りに美容院を覗いていこうとしたら、それほど夜は深くなかったけれど、きっちり店が閉まっていた。むやみに長時間労働しない。ちゃんと働いてちゃんと家に帰る。それもやっぱり素敵だなあって思ったよ。

エビちゃんと友人のお母さん【さとゆみの今日もコレカラ/第248回】


「エビちゃん」のワードを見て、え!あの?モデルの?と思った私は、立派なアラフォーでございやす。笑




かつて働いていた学校に、管理職としてAさんが着任した。Aさんは当時、40歳になったばかり。いわゆる「やり手」の人だった。

仕事はかなりできる一方で偉ぶらず、先生たちともあっという間に信頼関係を築いていく。それまでに出会った管理職とは対岸にいる、とことん「現場」目線の人。

Aさんは担任時代から指導力も評判で、よく若手・中堅を集めて模擬授業をしてくれた。教材の使い方や板書の手順など、「どうすれば、子どもに分かるか」を考え抜く。

算数が専門のAさんに、「ちょっと授業案を見てください」と相談に乗ってもらったことも懐かしい。

✳︎

用事があって職場に行った土曜日、たまたまAさんと2人になった。仕事を片付けながらの雑談が、だんだん、プライベートの話に変わっていく。

「朝は始発で、夜は終電。それでも終わらないから、土日も出勤している」

暗い表情で話すAさんには、奥さんと2人のお子さんがいた。

「管理職になってからは、家族にほとんど会っていない。もうやってられないよ〜」

穏やかに笑っていたけれど、なんともいえん「疲れ」を感じた。


✳︎

そんなAさんが退職し、仲間と一緒に事業を立ち上げたと聞いたのは3年ほど前。配慮が必要な子どもたちをフォローする塾だと知り、Aさんらしいなぁと思った。

受け持っていた子どもが暴れ出し、ヘルプを出すと真っ先にかけつけてくれたAさん。全力でもがきながら「はなせ〜!お前なんか嫌いだー!」と叫ぶその子を、「はなさないよ〜!先生は君が大好きだから」と抱きしめていたAさん。

「この人が校長になったら、きっと学校はよくなる」

そう思っていただけに、ガックリしなかったといえば嘘になる。

けれど。

「やってらんないよ〜」

と自虐的に笑ったAさんを思い出し、あまりにも身勝手な要望を反省する。


30代で教務主任・主幹を経験し、40歳で副校長になったAさんは、はたから見ればキラキラのエリートだった。ただ、エリート街道を走るうちに、満足感からは乖離していったのだろう。


「やってらんないよ〜」発言から8年以上が経った今、

「Aさんは元気にしているかな?」なんて心配は無用よね。あの人はきっと、どんな場所にでも花を咲かせるだろうから。


▼7月6日の午前7時ごろまで読めます!こちらもぜひ♪



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?