アナログさいきょう説
前職のころ、週に1回のペースで学級通信を発行していた。出産して復帰するまでは、パソコンで作成、管理職などにチェックをしてもらって発行する流れが当たり前。
ただ、子どもが生まれると別だ。「保育園のお迎え」というタイムリミットがあるので、パソコンで学級通信を書く時間がない。
学級通信は任意だけれど、保護者とのコミュニケーションにかなり役立つ。実際に数名の保護者から「子どもが学校の様子を話してくれないから、学級通信を楽しみにしている」という声も聞いていた。
そこで、大量のFAX用紙に題字だけ印刷し、手書きで学級通信を書くことにしたのだ。結果、不便どころかメリットだらけだった。
メリット1:修正があっという間
何度も推敲した学級通信でも、完璧とは限らない。管理職の手に渡るとほぼ100%、赤字が入って戻ってくる。ただ、秒単位で動く学校生活ではパソコンを開き、データを探し、修正する時間が本当にない。
数日前に出したにもかかわらず、発行予定日の朝に修正が入った原稿が返ってくることも少なくなかった(管理職・特に副校長はかなーり激務なの)。
その点、紙の学級通信は修正テープで消して書き直せる。紙1枚なので持ち運ぶ手間もなく、すき間時間で修正できた。
メリット2:いつでも、どこでも書ける
手書きの学級通信にした最大の理由は、自宅で書きたかったから。帰宅後は学校とは違う慌ただしさがあり、パソコンを開き、じっくりと書く余裕がない。何より、朝からノンストップで動きまくっているから、パソコンを立ち上げる気力がないのだ。笑 紙なら、腰が激重な私もダイニングにさっと広げて書き始められた。
子どもたちの写真や作文などを入れるのも、だんぜん紙がスムーズだった。パソコンの場合は画面上ではいい感じやのに、印刷するとちょっと切れている、なんてことはザラ(私の技量不足)。紙なら、最初から合うサイズにすればいいから失敗→やり直しの手間が省けたように思う。
メリット3:字を意識する
学級通信は子どもたちはもちろん、保護者の手に渡る。決して上手な字ではないけれど、パソコンのときよりは何重も、字を意識して書くようになった。
今はパソコン・スマホで簡単にひらがなを漢字に変換できる一方、「あの漢字はなんやっけ?」と脳を働かせる機会も減ったように思う。その点アナログは予測変換などないので、思い浮かばないときには自然と辞書に手が伸びた。
メリット4:読み手の反応
ちょっと意外だったのは、保護者から「今まではさらっと目を通す程度だったんですけど、しっかりと読むようになりました!」と言われたこと。子どもたちからは「先生、今回もがんばって書いたね!」と褒められた(これ、めちゃうれしい)。笑
画一的な表示とは異なり、手書きには「その人の個性」「努力の痕跡」が少なからず現れる。同じことを書いていても、「手書き」ってだけで少し特別感がアップする気がする。
一周まわって、便利?
もちろんケースバイケースやから、パソコンで作成したほうがスムーズな人もいるだろう。けれど、「手間をかける」って案外、悪いことではない気がする。
先日、息子のジャンプタッチがいきなり動かなくなり?ヘルプセンターに問い合わせると全てがAIだった。オペレーターの対応はなんと10日待ち。「これ以上はどうしようもないね」と、泣き叫ぶ息子をたしなめた。
たしなめながら、ふと「数年前なら多分、オペレーターが対応してくれたやろうな」と思う。便利なようで、どんどん不便になっている?とすら感じてしまう。
一見面倒なようでも、アナログがてっとり早いケースって少なくない。文明が発達しても、人が書く・つくる仕事が途絶えないのは、この「アナログさいきょう説」が関係しているのかもしれないな。
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