僕らが生まれる前の数百億年の無意識の世界
僕らは、赤ん坊としてこの世に生まれる前、かれこれ数億年も数千億年も、無意識だった。
なぜそんなに長い年月無意識だったのに、時間が長すぎると思わなかったのだろう。
そして突然として、この世界に発生してほんの短い数十年の生を楽しんでいる。言ってもせいぜい百数十年。
やがてはまた、元いたところへと戻るわけだが、それからまた数百億年、数千億年、はたまた永遠に、無意識の世界に溶け込むのだろうか。
僕ら人は死ぬのが怖い。だが一体なにを怖がることがあるだろうか。
赤ん坊として生まれる前には、もうはるか大昔から、慣れ親しんできた無の世界なのだから。