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3か月予報(4~6月)

3月24日発表の3か月予報について解説します。

今年の梅雨も大雨に要注意となりそうです。

1.一般向け

気温が高い春~初夏

向こう3か月の気温は北・東・西日本で高く

沖縄・奄美では平年並みか高い予想です。

これは偏西風が平年より北よりを流れ、

暖かい空気に覆われやすいことが要因の一つとなっています。

沖縄にだけ平年並みの可能性をつけているのは

フィリピン付近の対流活動が

4,5月は平年より活発なために、沖縄には南風が入りにくく

気温がほぼ平年並みと予想されているからだと思われます。

梅雨の大雨に要注意

降水量は4,5月は全国的に平年並みですが

6月は東日本太平洋側で平年並みか多い予想です。

これは高気圧の縁を回る暖かく湿った空気が流れ込みやすく

梅雨前線の活動が活発となる時期があるためです。

つまり、梅雨の大雨に要注意だということが言えます。

平時のうちに、大雨対策について今一度意識を向けておきましょう。

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2.専門向け

偏西風北偏の要因

200hPa流線関数を見ると波列は見られるものの

北半球はほぼ高気圧性循環偏差となっている。

これにより偏西風北偏が示唆されていることがわかる。

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その中でユーラシア中部と北太平洋が特に高気圧性循環偏差の中心が見られる。

200hPa速度ポテンシャルではインド洋は負偏差領域で発散場となっており

これがユーラシア中部の高気圧性循環偏差に寄与していると考えられる。

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北太平洋に関しては、850hPaにも明瞭な高気圧性循環偏差が見られることから、フィリピン付近の対流活発により、下降流が明瞭になっているというとらえ方が出来る。

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また、ユーラシア中部からの波列が関与していると思われる。

日本付近は2つの高気圧性循環偏差に挟まれ、相対的にこの偏差は弱く、

偏西風が南偏しやすい時期があると見込まれるが、

500hPa高度場は北極付近が負偏差で正のAOを示している。

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これも偏西風が北偏しやすいことと関係しており

日本付近は暖気に覆われやすく、高温側に振り切れるほうがより確立としては高いと考える。

ただし、沖縄・奄美に関しては、フィリピン付近の対流活発に対応し

日本の南海上の地上気圧は負偏差領域が広がっており

南風偏差がやや弱いため、他地域に比べると高温傾向が弱い。

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また、全体的に期間後半にかけて高温傾向が弱まっていくことが予想されているが

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これは太平洋北部の偏西風北偏領域がだんだん東に偏るため

暖気団も東に離れていくということが原因になっている。

200hPa流線関数や500hPa高度場を見るとその中心が東に移っていることがわかる。

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梅雨時期多雨の要因は

天候に関して、4月5月は周期変化で推移するところが多そうだが、

6月の東日本太平洋側は降水量が平年並みか多いと予想されている。

その他、西日本、沖縄奄美も平年に比べ曇りや雨の日が多いと予想されている。

これについて考える。

地上気圧を見ると、日本の南海上付近に正偏差が見られ

6月は太平洋高気圧の西への張り出しが特に強いということが示されている。

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これにより高気圧縁辺の暖湿流が前線に流れ込みやすく

その活動を活発にさせ、より多くの雨を降らせるということが推測される。

6月はフィリピン付近の200hPa速度ポテンシャルの負偏差がより強く

対流が活発であることを示しており、

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これに対応して850hPa流線関数で日本の南に高気圧性循環偏差が顕著になっているものと思われる。

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また、500hPaではカムチャツカ半島に明瞭なリッジ場が見られる。

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850hPa気温場はその直下で正偏差となっており、

オホーツク海高気圧と言えるものではなさそうだが、

この付近で高気圧が発達し、ブロッキングが起きやすい可能性もある。

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このために、太平洋高気圧は北へは張り出しにくく

西への張り出しがより強まっているのかもしれない。

このブロッキングや太平洋高気圧の西への強まりが長期間続くような

気象条件になった場合は、今年の梅雨もどこかしらで大雨となり被害が出る恐れがある。

今年の出水期も要注意であろう。







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