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コーヒー農園に行く方法

僕はコーヒー屋をやっていて、これまでいろんなコーヒー農園に行きました。エチオピア、インドネシア、ベトナム、台湾、タイ、ラオス、ミャンマー、ネパール、、、。

コーヒーの生産についても伝えたいと、農園の様子をnoteやSNSで紹介しているんですが、見てくれた方から「どうやったらコーヒー農園に行けますか」と質問をもらうこともよくあります。

今日は、コーヒー農園に行きたいと思った方が、実際に農園に訪問するための方法と、気をつけることを書いてみたいと思います。


コーヒー生豆の流通を理解する

まずはじめに、農園に行く前に、コーヒー豆が農園からどのように届くのか、生豆の流通構造を考えてみます。

過去のnote([図解]コーヒーの商流を解説)でも紹介したのですが、ざっくりコーヒー生豆は、

農園→精製所→輸出業者→輸入業者(商社)→ロースター→店→消費者

という流れで届きます。
ざっくりカテゴライズすると、

生産者 → 輸出業者 → 輸入業者 → コーヒーショップ

こんな感じです。

その上で、農園に行く方法や目的を考えてみましょう。


コーヒー農園に行く目的

農家さんとのコミュニケーション

コーヒー農園に行く目的なんですが、僕たちコーヒーロースターにとっては、生産者さんとのコミュニケーションのために行くことも多くあります。

例えば、お気に入りの豆があって、この豆を生産している人に思いを聞いてみたい、実際に作っている現場を見てみたい、といったインタビュー的な目的。実際に足を運ぶと、現地のコーヒー農園の景色は、標高が高いこともあって本当に壮大で美しく、このコーヒーの魅力をもっと多くの人に伝えたい、という気持ちになりますし、何故こんなに美味しいのかという理由についても生産工程や畑の仕事を見て気づくことがたくさんあります。

あとは生産者と一緒に新しい生産の取り組みをはじめる目的。僕はアジアのコーヒーをもっと美味しく、もっと多くの人に楽しんでもらいたいと、ベトナムやバリ島の生産者と一緒に精製所をリニューアルしたり増設したり、精製のレシピを一緒に研究したり精製レシピマニュアルをつくったりと、生産の取り組みもやってきました。そんな、生産者のためなる形で、生産に入っていくというのも現地に行く目的になったりします。


より多いセレクションから豆を買う

もう1つの大きい目的は買い付け。もしかしたら一般的にはコーヒー屋が産地に行く目的ではこっちの方が多いかもしれません。

一般的にはコーヒー生豆を買う時は、日本の商社の在庫リストから選ばせていただくのですが、産地にいくとその商社が買う前の、もっと多いリストからコーヒー豆をテイスティングできたり、一緒に買い付けをさせてもらったり、好みの豆を見つけたりということができたりします。

その場合現地の輸出業者のところにいって、カッピングという方法でコーヒーをテイスティングして、何かしらのコーヒーを買う目的で行くことになります。その流れでよかった代表的な生産者のところをまわらせてもらったり、ということもよくあったりします。


コーヒー農園に行く方法

商社に同行する

まず1番に、圧倒的に多いと思うのが、商社さんの買い付けの時に一緒に同行させてもらう流れ。

商社さんにとっても、いつも生豆を買ってくれているお客様に現地の様子を紹介したり、より多く買ってくれる前提もあって現地を案内して買い付けてもらうということは、ポジティブな要素があります。

快く引き受けてくれるかどうかや、買い付け同行的なものを行なっているかどうかは商社さん次第ですが、コーヒー屋やロースターにとっての流れとしては、生豆を仕入れる上でのお気に入りの商社さんを見つけ、ある程度の期間仕入れ続けお付き合いさせてもらい、連絡を取り合うようになって仲良くなった上でいつか機会があった時に同行させてもらう、という感じになると思います。



輸出業者に連絡する

ストレートな方法なんですが、直接現地の輸出業者に連絡して、コーヒー生豆を買う前提で行く方法もあります。

商社さんと一緒に同行するわけではないので、生豆をどう輸入するかは自分で方法を見つけないといけません。例えば現地の輸出業者からの輸送をどこかの商社さんやフォワーダーにお願いするとか。

そして、輸出業者さんからしたらコーヒー豆を買ってくれるから案内してくれるわけなので、少なくともコーヒー豆は買う前提でいきましょう。世界中からバイヤーが来る人気の業者さんもあるので、何kg以上買わないといけないとか、自分は何kgくらい買うつもりとかは行く前にコミュニケーション取れるといいと思います。

基本的にはネットで"国名 + specialty coffee + exporter"で検索するとか、日本国内でもSCAJといったコーヒーの展示会に輸出業者が来ていることもあるのでそこでお話ししてみるとか、SNSで見つけてみるとか、意外とタッチポイントはたくさんあると思います。

僕はノルウェーにあるコーヒー生豆商社を訪問して、その時に一緒に同行したい、とお願いさせてもらって一緒にエチオピアに行かせてもらいました。現地の移動なども含めて一人で行くとかなり困難な部分もあるので、目的が同じ人と一緒に行くのが一番かもしれません。


直接農家さんに連絡する

そして最後に、直接生産者さんに連絡する方法。

外部からのお客さんを受け入れているような、お金ももらってツアーもやっている生産者さんや、輸出業者が運営している大きい精製所とかならまだいいのですが、普通に農業を忙しくしている農家さんにバンバン連絡するのも、迷惑をかけてしまう可能性もたくさんあります。そして、行くにしてもコーヒー豆を買う前提でいくとか、有料で案内してもらうとか、農家さんにメリットがある形で絶対にいきましょう。

僕は特殊パターンなんですが、アジアで美味しいコーヒーをつくる熱意溢れる農家さんを見つけたいと思った時、google検索などで出てきた農園に連絡してまずはじめにサンプルの豆を買わせていただきました。そんなサンプルの取り寄せを30農園くらいさせてもらって、品種や生産方法に関して可能性がある、そして改善の余地もあると思った農家さんとやりとりを進めて仲良くなって、一定量豆を買うのでその分の豆について一緒に生産できないか、という提案とか、一度訪問させてもらって何かコーヒーで一緒に取り組みができないかという相談をさせてもらって、快く引く受けてくれた農家さんと今も一緒に仕事をしています。

直接連絡して直接行く場合、現地の移動も全部自分での準備になるので、ドライバー付きのレンタカーを借りるとか、公共交通機関について綿密に調べておくとか、移動方法の計画も必要になるので注意です。産地によっては、意外と空港からすぐ行ける農家さんや、例えば台湾だと高速鉄道ですぐ産地まで行けたりとか、国によっていろんな移動のパターンがあります。エチオピアで車で20時間移動はむっちゃキツかったです。。



こんな感じで、今回はコーヒー農園に行く方法を紹介してみました。

実際に現地に行くと、食べ物、農園に行くまでの車からの景色、コーヒーの木の手入れや土の養分といった農業としての仕事、生産の方法、コーヒーチェリーの味、日本でコーヒーを飲んでいたり焙煎しているだけではわからないコーヒーの魅力やわくわくに出会えます。

エチオピアの農村部で食べたインジェラ


なぜコーヒーが美味しいのか、もちろんバリスタの技術や焙煎の方法もあるかもしれませんが、一番は農家さんの仕事なんです。コーヒーの0→1を作っているのは農家さんだし、その仕事の重要さ、すごさを僕は感じて欲しいと思っています。

今はできていませんが、2019年まではバリ島とベトナムで仲のいい農家さんのところで農園ツアーも開催していたので、もし一緒に行きたいよという方がいたら、また渡航可能になった時にお知らせしますので一緒にいきましょう。


行かなくても現地の雰囲気が楽しめるように動画も撮ってきたので、よかったら見てみてください。


川野優馬



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