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職人でいることと、伝え手であること

コーヒーの仕事って、職人的にコーヒーの美味しさに向き合い追求しながらも、同時にお客様にその美味しさを伝える立場の仕事でもある。

飲食の仕事って全体的に、作り手としての職人でありながら伝え手でもある、器用さが求められる仕事だなーって思う。



コーヒーの職人的側面だと、例えば毎朝その日の豆をテイスティングして味わいを確認してその日どの豆をおすすめしようか考えたり、エスプレッソのレシピを決めて調整したり。日々豆の個性を掴みそれが最大化するように味覚や抽出技術を高めている。

もちろんもう一歩進むと焙煎もあって、大きなお店だと焙煎する人は店頭には立たず専門職になることもあるが、小さい店だと集中して焙煎しながら合間に接客することもある。


職人的な仕事って基本的に、モノに向き合う。突き詰めると技術や感覚なので、自分に向き合うことになる。エネルギーのベクトルが内向きって感じ。

一方で伝える仕事は外へのベクトル。一人一人のお客様の期待や要望を汲み取ってどれだけ心地よい体験にできるか。どれだけその人に寄り添えるか。もっと広げると、その人の暮らしや人生にどう影響を与えられるのか、街や社会をどう良くできるのか。



そう考えると、やっぱりコーヒー屋の仕事って職人的に見えてサービスの仕事だし、コミュニケーションと職人技術が同レベルで必要になるめっちゃ難しい仕事だと思った。

どんな力がバリスタに必要かって考えたrあ、ベクトルを切り替える能力なのかなって思う。お客様がいらして好みの豆を提案してオーダーを受けるまでの外向きのエネルギー、その後集中して最大限美味しいコーヒーを作るまでの内向きのエネルギー、そしてできたコーヒーを渡してサービスする外向きのエネルギー。今自分はどの方向にエネルギーを注ぐのかを意識して、気持ちの方向をちゃんと切り替えることができると良いのかなって思う。

もっと慣れてくると、内向きの研究や集中といったことはお客さんがいない時間にやって、技術はもう当たり前のように意識しないでできるようになり営業時間中はずっと外向きのエネルギーでできるようになる。そうなった時にいいお店になるし、いいバリスタになるのかなって思った。


僕はコーヒー屋をやっているんだけど、採用をしたりトレーニングしたり、育っていく様子を見ていると、はじめはみんな手元の技術が不安で、どうしても内向きのベクトルになってしまうように感じる。どんな仕事だってそうかもしれないけど、初めての現場って、周りとコミュニケーションを取ったりお客さんを喜ばせることに意識がいくよりも、仕事を把握したり自分が仕事に慣れたり技術を習得することに気持ちがいくものだと思う。

ただ、その中でも練習をしているうちに、機会を重ねていくうちに、どこかでバチッとエネルギーのベクトルが外を向く瞬間がある。それは、自分がおすすめしたコーヒーでお客さんがめっちゃ感動してくれたり、嬉しい言葉を投げかけてくれたり、自分が淹れたコーヒーで喜んでもらえたりといった成功体験。

内へのエネルギーは外へのエネルギーのためにあるんだ、技術は目的のための手段なんだって気づいた時に、一気にバリスタとして開花するように思えるし、意識しなくてもできる技術にまで馴染むと、外へのベクトルだけに収集することができるようになると思う。


そうやって、職人であることと伝え手であることは両立するのかもしれない。

もっと言うと、良い伝え手でいるために職人でいるのかもしれない。


川野優馬



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