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生産者と消費者の距離、伝わる情報の大切さ

コーヒーは、生産者と消費者の距離がとても遠い飲み物です。

それによって、消費者には生産者の「意思」が伝わりにくく、結果として生産者への共感や理解度は少ないまま、クローズドなコミュニティにもなりやすいのかなと思いました。


というのは、先日、若手の夜明けという日本酒の飲み比べ&トークイベントに参加してきたのですが、参加者の世代は20代前半〜60代までと多様で、伝統的な酒蔵のお酒も、新しいチャレンジのお酒も、みんなが広く楽しんでいる印象でした。

特に、最近話題のクラフトサケの広まり方や受け入れられ方は面白くて、クラフトサケというのは日本酒の製造技術をベースにしながらフルーツなどの副原料を入れるような新しいジャンルの酒なんですが、そういうお酒もあっていいよねという感じでお酒好きの方も寛容的な感じでした。もちろん日本酒のファンの方もコアなファンや、新しいものに対して否定的な方もいるかもしれませんが、その場では少なくともとても受け入れられていました。

コーヒーにはインフューズドコーヒーというものがあって、これも新しい流れの生産で、コーヒーの発酵段階などでフルーツなどコーヒー以外の副原料を加えてその香りを豆に移す作り方のコーヒーです。僕は、そんなコーヒーも生産者にとってコーヒーの価値を上げる一つの手段として、飲み手としても楽しみの一つとしてあっていいと思うんですが、コーヒーの中だと結構否定的な意見もあるように思います。これは業界の中にいるから見える意見や声なのかもしれないのですが、、。



日本酒の場合、なんでこうした新しい取り組みの酒が受け入れられたり、その「酒蔵らしい」おいしさを消費者が理解して楽しんでいるかと考えると、やっぱりそれは生産者と消費者の距離なんじゃないかなと思います。

こうした歴史でこんな酒造りをしている、と、伝える接点はコーヒー農家さんの思いを語る頻度よりも明らかに多いですし、伝え手となる酒屋さんはこうした酒蔵の意図や毎年の変化を、より理解しているように思います。

そのイベントでも、酒蔵の方が当たり前のように、その蔵の歴史やその蔵の目指すおいしさ、酒造りについて資料を見せながらプレゼンしていました。コーヒーの世界だとコーヒー屋や農家さんの伝えたい味や取り組みについてのプレゼンを見る機会はあまりありません。この辺はコーヒーショップの方が歴史が浅いというのもありますが、純粋にそんな接点が少なかったり、ある意味コーヒーって気軽な飲み物だし語らなくても伝わるよね、という、気軽さへの甘え的なものもあるのかもしれません。



こうしたところから、その年の蔵の味を楽しもうという気持ちや、日本酒をもっと伝えていくことへの共感は生まれていて、よりオープンなコミュニティになってきているような感覚を受けました。

コーヒーはコロナでいろんなイベントが止まって、ちょっとクローズドな路線にいっているかもしれません。各ショップが独自に色を出して進んでいて、多様になってきているのですが、これからコーヒーショップ同士また手を取り合って、一緒にコーヒーの魅力を伝えていったり、オープンなコミュニティとして熱や取り組みを伝搬していくことも必要かもしれません。


そもそも、今年はこんな味に仕上がった、こんなことを大事にしてる、というような畑や精製の話が少ないと、どうしても語るところは焙煎や淹れ方、器具という、伝えて整える部分になってしまい、伝え手にスポットライトも大きく当たってしまいます。僕はその点が、もっと作り手の声が乗る形で情報が伝わるようになったらいいなと、作り手と飲み手の距離の近い日本酒業界を見ながら思いました。



作り手と飲み手の距離があるコーヒーだからこそ、他業種を見習いながら、生産者、農家さんの声や意図を意欲的に拾って、業界巻き込んで動いていきたいですね。

カラッと明るく、オープンに楽しく動いていきたい。



川野優馬


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