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ファルマコンを探して

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1990年の夏、美術館でもギャラリーでもない場所で、現代美術の展覧会が行われた。あれから30年。今となってはなかなか語られることがない。 そんな展覧会「ファルマコン’90」につい…
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2021年5月の記事一覧

ファルマコンを探して (10) 相互理解は一歩一歩確実に

ファルマコンを探して (10) 相互理解は一歩一歩確実に

第4話で触れたAC&Tコーポレーションが設立されたときに発行された会社案内パンフレットを見せていただく機会がありました。

せっかくなので会社設立についてのステイトメントを全文引用したいと思います。

 日本は現在、自他ともに認める経済大国であり、国際的にも重要な地位を占めています。しかし、一方では、貿易摩擦など諸外国との深刻な軋轢も出始めております。
 世界同一国家化の前ぶれとして急速に進みつつ

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ファルマコンを探して (9) これじゃあ“絵好ミック・アニマル”だ‼︎

ファルマコンを探して (9) これじゃあ“絵好ミック・アニマル”だ‼︎

すごい時代だったんだなぁ、と思わず溜息を吐きたくなりました。バブル期にまさに泡のごとく湧き上がっては弾けて消えていったアートビジネスに関連した資料に目を通しての感想です。「月刊美術」1990年4月号の特集「アートビジネス最前線」はそういった意味でかなり刺激的な内容でした。
今となっては「え、あそこが!?」と思うような会社が絵画の販売に手を出していたりします。たとえば、自動車のディーラー。日産自動車

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ファルマコンを探して (8) 現代美術なんて興味のない人たち

ファルマコンを探して (8) 現代美術なんて興味のない人たち

バブル期は日本の企業や実業家が「ジャパン・マネー」でさまざまなものを買い上げました。美術品もその例に漏れず、印象派をはじめとする絵画が日本にもたらされました。
安田火災海上保険がクリスティーズでゴッホの「ひまわり」を58億円で落札したのが1987年。当時のオークション最高額を更新しました。その後90年には斉藤了英氏がゴッホの「医師ガシェの肖像」を125億円で、ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレ

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