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椎間関節性腰痛〜各論〜

本日は椎間関節性腰痛の各論についての記事を書こうと思います.

◎疫学

腰痛診療ガイドライン改定第2版では,腰痛において椎間関節が占める割合は22%であると報告しています.
他の論文では,慢性腰痛患者のうち,腰椎椎間関節性由来である頻度は15〜52%であると報告されています.(Kornick C et al:Complications of lumbar facet radio frequency denervation.Spine.29:2004より)
筋・筋膜性腰痛と同程度かそれ以上に多い腰痛の病態であることが示唆されます.

◎解剖と神経支配

寒竹 司:椎間関節の痛み.MB Orthop.26(12):21-24,2013より引用

椎間関節は滑膜性関節であり,関節包,滑膜,関節軟骨から構成され,1~1.5mlの関節液を含む関節構造をしています.
また,神経支配は脊髄神経後枝内側枝であり,多裂筋と同神経支配を受ける関節です.
(寒竹 司:椎間関節の痛み.MB Orthop.26(12):21-24.2013より)
そのため,椎間関節に炎症が生じた場合,脊髄反射により多裂筋に反射性攣縮が生じると考えられます.

◎病態と臨床症状

椎間関節性腰痛の病態としては,
1.機械的な変形が関節包の侵害受容器を刺激することによって起こる疼痛
2.関節症性変化
3.関節包や滑膜の炎症であると報告されています.
(Lawrence J,S et al:Osteoarthritis.Prevalence in the population and relationship between symptoms and X-ray changes.Ann Rheuma Dis.25.1966より)

臨床症状については,神経根症状を伴わず,腰部の伸展による疼痛と後屈制限を有すると報告されています.
(寒竹 司:椎間関節の痛み.MB Orthop.26(12):21-24.2013より)
椎間関節ブロックが有効であった症例の有意な臨床所見として,
1.One point  indicationで指し示すことが可能
2.片側性腰痛
上記の2点であると報告されています.
(田口 俊彦 ほか:腰椎椎間関節性頭痛に対するブロック治療の検討.整・災外.38.1995より)
以上の報告から,私は片側性腰痛で腰椎伸展時痛を有し,One point indicationで疼痛部位指し示すことが可能な症例の場合,椎間関節性腰痛の可能性を念頭に置いて評価をするようにしています.

以上になります.
最後までご覧いただきありがとうございました.
次回は椎間板性腰痛についての記事を書く予定です.
よければご覧ください.

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※論文を読んだ上での個人的な見解を多分に含んでいます.詳細が気になる方は是非論文を読んで理解を深めて頂ければと思います.


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