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「窓辺の猫」第五十九回 猫に触れるようになるまで

地位を危ぶむ飼い猫


どうも猫屋敷です。
我が家の拾われトンボ猫は、最近ご機嫌斜めです。
どうも保護してワクチンまでケージに入れている子猫二匹を警戒しているようです。自分の地位が脅かされるような気がするのでしょうか。
ただでさえ、この家では猫として序列2位だったのに、いまは3位もしくは4位だ・・・なんて落ち込んでいるのでしょうか。
寝室への侵入頻度も減り、子猫のケージには近づかず、通りすがりにシャーと威嚇して出ていきます。
その背中には哀愁が漂っているようです。
一方で、リビングでは傍若無人。母に際限なく甘え、父が来るとまるで生き別れていた兄弟にでも会ったように狂喜して声帯を痛めて出ない声を精いっぱいふりしぼって、ごろごろ転がって喜びを表現します。トンボ猫は自分からは人間にずかずか乗ってきて、痛いほど腹や胸を踏みつけるのに、なかなか抱っこはさせません。自分から乗ると、いつまでも下りません。ゴロゴロ鼻息もうるさいです。最近床によく落ちていますが、どかそうとすると噛みついてやるぞという仕草をします。手に負えません。

深夜の攻防


7月初旬に大雨の日が続きました。一時避妊手術やワクチンや譲渡まで縁側で保護していた猫たちが、網戸を破り、縁側に入ってくることが増えました。捕獲できないかとエサを置いていた私が悪いのです。譲渡につながらずリリースしたのですが、エサやり禁止の地域です。もぐらとか食べて過ごしていたら、また寄生虫が・・・なんて心配もありますが、一番は雨で風邪をひくことです。メス猫二匹は雨の日は姿を現さず、テリトリーを変えただけならいいけどなと身勝手な心配をしています。
一方でカエルくんは去勢以来、むしろほとんど我が家の庭にいるようです。
縁側にも入ってきます。カエルくんがいると、メス猫二匹も後から入って食べたような跡がありますが、姿を見てないので確信はありません。
そして、とある雨の強かった夜。
母が「縁側で猫のうなり声がして寝られない」と私を起こしにきました。縁側から仏間には扉で隔てて入れないようにしており、その二間続きの奥の部屋で母は寝ています。
猫家族は喧嘩しないけどなと思いつつ、縁側を覗いてみると、座り込んでうなっているカエルくんの姿が見えました。もう1匹猫がいる気配がしますが、姿が見えません。
私が縁側に踏み込もうとしたところで、カエルくんは私に背を向けたまま大きなうなり声をあげました。すると、もう一匹の猫が素早く扉から出ていきました。どんなネコか分かりませんが、黒っぽかったので、もしかしたら、カエル君の息子かもしれません。最近どうも出戻っているのです。生後2か月前には姿が見えなくなってましたが、今までどうやって生きていたのでしょうか。

触れるけれど、抱っこさせない猫たち

我が家の三毛のセミ猫は人間にほぼ攻撃しません。しかし、気分じゃない時に抱っこされるとあまがみしてきます。爪が引っかかることもあります。ただ、うなったり暴れたりせず、下ろしてくれるのを待っています。
トンボ猫は完全に拘束されたらあきらめますが、抱っこの気配を感じると逃げます。キャリーに入れられる、病院に連れていかれると思っているのです。外暮らしが長かったので、警戒心が強いのでしょうか。けれども野良猫以上のキャリー嫌いはちょっと異様な気もします。

 カエルくん家族は一度キャリーに入れてしまえば、そこそこおとなしいです。車酔いも全くしません。しかし、キャリーの出し入れは全力で抗います。もう本当に命がけという態度でいるので、こっちも猫にけがをさせやしないかと怖いです。子猫はふにゃふにゃして骨を折ってしまいそうな気がしてしまい、余計に抱っこが怖いのです。

その子猫たちはすでに触れるようになりました。しかし、抱っこは嫌がります。だから、ほかの猫を別部屋に追いやっている間に少し外に出したり少なくとも洗おうと抱っこして出すことはできません。ケージから出るのは出ますが、戻るのはおなかが空かないと戻りません。おまけに1つのケージに二匹なので、1匹トイレに戻ってももう1匹が戻らないうちに用事をすませて再びケージの外に出てしまうのです。それでも、ケージの中が気に入っているのか、必ずケージに戻るのは助かっています。ただし、いまだ洗えません。ペットシートで拭いてますが、おなかが拭けません。
 最終手段としては、ねているうちにばっと抱き上げて洗濯ネットに入れて洗ってしまうことでしょうか。貰い手もなかなか見つからず悩ましいです。

抱っこの気配を感じると前足を上げる癖がある猫姉妹です。

今年いっぱい外猫にかかわる

セミ猫を拾った時に買った4年物のケージはもうボロボロです。
特に今度の子猫たちがケージをよじ登るので塗装が剥げます。
麻縄で作った手作りのおもちゃも100均のボールも大好きで、何時間でも二匹で転げまわっています。これは避妊手術後三日経ってからのことで、子猫の回復力に脱帽です。傷も1週間経つと親指の爪の半分ほどの痕になっています。
この猫家族は出戻りの半長毛黒まだら片耳折れくんも含め、最低限死なないようにしてあげたいと思っています。再びクラウドファンディングをすることにしました。医療費というより、今後のために猫を一時保護するスペースを作りたいのです。避妊手術が必要な猫は手術して譲渡かリリース、治療や駆虫が必要な猫は一時保護して、元気になったらリリースか譲渡といった個人でできる範囲のことです。一番は、猫を増やさない、病気を蔓延させたくないというのが動機です。今回は本当にダメ元のクラファンで、治療というより、環境づくりですので、まず自分が稼げるようにならないとどうにもならないことは分かっています。
前回のクラファンは猫5匹分の医療費に消えました。
全く素人の個人的活動ですが、猫をTNRするといくらかかるか、またわたしがこの4年でどう猫とかかわってきたか自分の覚書きのために、ここにまとめておきたいと思います。

これまで7匹の家になってきたケージ。

猫と私の4年間

どうも白猫は光の加減で目の色が琥珀色に映ったりするようです。黄色や黄緑に見えることもあるので、これは光の当たり方のせいで、もともと琥珀色の瞳というわけではないと思います。夕暮れ時はもっと茶色に映ります。

【経緯】
2020年4月 実家暮らしになる。→青い目のセミ猫がすでに庭をうろちょろ。
5月3日保護。目やにがひどく弱っていた(家族は保護に猛反対)。
→動物病院へ
7月 推定4か月で避妊手術。豪雨災害があり、リリースするか迷ううちに家猫に。
10月 セミ猫がスコップうんちをするようになる。
11月 寒い場所をうろちょろするので洋服を着せたら喜んだ。
※生後2か月前から、人間に寄ってきた変わった猫だった。弱っていたからかもしれない。
2020年12月 セミ猫について書きたくて、noteをはじめる。しかし、テーマが猫からどんどん脱線。「本当に怖くない猫の話」をはじめる。2021年7月毎日投稿始める。
2022年7月29日 トンボ猫カエル猫が庭に現れ、写真を撮る。まだ若そうな猫たちだった。推定8か月で痩せていた。
8月2日 トンボ猫が家に入れてくれと玄関に居座りはじめる。
8月6日 トンボ猫が家の中に突入。→動物病院へ。引き取り手も飼い主も現れず、なし崩しに飼うことになる。
2023年4月17日 しっぽのなくなったカエル猫が再び庭に現れる。
秋 長毛白のチョウ猫が時折姿を現す(9月頃からいた模様)。
2023年11月24日 生後1か月ほどのアブ、ハチの子猫二匹が蔵から姿を現し、チョウが蔵を住処にしているのを知る。(アブ、ハチは推定10月末生まれ。チョウもその時は小柄でまだ成猫でなかったと思われる)。
2024年1月29日 庭で皮膚病の狸を見かけるようになる
2月 保健所に狸や猫について相談。
2月6日 アブ、ハチ、チョウが弱ってくる。ごはんをあげる。
2月23日 クラウドファンディングを相談し、計画をはじめる。
3月 クラファン申請を実際にやってみる。
4月20日 クラファン開始。猫たちは相変わらず庭で群れ暮らす。
5月9日 早朝5時カエル猫捕獲。午前9時動物病院で去勢・駆虫。
5月17日 クラファン目標金額達成。(目標10万円)
5月20日 クラファン終了。
5月23日 早朝4時に母猫チョウを捕獲するも動物病院の予約がとれなかったため、リリース。
5月24日 早朝3時に娘猫アブ、ハチを捕獲。→アブを動物病院で避妊手術。
5月25日 ハチが逃走。
6月4日 チョウ、ハチ、カエル捕獲。
6月5日 チョウ避妊手術、駆虫、血液検査、怪我風邪治療。
チョウとアブをワクチン。
6月6日 アブを譲渡。
6月7日 ハチ逃走。
6月8日 チョウ逃走。
6月23日 早朝4時子猫アゲハ捕獲。
6月26日 夜10時子猫シジミ捕獲。
6月27日 避妊手術の予約電話。
7月5日 アゲハ、シジミ、避妊手術、駆虫、1回目5種ワクチン。
※クラファン申請をはじめる。
7月10日 クラファンの申請内容が通る。
7月12日 クラファン開始。
7月14日 ハチが家に入ってくる捕獲。
7月16日 ハチの出産発覚。ハチリリース。

医療費

カエル、チョウ、アブ、アゲハ、シジミ分。
5月9日 カエル去勢   11,000円
     駆虫       1,900円
5月24日 アブ避妊手術  19,000円
     駆虫       1,900円
6月5日 チョウ避妊手術 19,000円
     駆虫       1,900円
     5種ワクチン   8,800円
     猫エイズ・白血病検査        5,500円
7月5日 アゲハ・シジミ避妊手術      38,000円
     5種ワクチン            17,600円
     駆虫               3,700円


       合計   137,100円

医療費もさることながら、虫もいるのでトイレを買って砂とペットシートを買ってとそちらにもお金を使いました。ごはん代はリリースや譲渡前提なので保護している間自己負担は仕方ないとして、掃除が大変です。
今は子猫二匹が一日3回大をするので、それを6回片付けて、飼っている猫二匹の大も一日4回片付けて、10回以上毎日トイレ掃除しています。
いや、本当に多頭飼いの人を尊敬します。こんなことを一生は続けられません。

猫たちが毎日寝床にしているハンモックは母の手編みです。

猫の里親募集が多すぎる

雨のせいでしょうか。どのサイトにも猫の里親募集が多くて、この子猫たちは無理なんだろうかと悲観的になっています。アブちゃんは本当に幸運でした。父猫のカエルくんはオスでキジ白?は少し珍しいらしくそのおかげか閲覧数は伸びていますが、1か月経っても貰い手がつきません。いつでもキャリーに入るので、捕獲が容易になってリリースしてます。エサも寝床も自分でなんとかできるのです。しかし、駆虫は1回しましたが、もうそろそろ効果が切れます。我が家の猫とは隔離しなければならず、子猫でもないのにずっとケージもなあと悩ましいです。カエル君はケージでもとてもおとなしいのです。ただ、力が強いのでトイレの掃除は大変です。砂が散らばりますから。
 カエル君はここ最近の雨のせいか、窓辺に近寄ってきてセミ猫をからかって喧嘩することはなくなりました。しかし、再び外に出されたせいかたまに私とすれ違うとシャーと言うようになりました。
 おとなしいけれど、拘束を嫌う猫家族。セミ猫はあんなに唸っていたのに、ケージの子猫と遊びたそうで危険です。最初は「わたしがないがしろにされるかも!」とトンボ猫と同じく心配していたようですが、そんなこともないとすぐに安心したようです。もともとあまりかまわれたがりでもないのです。

 トンボ猫はご機嫌斜めなものの、もともとリビングが好きなので、リビングにばかりいて、ふて寝しています。運動しないと太るのでおもちゃを使うのですが、やはり問題は走り回らないことです。一番体が大きいのに、何が怖いのでしょうか。トンボ猫は避妊手術してあったので、迷い猫か捨て猫かTNRされた猫です。捨て猫だとしたら、絶対に家から出ようとしないのも頷けます。もう2年近く飼っているのに、子猫たちよりは触らせるものの、少し触っただけで飛び起きるほど警戒心が強いです。

こちらのハンモックはセミ猫が子猫の頃に使っていたおさがりです。母は「飼わない!」と言いながら、とても凝って編んでいました。

セミ猫は本当に温厚です。セミ猫が今の猫たちなみに手がかかっていたら、我が家で二匹目を飼ったり、猫の避妊手術をしようとは思いませんでした。
我が家の猫は猫のための招き猫かもしれません。

我関せずが一番よ!

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