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【猫のクチバシ】第一回映画感想文「ライフオブパイ」

タイトルについて

TwitterがXに名前を変えて、どれくらい経ったでしょうか。まだ、1年も経ってはいません。
時間の経過はあっという間なのか、まだそれくらいしか経っていないと考えるべきか。
SNSはしばしば暇を持て余した人間のくだらないさえずりだと揶揄されてきた向きがありました。素晴らしい道具だと讃える人たちもいますが、スマホ依存症の判断材料に過ぎないと考える人もいます。
自分を省みると明るい趣味でもない気がします。自慢出来ないのです。
しかし、それは全てにおいてそうなのです。
私の人生語るべきことが何もない。何か人にいうべきこともありません。
ブログが何かの役に立つのはその人自身に気概があるからでしょう。
しかし、私はやる気というものが乏しいのです。

noteではたまに本や映画の感想を書いて来ました。しかし、共通のタイトルがありませんでした。

私は猫と暮らしています。
猫と一緒にテレビを見て、寝ている猫をそばにおいて手慰みにnoteを書いています。
世の中に吠えるでもなく、鳥のように美しい声で囀るでもなく、自分が何者か分からず、鳥なのか猫なのか、自由なのか籠の中なのか、暇なのか憂鬱なのか判然としないまま他人の創作物にとやかく口を出して感想を述べる。
猫は時に鳥のように鳴きます。
特に意味のない行動か、進歩的な行動か。
猫が鳥と同じ意味で鳴くことがあるのか。
鳴き真似に意味があるのか。

私の感想はまるで猫の囀り、私の口は存在しないかもしれない猫のクチバシ
意味があるものとして読み返すこともないでしょう。 

【映画感想】虎と人間の呉越同舟

【概要】
カナダ人作家のヤン・マーテルが2001年に発表し、ブッカー賞を受賞した世界的ベストセラー小説「パイの物語」が原作。
「ブロークバック・マウンテン」「ラスト、コーション」のアン・リー監督が映画化した。乗っていた貨物船が遭難し、一匹のトラとともに救命ボートで漂流することになった少年パイのたどる運命を描く。1960年インド・ポンディシェリに生まれた少年パイは、父親が経営する動物園でさまざまな動物たちと触れ合いながら育つ。パイが16歳になった年、両親はカナダへの移住を決め、一家は動物たちを貨物船に乗せてインドをたつが、洋上で嵐に遭遇し貨物船が沈没。必死で救命ボートにしがみついたパイはひとり一命を取りとめるが、そこには獰猛なベンガルトラがいた。

沈んだのは日本の船会社の船です。
主人公のパイの父はインドで動物園を経営することに限界を感じ、動物たちを海外の動物園に売り、その金で海外に移住しようと考えました。その移住先がカナダだったのは、作者がカナダ人だったからでしょう。
パイは多感な天才少年です。漂流した船で、知恵と勇気で生き延びます。
救命ボートにはしばらく生き延びられるだけの物資がありました。
しかし、そのボートには招かれざる同船者が。
それが動物たちです。
船の上での動物たちとの生活は過酷でした。

呉越同舟とは、仲の悪い者同士や敵味方が、同じ場所や境遇にいること。もとは、仲の悪い者同士でも同じ災難や利害が一致すれば、協力したり助け合ったりするたとえでした。「呉」「越」はともに中国春秋時代の国名。父祖以来の因縁の宿敵同士で、その攻防戦は三十八年に及でいます。(goo辞書より)

パイは序盤に、船の上で虎と2人きりになります。その段階で私は虎の正体が薄々わかりましたが、それは置いときます。興味のある方はAmazon prime Videoなどネットサービスをご利用ください。

パイと虎の関係はまさに呉越同舟でした。
飼い慣らせない猛獣との格闘。
パイは虎を見捨てられず、食べ物の世話をします。しかし、虎はずっと彼に襲い掛かり続けました。
パイがとりわけ虎を恐れていたのは、幼い頃の経験が関係していました。彼にとって絶対人間と相容れない存在が虎でした。

最初は、まるでノアの方舟なのに、動物たちは虎に屠られ、パイは虎に対する恐怖と愛慕に苦しみます。
パイはベジタリアンでした。信仰心に篤く、心優しい少年です。しかし、肉食の虎を生かすなら海の魚を獲ってやらなければいけません。虎と生きる少年の葛藤が、「山月記」の李徴を思わせます。

おっと、書きすぎました。
どこかの作品をかき集めたようで、それを選んで組み合わせた作者のセンスが琴線に触れます。面白かったです。お奨めです。

我が家の猫も肉食、暗がり平気なので、虎が吼えているシーンを熱心に見ていました。
私が虎になったら仲良くできるでしょうか。
いえ、今の距離で猫と暮らせたら十分です。


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