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我が家の庭の風景 part.102 「思い出深い景色」

私は独身なので、親が死んだ後のことをよく考える。実家に戻ってしまったため、1人で広い一軒家に住み続けることになるだろう。

古い家で、柱や梁が太く、家屋は案外頑丈だ。一部は数十年前に改装している。
高台で、川の氾濫被害の心配も少ないだろう。

住むところがしっかりしていても、私自身は根無し草でフラフラしている。そもそも、根っこのない草などないのだから、植物が風に揺れても、それで頼りないというのは、植物に対して失礼だ。風に揺られて種子を飛ばして子孫を残していくために植物は合理的に生きているのだ。

私は長らく自給自足という考えに否定的だった。植物を育てるには肥料もいるし、種も買わなければいけない。肉や魚は簡単に家で確保することなど難しく、電気水道光熱費も払わないでは済まないのだ。何より浄化槽代が高い。

だが、もう1人になったら自給自足かなと考えることもある。鶏を買って卵を産んでもらい、米より安い小麦粉で生きていくかもしれない。

1人になったらこのシーズンは読み返す気がする。家族の事はそれほど書いてはいないけれど、当時の庭の様子など読み返せば、記憶が甦ってくると思うのだ。

庭の事などを書き尽くしたと思っても、書くのをやめるどころか、このシリーズの朗読を始めたりしている。

最も反響があった2年前の記事は、いまだに謎について読み返すことがある。

他の記事もこれも何を書いていたか見出しの写真を見ても覚えていない。ただ、なぜかこれだけ読まれているんだなと目に留まると、やはり読み返してしまうのだ。長くなりすぎないように書いているので、冒頭で話を思い出しても、たいていは最後まで読み返す。

長すぎないように書くと言うのは大事なことだ。いわばこれは私にとって未来の私に対する思い出があたりなのだが、長すぎると話を聞く気にならない。
1つのテーマに沿っていればまだマシだろうが、私は長くなると話があちこち飛ぶのだ。
このシリーズの中にも、父の話もあれば、母の話もある。最も多いのは飼い猫の話だ。

正直、飼い猫より長く生きていたくない。
昔犬を飼っていたので、あんな思いはまっぴらだと思っている。しかし、もちろん人間が先に死んで、猫が残るのは不幸だ。
譲渡先を探す暇があれば良いが、今は保健所もいっぱいで、常に犬猫の引き取り先が募集されている。
庭にしょっちゅうやってくる外猫もどうにかしてやりたいと思うが、私は甲斐性なしだからできない。

今年の冬はあまりにも猫が外からやってくるので、毎年のシロハラという渡り鳥なかった。冬にやってくる鳥である。毎年まだかなまだかなと待っていて来ないと思っていたらきたというのが定番だった。しかし、今年はさすがにもう来ないだろう。
もしかして来ていて、猫に食べられているんじゃないかということをあまり考えたくない。

猫に死んでほしくないが、鳥にもあまり死んでほしくない。人間は猫の生涯分以上肉を食べて生きる人が多いだろう。あまり胃腸が強くない私ですらそうだと思う。
毎日のように鶏肉を食べながら、渡り鳥が野良猫に食べられたかもしれないことを心配するなんて身勝手だ。

私はベジタリアンになれない肉より植物の方が必ずしもアレルギーがなかったり、消化に良かったりするわけではないと言うのもそうであるが、命を奪うということについては、植物も同じだからだ。

松茸の値段が高いのは、当初はそれだけ希少性があるからだった。今はもうそんなこともないが、昔は冬花の値段は高かった。冬花は数が限られていたからだ。
けれど、その貴重な冬花をわたしは手折る。
園芸品種だから、人間に愛でられるために生まれてきたというのは本当にそうだろうか。

野において生きていけるなら、植物はそれで充分幸せではないか。外で生きていけない植物であれば、大切なのは世話をすることであり、長いこと眺めていても植物は元気にはならない。

我が家では猫を飼っているので、家の中にはほとんど植物はない。玄関先だけだ。
飼い猫を家の中に置いて、植物を外に出している。植物は日光が必要だから、当たり前だ。
だが、もっと大切にするのであれば、朝晩寒い時間帯は暖かい場所に鉢を置いて、日中は外に出してもっと大切にする方が植物によっても良いはずだ。しかしなかなかそこまでできない。そこまでするなら、これほどの植物が家にあるのは困る。

要するに、そういうことなのだ。私は猫に対しては、植物よりもしてあげることが多い。だから、もっと飼うのは手に余る。もっとも、そんな環境にない。

年末ジャンボの宝くじ。1千万円でいいから当たらないかなと思ったが、900円しか返ってこなかった。がっかりした。
もう今年は宝くじは買わない。
しかし、植物はやっぱり毎月買うだろう。

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