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我が家の庭の風景 part.109「春雷に挑む」

我が家の三毛猫は雷がなると窓に挑む。
雷と戦うみたいに窓をバシバシ叩く。
「うるさいぞ」と雷に文句を言っているのだろうか。
そうだとしても、カーテンの内側に隠れて窓に張り付くのはやめてほしい。
春時雨に冷えた窓のそばにずっといると風邪をひく。

我が家の洗濯機の乾燥機能が昨年から壊れている。雨が続くと家族が洗濯物をコインランドリーに持っていってくれる。
洗濯物を干さないと庭作業がより億劫になるかといえばそうでもない。

晴れた日が2日続くと、二日目は張り切るようになった。

100の種をまくために、1000回鍬をふるいたい。しかし、100回も鍬をふるえば、100個のゴミを拾い、100回草むしりをしなければならない。鍬を一度土に入れたら、惨状が分かる。我が家の庭は荒れていて、父が昨年蒔いた種子の入っていた袋や畝ごと埋めた黒いビニールなどのゴミがゴロゴロ出てくる。ゴミを作物を育てる場所に埋めるのだから、石だって土を寄せるたびに増えている。

菜の花畑にも成り果てている我が家の庭。
なるべく蜂がいない瞬間を狙って花が咲いた小松菜などを引き抜く。なかなか根が張っていて抜けず、鍬を入れて根っこを割ったものもあった。

さらに、もっとしぶとかったものもある、

途中に鉄杭にぶつかった。野菜苗の支えに使っていたアルミ柱が栗の木の根元に何本も放り投げられて埋まっており、何を思ってか手のひらより大きい石やら瓦が柿の木の根を埋めるように敷き詰められていた。
石や棒をどかすだけのつもりだった。しかし、うっかり鍬を振るったら、鉄杭にぶつかった。それがどうしても抜けなかった。だいぶ鍬で掘って、一人で「おおきなかぶ」をやってみたが、びくともしない。
もう諦めて他を耕そうと試みるも、どうしても鉄杭が気になって何度も柿の木の根元に挑み、悪戦苦闘した。

そうやって2時間近く経っただろうか。
鉄杭は変わらず固く冷たかったが、外の氷は溶けていた。3月に入り、また気温が下がった。
朝庭に出て野良か外猫か我が家の庭を縄張りにする灰色縞のボス猫が一輪の泥運び車に飛び乗った時には氷は割れなかった。しかし、ゴミを運ぼうと一輪車に近づくと氷は溶けており、一輪車を斜めにして冷たい水を庭に溢した。

氷が溶けて朝の寒さは柔らぎ、身はかえって引き締まった。ゴミを集めてもう一仕事しようと鍬を振るったのが悪かったのだろう。
作業をやめて、シャワーを浴びると身体中が痛くて気怠く、その気怠さが翌日まで残った。寝る前に確認したが、気圧は決して低くなかった。だが、頭痛が止まない。

2月は腹筋100回出来るようになる事を目標にして、見事玉砕した。私にはダイエットより、まずは千回鍬を振るえるようになることが必要だ。
そのつもりだったヘチマの種は蒔いたが、何粒まいたか数えなかった。10個以上。100粒はない。どれか芽を出すだろうか。

春時雨に耐えられるか。
また、野良で育っているボスの子猫たちも大人になれるのか。
激しい春雷の日には、子猫たちが少し気掛かりだ。飼い猫のセミは雷を友に窓辺で寛ぎ、窓にボス猫が近づいてくると雷を優しく叩いていた姿から想像できないほど強い力で窓を叩いて飛び跳ねる。

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