「窓辺の猫」第四十八回　猫と同じ窯の飯

　どうも猫の家族です。
　突然ですが、猫のご飯を食べてみたいと思ったことがありませんか？私はあります。
けれども、猫は肉食ですから、犬のご飯以上に食べてみるのに勇気がいるなと思っていました。もちろんドッグフードを食べてみたことはありません。

　ところが、ひょんなことから、うちの家族が猫のご飯を食べてみてくれました。
買い物したものを、うっかり全部台所に置いといたら、父が猫の缶詰を誤って1缶丸ごと食べてしまったのです。
おそらく酔っ払っていたのでしょう。

　朝起きたら、買ったばかりの猫缶のセットが減っていて、すぐに間違って父が食べてしまったのではないかと思い至りました。猫のご飯は私の係で、また我が家の猫たちは大きな猫缶を1つ全部1度に食べてしまうほどには大食漢では無いからです。
　我が家の猫は2匹ともメスです。食いしん坊の縞猫のトンボ猫も先輩猫に習って1日に何度もご飯を催促するのが習慣になっていて、あまりにたくさんお皿にご飯が入っているとやはり食べ残すのです。

　夜中から朝方にかけて、1缶全部我が家の猫が食べられるわけがありません。
パッケージには大きく猫の写真が載っていて、缶には「猫八」と書かれた、いなば食品のものでした。

　私は直接父に確かめてみる勇気が出なくて、まず母に相談しました。すると母が父に聞いてみてくれたのです。

「どうりで味が薄いと思った。あんなところに置いておくからだよ」

　父は一瞬だけ不快そうな顔をしましたが、別に体調に問題なかったためか、1時間後にはあっけらかんと何もなかったような顔をしていました。

(ちょっと味が薄いだけで、そんなにまずくもないものなのか)

　思いがけず、父の口から猫のフードの味を知ることができました。それにしても1缶丸ごと食べても、人間の缶詰ご飯と間違えない品質なんて凄いですね。

　猫の体に悪くないものであれば、人間の体にもうそれほど害は無いのか。それについてはよく分かりませんが、ちょっと参考になりました。我が家のセミ猫は魚をそのままではほとんど食べません。アジをちょっと味見してみるくらい。

　魚を茹でて、塩分を抜いて、骨を取って、ハーブなどで臭みを取り、提供すれば食べて見てくれるのかもしれません。その際、油の使用は禁物か。今度作ってみようと思います。

※全文無料です。

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